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プロジェクトの振り返りには法務も参加したほうがいいと思ったお話

法務アドベントカレンダー#LegalAC の13日目です。


関原秀行さんからバトンを受け取りました。

#LegalACって9年目なんですね!初回からずっと見ていたわりに初めての参加です。いやー、皆さん深ーい話が多いので、毎回すごいです。
いつも素晴らしいノウハウをありがとうございます。

贅沢すぎる環境に、何書いたらいいのかだいぶ悩みすぎて自分の存在意義とかまで考える沼にはいっていましたが、深すぎたので普通のことに戻ってきました。

私自身は、新卒から入った会社で、法務以外に営業、広報、経営企画など社内異動で異職種を経験したり、育児休暇もトータル数年とったりで、ぐるっと人生を回って法務に戻り、今年2021年に法務職として初めての転職をしました。
社会人(企業づとめ)はトータル20年で、そのうち半分ぐらいが法務、という人物です。

一応これだけ長く企業人として働いていますので、会社で起こる様々なプロジェクトにはそれなりに参画してきました。自分がやったプロジェクトも、他の部署のプロジェクトもやりました。

が、先日、初めてプロジェクトでしっかり時間をとった「振り返り」をすることができ、「法務の振り返り」について考えることがありました。

非常に勉強になったのでその経験を書いてみたいとおもいます。

やったことあるよ、っていう方には普通すぎるお話だとおもいますので、ご容赦くださいませー

この記事のひとことまとめ
プロジェクトの振り返りには、法務も一緒に参加するといいことあるよ

法務のかかわるプロジェクトって?

法務の関わる社内プロジェクトとはなんぞや。

私の経験のなかだけでいうと、法務は法務観点からの参加になるので、社内のプロジェクトの最初から最後までしっかり関わる、っていうことは実はあまりなかったです。

例えば、ビジネスでの案件。
契約を交わす前の交渉で呼ばれて、契約成立まではしっかり見たとしても、その後プロジェクトが終わるまでがっつり入ることはあまりなくて、実は契約が終わったあとのその後のプロジェクトの状況を知らないっていうことも多かった。

トラブっていれば連絡がきますが、うまくいったときは状況を知らないことのほうが多いし、もしくは風のうわさでプロジェクトが消えた事を知るとかもありましたね・・

せっかく時間をかけたプロジェクトへの関与をなんとなく終わるのはアレなので、学びを部内にシェアする・・「契約交渉段階での有利な条件を引き出せた!」っていう交渉の振り返りをするとして、法務メンバーへのフィードバックにはなる。そこまではまあやります。

けれど、プロジェクトメンバー皆には条件の詳細は関係ないよなあ。わざわざ工数と時間つくってもらうのも違うな、と思って特に振り返る場を作る、っていうこともありませんでした。
やっても終わって打ち上げで飲むぐらい。

そもそも振り返りするときはどんなとき

とはいえ、振り返らないと、その結果が法務のアドバイスによる結論なのか、その交渉は事業へのインパクトがどうだったのか、次にもっと良い条件を得るためには何が必要なのか、・・・

自分がプロジェクトに入ったことで、どういうメリットがあったのか。反省すべきことはなんなのか。わからない。

あえて周りにしっかり聞かないと想像の域を出ない。しかし、今後のために知りたいことは細々、たくさんあります。

更に、振り返りの単位を思い返すと、自分のため、部のため、っていうのは経験あるけど、プロジェクトのため、会社のため、といった単位でやったことってそういえばありませんでした。

振り返りって、あえて時間をとらないとできないですよね。
時間は常に有限で、忙しいから将来の時間はとりたいけど過去に時間を割く優先順位は落ちる。そうやって過ごしてるうちに、正しい振り返りのやり方がわからないし、ちゃんと振り返ったことがない、という状況でした。


初めてPJの振り返りに直面した

今年2021年は、初めての転職をして、新たな環境に入りました。

入社してすぐ、社内にどんな役割の誰がいるかもわからないなか、法務が関わるプロジェクトがあり、急ぎでプロジェクトを立ち上げ、期限までに対応を終わらせるべきものがありました。あれこれやって、結果的に終わらせることができました。
(かんたんに書くけどめっちゃ大変だった。まあプロジェクトの内容は関係ないので端折ります。)

現職では、自社のプロダクトがあります。

プロダクトごとにプロダクトマネージャ(PM)がいて、PMがプロジェクトを整理し、スケジュールやメンバーへの連携あれこれを行う役割を担っています。(PMの立場の素晴らしさに驚愕したしめっちゃ尊敬しており、研究して語りまくりたいテーマなのですが、これも本題ではないので端折ります。)

プロジェクトの終わりの日のこと。

プロジェクトの終わりの日がきて、明らかな成果が出せた。よかったねー!とSlackで共有しつつ、普通ならここで終わるという私の理解だったところ、突如、PMにより「振り返り」という場の設定する宣言とその前までに記入するドキュメントが共有されました。

ドキュメントには、どんなPJでなぜ発生したのか、ゴールはなんだったのかがざっくり書いてあります。そこに、よかったこと、わるかったことをGKPTでプロジェクトに入ったメンバー全員が書く、という宿題と、同日のMTGが設定されました。

