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けもなれ最終回と、ハイボールとティラミス
初めてのパスポート、あっけなく手に入った。
これを打つPCは冷たい、冬だ。忙しさを理由に、心の中がざわざわしていて、やりたかったこともできなくて勝手に自己嫌悪に陥って、23時前に帰宅する。右足の中指の爪が伸びて歩くたびに痛い。運悪く満員電車に押しつぶされて、どんどん気持ちが後ろに向いていく。
何度か書きかけたnoteは、下書きのままにして電車を降りる。
帰り道に唯一あるコンビニに立ち寄る。ティラミスとハイボール、お腹にあまり何もいれていないからすぐに酔えると思った。昨日観たドラマを見返して、ヒーターをつけてあったまる。
自分を甘やかす方法を頭の中で考える。あったかい飲み物、おでんのだし、あたたかい毛布、やさしい会話、意味のないやりとり、猫、読みたい本、観たい映画、会いたい人、お風呂、甘いもの、いい匂いのする部屋、誰かの体温。贅沢じゃなくてもやさしい温かいものにふれていたい。
ゆらゆらした頭で思う、ガッキーと松田龍平はいい距離感だ。酔っ払ったら全部忘れてしまえる、そんなことはない。でも、そんなふうに飛びたくなる気持ちも分かる。一度頭を真っ白にしたいな、なんて考える日もあるよね。
菊地凛子演じる呉羽が大好き。強くて、明るい。闇も飲み込んで明るい。
「くれちんは、何も失ってない。くれちんは、新しいくれちんになっただけ。」自分でいられると思える誰かと巡り合えるって、奇跡的だと思う。見守ってあげられる旦那さんも強い。「一緒にいたいから結婚したの。それ以上なんかある?なんで私が謝らなきゃいけないの?橘呉羽はカイジの妻である前に、呉羽です。自分以外の何者にもなれないってことを確かめにきた。」
大事な人ももちろん大事だし、自分のことも大切にしたい。潔くなれなくても、自分のことを大事にしてあげたい。人に支配されたくない、強制されたくない。自分の人生を選んで生きたい。そう思えるようになっただけでも、前に進めると思う。他人の目を気にしなくて済む、そういう生き方をしたい。ハイボールとけもなれで溶けた身体は、明日の朝にはきちんと会社に向かっているだろう。
ガッキーが画面の中で言う。「私たちにとっても上司は替えがきくんです。社長の言葉は社員のだれにも通じてないことになります。私は悲しいです、社長と言葉が通じなくて。一方通行の関係はしんどいです。人間だから、嬉しかったり悲しかったり間違えたりもします。もう限界って思ったりもします。自分を殺して、本当に死んでしまう前に、辞めます。」
ガッキーの気持ちも勿論わかる。でもきっと社長も言葉が通じなくてつらいんだろうなって思う。甘えたいって気持ちも分かる。自分がいちばん上に立つということは、時にそういう環境を作り出してしまうこともある。(前職がそうだった)前職の社長は、多分どうしていいのか分からなくなっていた。辞める前に話をしたけれど、そういうふうに感じた。社員も言われるままにやっていればいいという考えが根付いてしまっていて、波風を立てたくない人が多かった。カルチャーが合わないとお互い不幸になる、というのを肌で感じた。
松田龍平も爆弾を投げる。獣になれないと思っている人たちが、周りのひとたちの姿を見たり、お互いに話をしたりして、ついに爆弾を投げる。私は、一歩ずつ進めているだろうか。爆弾を投げたいと思う日はやってくるのだろうか。大切にしたいものは自分で守りたい。まずは自分のことを守りたい。
もうぐだぐだなのはわかっているからやめる。私はガッキーじゃないし、松田龍平と飲み屋で出会うこともない。電話で軽口を叩ける仲になんてなれない。私は私の人生を生きるしかないな。お酒はある意味で救いだ、いろんな口実になる。
鐘は、最後まで聞こえない。それでもいい。
私がハッピーエンドに取るか、バッドエンドに取るか。切り取ってハッピーエンドだとしても、そのあとも永遠にそうだとは限らない、その逆も然り。私がみたいように、見る。鳴らなくてもいい、一緒にいたいと思えるのなら。そういう関係を築いていこうと思えるのなら。
知りたい、のその先にそういう世界があるのだろうか。今はまだ分からない。「ん?じゃねーよ」と笑う松田龍平にいつか会えるならば、今頑張ろうと思える。自分でいられる人と、生きていきたいな、それが彼氏じゃなくてもいいなって、思うんだ。そういう人がたくさんいる人生はきっと楽しい。