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「仕事か〇〇」と天秤にかけずに、女性起業家が快適に生きる方法 〜育児編〜

我が家には3歳と1歳の娘がいます。手がかかる時期ですが、二人とも保育園に通っているので昼間は仕事に集中できます。とはいえ、発熱や下痢など、保育園から何かを持ってかえっては姉妹感染はしばしば。すぐに呼び出しがあるし、休みも多い。予定調和とはいかないのが育児。

会社を経営する私が、どんな風に仕事と家庭を回しているのか。国の制度や、家族の協力、コミュニティの重要性の3点から考えてみた。

①国の制度
産前産後休暇や育児休暇が取得でき、社会保険料免除や給付金は本当に助かる!これほど充実しているのは日本と韓国くらいらしい。ただ、問題は契約社員や派遣社員、パートとして働いている人が条件を満たすハードルが高いこと。正社員しか給付金をもらえない、というケースは結構多いはず。なぜなら、育児給付金をもらうためには以下の条件を満たす必要があるから。

  • 雇用保険に加入していて、保険料を支払っていること

  • 育休前の2年間のうち、11日以上働いた月が12ヵ月以上あること

  • 育休からの復職後も就業を継続する予定であること

  • 育休中の1カ月あたりの就労日数が10日、または10日以上の場合は月80時間以下であること

  • 育休中の1ヵ月ごとに、育休開始以前の給料の80%以上が支払われていないこと

正社員ならまだしも、そうでない場合は全てのクリアするのはなかなか大変です。妊娠出産は費用もかかりますし、何が起きるかわからない。無事に生まれてくるまで不安は常に付きまといます。そんな時に、金銭的な援助があることは想像以上に助かりました。

弊社の場合、起業当初は、個人事業主として仕事をしていく予定でしたが、会計士さんからの提案ですぐに法人化することに。親族を経営者・幹部に置き、私は代表社員という立ち位置(税務上はみなし役員となりますが)。マンパワーはほぼ私一人で、アウトソーシングや他社とのチーム制で一つのプロジェクトを遂行する経営スタイルです。

私が”社長”でないことがミソでした。

社員として社会保険料を支払います。実質、会社と個人と二重に支払うことになるので、負担はあります。ただ、前述した通り、妊娠中、出産後は手厚い補助を受けられました。まず、産休・育休中は社会保険料が免除されます。会社も個人もです。さらに、育休取得中は、ずっと育児給付金をいただくことができました。当然ですが、その間、会社からお給料は一切発生しません。

仕事が出来ず、お給料がない中で、育児に専念しつつ、お金をいただけるというのは、本当にありがたかったです。もちろん事業主である以上、全てを止めるわけにはいきませんから、仕事仲間のサポートが必須です。クライアントには極力迷惑をかけず、復帰後にもお仕事を継続できるような準備も徹底しました。

大学を卒業してからずっと仕事の鬼だった私は、仕事から距離を置いたことはありません。「仕事を長期で休む」ことは正直ものすごく怖かった。だけど、長い人生の中で「赤ちゃん」と向き合う貴重な時間の方が大切だと腹をくくりました。良い決断だったと思っています。

それが出来たのも、産休・育休の手当が手厚かったからです。これを、全ての国民に均等に与えてほしいと願うばかりです。ノルウェーでは、自営業やフリーランスにも給付金がされます。社会保険の仕組みが違うなら、そんな風に日本も変えることはできないのだろうか。時代がこんなに変わっているのに制度が変わらないのはやっぱり不健全だと思う。ノルウェーの幸福度から見ても、保険料が高いなんてきっと誰も思っていない。子育てや介護、自身の老後の心配がなくなるなら安いもんでしょう、と私は思っています。
以下、電通総研の記事から引用します。

ノルウェーでは、育休取得可能期間や収入の補填額(給付額)について、自営業者もフリーランスも正社員も同じように収入要件で判定されます。かつては正社員とそれ以外ではもらえる額に違いがありました。これは今では是正され、収入額が同じであれば、正社員でも非正社員でも給付額は同じです。自営業やフリーランスでも同じです。

ーそうした制度の対象範囲が広いのは、どうしてなのでしょう。

それは育休の原資である「国民保険(Folketrygden)」のなりたちが関係しています。ノルウェーの国民保険は日本のしくみと違って非常に包括的で、日本で言うところの老齢年金、健康保険、雇用保険などがこれに一元化されています。手続き上も給与からの天引き、または確定申告+納税の形で済み、国民はほぼ所得税の一部としての認識で保険料を支払います。保険料負担は、正社員(8.2%)と自営業者(11.4%)で異なってはいますが、正社員の場合その差分にあたる部分を雇用者が負担しています。しかしどちらも同じ「国民保険」で、みんな1つの財布なんですよ。

