今年の桃はまだ食べていない
今日スーパーで購入した桃が、ひとかじりもできないほど腐っていた。
2個で299円。普通に考えたら安すぎる。
しかし、大きくブランドの付いた桃は、2個で980円。買うか、買わないか1週間ほど迷っていた所、見つけた299円。閉店間際の果物コーナーで小さくガッツポーズをしたあの喜びを返してほしい。
田舎の実家にいたころは、大きな冷蔵庫の野菜室を開ければいつでも、季節の果物が所狭しと並んでいた。桃、梨、りんご、ぶどう・・・。
祖母が向いてくれた桃は甘くてみずみずしくて、すぐに口から消えていったた。
一人暮らしの今の野菜室には、しなびた茄子とにんじんがいるだけ。高級な果物が食べたいと思ったら、スーパーの果物コーナーの前で5分はお財布と相談しなければならない。
駅に行くだけで車で20分かかる田舎。夜は月明りだけの田舎。何もないと思っていた田舎。
だけど、食べたいものがいつもある。3食の食事を用意してくれる。桃は皮が剥かれて出てくる。
そんな恵まれた所だったと、腐りきった桃を捨てながら思い出して 少し、痛い。
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