人生なんてぜんぶかんちがい
みみばしる
って言葉をきいて、何を思い浮かべる?
ほとんど事前情報を入れずに観に行った舞台、石崎ひゅーいさんが音楽監督をつとめ、ワタナベシンゴ(THE BOYS&GIRLS)さんが舞台上で生演奏する音に、声に、すべてを持っていかれた。
松居大悟監督の描く、”受信者だったリスナーが主役になる”境界線を越える舞台。演技経験不問のオーディションから選ばれた出演者たち。
「人生なんてぜんぶかんちがい、聞こえたもんがち」
自分自身がラジオに救われた経験を持つひとならば、誰しも共感する部分があるだろう。そしてSNSが当たり前になった時代で、自分の姿を問い直す、照らされて鏡に映った自分が舞台に立っていた気がした。
何が本当で、何が嘘で、言葉って、表現ってなに?目の前に見えるもの、見えないもの、想像力、混じりけのない本当って多分ないんじゃないかって、ぐるぐると頭のなかで考える。境界線は曖昧で、こちらから見たら本当でも、あちらから見たら嘘かもしれない。誰が正しさを決められるのだろうか。
結局、「それぞれ信じている意味での本当」だけが存在していて、誰かの嘘に都合よく救われることだってある。悪意か善意かってことも関係ない。私はこれまでも、そしてこれからも、ぶつけられた嘘に傷付き、優しい嘘に守られて生きていくんだろう。望めば嘘を本当にすることだって、できる。愛を語って舞台に立つひとがいる、役者ってなんだろう、境目はいったいどこにあるんだろう、、考えればきりがない。
歌声が頭じゃなくて身体に響く感覚を、舞台のなかで何度味わっても慣れなくて、心ごともっていかれる。歌声が、歌が、声が、芝居なのか、違うのか、そしてそれら全部がどうでもよくなるほどに、伝わってくるものを受け止めたい。
言葉の力の限界とか、目の前にいる自分という人間と、それ以外の人間、わたしとあなた。ああ面白かった、だけじゃなくて、観終えたあとに頭のなかにいくつもの問いが生まれるものが好きだなって思った。
舞台は2/17(日)まで、当日券もあるみたいだったので、気になる方はぜひ。
( みみばしる オフィシャルサイト)
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