え、過ぎ去った日々、覚えてないよ。終わったら忘れるタチだし、と一瞬みなかったことにしようとおもったのですが、結構頑張ったとおもえるプロジェクトだったので投げ出さず、一通り思い出してテンプレのままに思いを記載しました。賞味10分ぐらいかな。やったことを思い出すだけなので、全然時間をかけてないです。

振り返りのやりかた

必要なリソース

至ってシンプル。テンプレに沿って書いたプロジェクトメンバー全員が、それぞれの内容をMTG(オンライン)で発言し、お互いに聞く。10名弱いて、それぞれの振り返りを読んで、30分ピッタリで終了。それぐらいの時間です。

やりかた

やったのは、GKPTというものでした。
これが詳しいのかな・・


課された手法も、背景も、初見の知識レベルでした。
わかったのは、Good、Keep、Problem、Tryの内容を、フェーズごとに書き出す
記名で書きはじめて、そのとき、何を思っていたかを文章で共有する。
そういうルールでした。

いつもそうするルールなのか、たまたまやったのか、PMによるのか、プロジェクト規模で違うのかもわかりませんが、みんな自然と振り返りしてたので、きっと日常的なことなんだろうなという印象です。社内のナレッジベースで「振り返り」って検索したら、検索結果の終わりが見えないぐらいたくさんありました。社内の文化として根付いているみたい。


振り返りの場で感動したこと

まず、計画、結果の数値や施策の状況のおさらい。そして、各フェーズでの各自の”振り返り”を各自読んでコメントを言い合う。

私自身が慣れない環境で、必死の形相でプロジェクトに入っていたわけですが、法務の立場でしか物事が見えていない中、各役割のメンバーがそれぞれ果たしていた役割と、その作業に対してどういう覚悟でのぞんでいたかが振り返りによって、手に取るようにわかりました。

逆にいうと、全然知らないことばかりだったことを思い知らされました。

役割の理解

まず、それぞれの役割でやっていることが、表面的ではなくプロジェクトへの関わりで理解できました。

たとえばこの役割だと・・と、書こうと思ったのですが、私のフィルタでの役割の理解なので皆さんに資する情報ではないので詳細は割愛します。
部署の名称やその方のタイトル(例えば、エンジニア、やデザイナー)と、その方々がプロジェクトで果たしている役割は、私自身が想像しているよりも大きかったです。

逆に、「法務」の言葉によって法務と普段関わらない方がイメージする役割って、私たち法務自身が思っているように、そもそも皆からみるとイメージすら持てないぐらい法務は普段の仕事に登場しない遠い存在、ってことも多いかとおもうので、お互いにどんな役割で参画していたのか、体感することができたのでは、という感じがします。

個への理解

そして、メンバーみんなが、それぞれ一人のプロフェッショナルとして、どういう思いでやっていたかがわかりました。

プロジェクト中の打ち合わせは、状況確認、TODOの整理という事実を整理することに比重があるので、人となりを理解できるタイミングはそうそうないです。

オフラインで会議室に集まって・・とかならまだ雰囲気の情報もありますが、オンラインだと分かる情報も限定的なので、更に難しい印象があります。

あえて、振り返って思いを聞くことで、メンバーそれぞれの人物やこだわりが伝わってきましたし、もし次に一緒にプロジェクトに入るときにも、お互いにわかっているからこその、よりよいコミュニケーションができそうだな、と思いました。

法務に思っていたこと、を知る

今回は、法令に関するプロジェクトでもあったので、私の役割へのフィードバックをそれぞれの立場でいただけました。
自分の法務としてやっていたことで当たり前だとおもっていたことが、「そのポイントが●●という役割には大事だったの?!」と自分では想像もしなかったような嬉しいフィードバックもあり、驚きました。


当然、自分が当たり前に知っていたりやっていたりすることは、周りの人たちの仕事の中心とは違うわけで。

それは、私が皆の仕事を深く知らないように、各立場で思っていることは違うし、反省も違います。

同じ目的に向かって、同じ時間を共有していたからといって、説明しなくてもわかるなんてミラクルはないですね。

成功も失敗もなくて、たぶん、失敗しても、それでいいのだとおもいました。大事なのは、何が良くて、何が反省で、次にどうすればいいかがわかること

時間がないということはいいわけでした。

GKPTのGが大事らしい

あとから知ったのですが、KPTがもともとある振り返りの手法なんですね。Goodの視点を加えると、とてもいい気分でプロジェクトを俯瞰できるようです。Goodがだいじ

法務のみなさんへ、プロジェクトの振り返りのススメ

プロジェクトは法務ががっつり絡んで実施する機会がたくさんあるという環境はそんなにないかもしれません。

ただ、もし、そういう機会があったら躊躇せずにはいってやってみるといいんじゃないかなとおもいますし、ぜひそのプロジェクトの終わりでは、関係者みんなで振り返り、してみることをおすすめします!

また、この記事をよんでくださるかたにはほとんど居ないとは思いますが、PMの方はぜひ法務をプロジェクトメンバーに入れてもらって、振り返りも巻き込んでください〜

みんながやっていることを理解できたら、お互いに仕事しやすいし、学びが多いので!

繰り返しますが、いいことしかないプロジェクトの振り返り、またやりたいなーとおもっています。
ただ、振り返る前には高いハードルのプロジェクトが待っていると思うと、それはそれで覚悟がいりますね・・またそういうときにはがんばります!

本日は以上です。
明日は、法務のいいださん@LAPRAS よろしくおねがいします〜


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