回想

降り続く雨音が響く、狭い後部座席の、隠れんぼみたいなデート。

コーヒーとココアの、味が混ざるキスは、思い出す度、いつだって胸をかき乱す。

あなたは、会える前の日の夜に、あたしを想うのが好きだって言ったけど、

あたしは、会えたその日の夜に、あなたを想い出すのが好きだった。

見せてくれた、初めての景色たち、
何もかも、忘れられないの。

一緒に走りたくて、取ったバイクの免許は、
もう要らなくなってしまったね。

行くはずだった場所、今度は違う人と、何にもなかったように、行くんだろうな。