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若村麓郎と俺たち(ワールドトリガー28巻より)
(28巻の内容含むので諸々注意。ネタバレという感じではないですが…)
内容えぐすぎない?????
ワールドトリガー28巻が2025年2月4日に発売されました。
一応月刊の方のジャンプでも先に内容読んでておうおうおうおう思いながら、読んでたわけですが、
面白すぎる。
まだ、読んでない人は買って読んでくれ。
改めて単行本出たときにしみじみ感じながら内容おさらいしつつ読んでるマンです。
遠征選抜試験編で、今までの大規模侵攻やB級ランク戦のザ・バトル感が薄まってると感じる人も多い気がするが、そんなことはない。
むしろ、同じくらいに緻密な人間関係やキャラクターの描写が垣間見えて、
バトルも含め超面白い。
葦原先生に感謝です(今更ながらこんだけのキャラ描き分けてるのがまずすごい)。
なかなか内面が描かれなかったキャラが掘り下げられるわけだが、サイコパスメガネの主人公三雲とダブる、ノーマルメガネの若村が掘り下げられる。
サイコパスメガネとかノーマルメガネはともかく、
とかく若村は
「持たざる者」の印象が強かった。
(悪く言っているつもりはないので何卒ご容赦願う)
対極にあるのが雨取のトリオン量とかサイドエフェクトとかブラックトリガーそのものとかになったりするイメージ。
で、主人公の三雲も「持たざる者」なんだけど、何をすべきか選択できている感がある。持たないなりにこういうことはできる、こういう部分に絞って勝負すれば勝てる、みたいな。
これまでのストーリーを読むとこの感じはピン来るはず。そもそもの構図でジャンプで連載が始まったとは思えないほど、非力なわけだが、そこをうまくやりくりしてきたと。
一方、若村は「持たざる者」のまま、持たざる者として、ここまで来た。ランク戦も同じチームにエースの香取を擁しながら、勝てない・・・。
何をすればいいのか分からんどうすりゃいいんだよ~・・・。
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これ、世の中の多くの人はむしろ若村側の人間だろ。
ていうか自分もそう。
すげー強い奴らもバリバリ活躍してる漫画で、ちゃんと描写されるんだけど、一方でこういうキャラクターもしっかりいるのが、この漫画のいいとこ。
地に足がついたバトルもの。武器一つとっても緻密な構成がされてて、読み応えしかない。大味な異世界転生ものとかもういいんだよお前らは、だまっちょれ!!!
若村麓郎
と、ぐだぐだ脱線する前に内容へ。
若村は、遠征選抜試験で同じチームとなったメンバーの、カナダヒュースに問う。
ヒュースは三雲と同じチームなので、いろいろ知っているだろうと。
オレと三雲は 何がちがうんだ・・・・・・⁉
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この問いかけを始まりに、麓郎の普段の訓練や考え方があらわになっていく。
ここら辺から読んでて苦しくなってた。
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実力の定義の話もかなり興味深い(ここでは割愛。ぜひ本編読んでどうぞ)。
さて、場面は進み、「持ってる」やつらが持ってる、俺を変えてくれる何かがほしいと言う若村。
それに対してヒュースは・・・
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うぐ、逆質問・・・
そのあとに淡々と、そんなものはねえぞ、むしろそんなもの探すより地道に鍛錬せいと正論を突き付けるヒュース。
周りが特別ではなく、自分が止まっている・・・だと・・・?
少しずつ気づかされる若村。
じゃあどうすんのよと俺が思っていると、同じことを若村が発する。
(読んでる自分は若村麓郎になってます)
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先に聞いてくれて助かる!!!
・・・で、ヒュースが回答するわけだが、えぐい回答のミサイルが返ってくる。(ネタバレオブネタバレなのでここでは伏せます。本編読んでね)
そこら辺の漫画なら、「君はただただ弱いから適当に鍛錬してね、はい頑張ってね」
で終わるわけだが、
この漫画はさらに5歩くらい踏み込んでくれるワケ。
面白いのよ。
てなわけで、回答をしながら、さらに踏み込んでかみ砕いて情報を与えるヒュース。
うれしいけどもう麓郎のHPは0よ!!!
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どうすればいいかの指針を教えてもらいながらも瓦解、絶望していく。
辛い。
ただただ辛い。
だって若村はおれだから・・・
ちいかわならもう泣いてる。
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自分と向き合うのは怖い。
怖いよ。若村はもう主人公だよ・・・人間みがたまらん。
チート能力なんてないもんとかじゃなくて、もっと本質的に何もないって知りたくないよ・・・。
おれもそうだよ・・・。
仕事の時とか、勉強してる時とか。
無力さ無能さを知りたくないから、何も選択しない、
これは誰しも経験あるのでは・・・?
そりゃあ逃げ出す方が楽だもの。人間だもの。
さて、絶望が続くのかと思った矢先、
ヒュースの一言が非常に絶妙で、
若村に電流走る。
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『自転車に乗れる』という事実が示すのは
おまえは元々できなかったことが
訓練次第でできるようになる
ということだ
自転車ってみんな乗れるやん・・・?!
(あ、ヒュースは乗れないんですけど・・・)
自転車というたとえ話を引き合いに出しつつ優しさのようなものも感じ取れる言葉が続く。
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目標ややるべきことを「刻む」、またいつまでか「期限」を設けることを提案し、若村に向き合ったヒュース。
と、こんな感じで28巻は終わる。
一縷の希望が見えた若村麓郎。
俺たちはまだ舞える・・・。
気づけばいつだってそう。
ありもしない答えやらを探しても、結局そんなものはない。
だって自分の中にあるんだから。どうすべきか、何をすべきか、小さな目標を設定して乗り越えていくことの大切さを教えてもらった。
その設定はどれだけ低くても小さくてもいい。
設定して乗り越えていけばきっと今より強くなれるんだから。
このシーンを見るだけにこの漫画を買ってもいいと思える。
(いや、ほかにもいろんないいシーンあるよ?あるけどここの部分も素晴らしいんだと言いたくてサ)
若村は俺たちで、俺たちは若村だ()。
「持たざる者」だけど、それだけで終わらないゾ。
スタート地点を知ろう。
できないことを知ろう。
彼我の差を受け入れよう。
苦しくても「持たざる者」なりにやれることはある。
あるはず!!!
進め、若村麓郎!!!
ヒュース
ヒュースの何がすごいって、ここまで嫌味を言ったりマウントを取らずに、淡々と言えるか普通。
感情をオフに事実を伝えるポジションで、ネイバーということもあり、客観的に意見してくれる属性はあるにしろ、ここまでハマった形で若村を導いた。完璧がすぎる。
きつい内容の後に、ちゃんと救いもある。
ただただすごい。
ヒュース君、おれのメンターになってくれないか?
たい焼き3つ出すからなってくれ頼む。
おまけ
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このシーンも好き。
戦い方は一つじゃない。
照明スイッチオンオフ攻撃とか好きなんだ。
ザ・アイディアマンの戦い方を見せてくれ。
さて、駄文ながらこんな感じで締めます。
ワールドトリガー28巻まだ読んでない人は買って読んでくれ。
いいねとあずきバーお待ちしてます。