電通総研 クオリティ オブ ソサエティより https://institute.dentsu.com/articles/2374/

② 父親であり夫の在り方
そしてもう一つ、ノルウェーに習いたいのが、父親の育児環境。育児は一人では出来ません。やはりパートナーや両親と地域と一丸となってやることだと個人的に思います。そうでないと、母親の負担が物理的にも、心理的にも重すぎますから。

日本の男性の育児休業取得率は、2020年で12.65%です。初めて1割を超えた!とニュースになっていました。一方、ノルウェーの男性の育休取得率は75%で平均取得期間は3ヶ月半だといいます。

日本の男性の取得率が増えているのは、現状、大企業に勤めている方がほとんです。日本の企業の9割は中小企業ですから、このままの制度でここからどれほど伸びるかは疑問です。中小企業では一人当たりの責任や業務の負担が大きい分、その人が長期で仕事を休めば仕事が回らなくなる可能性が高い。また、前例が少なく、育休を取りにくい文化も少なからずあると思います。

ここでもノルウェーの事例がすごいのシェアします。

ーー「父親の家事参加」を促すため、ノルウェーの父親の育休は取得期間が長い上に取得対象も広いことで世界的に知られています。父親は育休を取らないと権利が消えてしまうので取得率も高いようですが、本人のキャリアは中断しませんか?

平等・差別禁止法(第33章)という法律があって、父親が育休で職場を一時期空けた場合でも、とにかく会社は同じ地位と待遇に戻すことが法で定められています。

ーー しかし組織改編や事業再編などで席がなくなるということもあるのでは…

私の前の会社がリストラの激しいところでした。本人不在の間に会社が彼のポジションを実質なくしたケースがありましたが、彼が戻った時点で、一旦、以前と同格の扱いに置きました。もっとも、それから解雇へ向けた話し合いが始まりましたが。

ーー そういうことが起こった場合に、育休を取ったことを後悔しなければいいですが。

もし正当な育休を取ったことで不条理な扱いを受けたと思えば、労働組合の強い国ですので、組合に相談すればアドバイザーや弁護士などの支援を得て十分に闘えます。

ーー とはいえ、本人不在の間の業務は誰かが担わないといけません。

ふつうは、その人の育休期間とほぼ同じ期間で公示・採用される一時雇用スタッフ(Vikarと呼ばれる、日本で言う正社員型派遣に近いワーカー形態)が穴埋めします。引継ぎは必ずしも対面で行えません。同じ職場に残る人が一時的に引き継いで、後で一時雇用の人に渡したりもします。私の職場では顧客ごとの業務マニュアルもあって、任せる側としては安心材料です。

電通総研 クオリティ オブ ソサエティより https://institute.dentsu.com/articles/2374/

私の旦那さんは第一子の時に6ヶ月。第二子の時に4ヶ月取得しました。その経験からも、ぜひ男性にも育休はとってほしいのです。特に第一子の時は、子育てに関して右も左もわからない新米パパ&ママです。そして、赤ちゃんの成長はものすごく早い!首がすわったと思ったら、腰がすわり、離乳食が始まり、はいはいを始めます。そんなミラクルな瞬間を夫婦で共有したいじゃないですか。

そして第一子の育休時は、夫婦でゆっくりできる最後の時間だった気もしています。私たちは1ヶ月間アメリカに旅行に行きましたが、最高の思い出です。今、3歳と1歳の娘を連れてアメリカに行きたいかと言ったら、NOです。考えただけで疲れちゃう(笑)

育休中にこれからどういう生活にしていきたいか、何を優先するか、それはいつまでなのか。夫婦でたくさん話し合いました。そういった方向性を夫婦で共有しているおかげで、コロナ禍やさまざまな変化にも臨機応変に対応できています。

娘たちは昼間は親元を離れて保育園で頑張ってくれています。その代わり、朝晩と週末はみっちり向き合い子ども最優先。夜は8時に寝て、朝は5時半〜6時に起きるを徹底しています。食事はみんなで。私たち親は昼間と娘たちが夜寝ている間に仕事をする。そして、大変な時は、両親、ご近所さん、行政のサービスなどに頼っています。

全てが繋がりあって、穏やかな日常があります。助けてもらった人は、次は助ける立場になれます。そうやって地域やコミュニティでバトンを渡しあえる社会をつくりたいと常々考えています。

仕事も家庭もプライベートも、充実した一年になるように、人様の手を借りつつ、誰かの役に立てるように努めたいと思います。

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