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雑誌編集者のリアルな仕事からわかる、編集者に必要なスキルとは?

以前、自己紹介にも書いたんですが

私は旅行関係の雑誌の編集者をしていました。
その後、ブランクを経て、クリエイティブの仕事に戻ってきました。
今の仕事は編集者もするし、イベントの企画もするし、何でもする「クリエイティブディレクター」という職名を与えられています。クリエイティブのことなら何でもするので、もちろん編集の仕事もします。

そもそも、編集者って何なの?と聞かれたとき、説明をするのが少し大変でした。

「雑誌の編集者です」というと

記事を書くんですか?と聞かれ、「記事を書くのはライターです」
記事の紙面を作るんですか?「紙面を実際に作るのはデザイナーです」
記事の写真を撮るんですか?「写真を撮るのはカメラマンです」

それを聞いた人は、「え? じゃあ、実際何してるの?」と言う。
そうだよね、そう思うよね…

働き方改革なんてなかった時代、終電がデフォルトで、徹夜も普通にしてて、プライベートなんてなかった…それが編集者っていう仕事だったんだよ、と叫びたい。

今は、リモート化、WEB会議の進化、などかなり業務環境が改善してきていますが、本当に本当に、自分の身を捨てて記事の為に捧げないとやっていけない仕事でした。

じゃあ、仕事内容は?というと、会社によって違う、というのが答えですが、今回は、「私の場合」をお話します。

編集者は英語にするとEditorです。しかし、私の会社では編集者=Directorと言われていました。

Directorとは?
制作物の作品としての質に責任を持つ者のこと。その責務を全うするために、企画・立案・制作に関与して業務全般をつかさどる場合もある。

とWikipediaには書かれています。

私は編集者は「記事を統括する指揮者」だと上司に言われて育ちました。
自分が表現したい音楽、作りたいものを作り上げるために、たくさんの人に協力してもらうこと、一言で説明すると、こうです。

もう少し掘り下げてお話します。

雑誌編集者のリアルな仕事とは??
1, 企画をする
まず、どんな記事が読者に受けるのか。どんな記事があれば本が売れるのか、そして人が動くのかを考えます。ただ、思いつきだと企画は通らないので、過去のデータやアンケートや、現地の調査や、そういうものを分析して、企画を作ります。会議を何度も通して企画が完成します。

2、企画したものを実現させる
私は観光系の記事を作ることが多かったです。例えば、とある観光地のスイーツの課題が「メニューが毎年変わらない」だったとします。そしたら、実際に交渉したりして、季節限定メニューを作ってもらいます。その時、どんなスイーツを提案すればいいのか?実現させるのにどうすればいいか、そして実際に実現させるために動きます。観光地は大きく何かが変わるわけではないので、読者に遊び方の提案をしたり、新しいメニューを作ってもらったり、見せ方で工夫をするなども必要でした。

3、企画の熱意をみんなに伝える
実現させるためには、自分ひとりでは無理です。私はこんな企画をしたい!だから協力してください!とライターさんやカメラマンさんやデザイナーさんを巻き込みます。
2の交渉で、自分が手一杯の時はライターさんにお願いすることもあります。

4、取材に行く
取材に行って、記事を書くのはライターさん、写真を撮るのはカメラマンさん。編集者は全体のコントロールをします。企画の趣旨を取材先に説明したり、何かあったときの判断をしたり、と影で動きます。

5、実際の紙面を作る
紙面の構成を作る(ラフといいます)私はラフが苦手。昔は手書きでした。
使う写真を決めて、デザイナーさんにラフと写真を渡す、ライターさんにコピー制作依頼をする。(自分で一部書くものもあります)ここでも企画の趣旨を伝えないと、デザイン、ライティングが思っていたものと違うものがあがってくる危険性があるので、自分がどんなものを作りたいかのビジョンを持っていないと大変!

6、記事を校了させる
内容に間違いがあったら大変!ですので、間違いがないかは取材先に確認を出したり、とにかく大変です。穴が開くほど原稿を見つめます。私は、最終確認の日、いつも胃がキリキリ痛んでました。この日は電話なんて取れないし、本当にバタバタします!

とまあ、こんな感じで業務が進むんです。これを月に何本も持っていて、しかも月刊誌の場合は4号分ぐらいをまわす。この号は企画、この号は取材、この号は入稿…
こんな感じで微妙にずれているので、終わりがない。エンドレス…

しかも、編集者の仕事にはは正解がない。自分が拘ろうと思えばどこまでも拘れる。
ある意味自分との闘いなのです。

私は編集者の仕事を少し離れて、その間教育業界にいました。

しかし、今、編集の仕事に戻ってきました。大変なこともあるけど、やっぱりこの仕事が好きです。
自分が作りたいと思ったものが形になり、それをたくさんの人に見てもらえる。
たくさんの人に影響を与える編集の仕事は、大変でもそれだけのやりがいがあります。

こんな私でも、「編集の仕事がしたい」と相談を受けることが結構あります。

私は自分が採用する立場ではないので、大きな事は言えないのですが、どういう人が編集者に向いているか?というと

●前向きに物事を捉えようとする人
プライベートではネガティブになることは誰にでもあります。でも、雑誌であればって、基本的には読者に幸せな提案をしますよね?このコスメがかわいい!このファッションがかわいい!この料理がおいしい!この観光地がすてき!楽しんで!と
良いとこを探し、提案して、読者に幸せになってもらう。
常に、長所はどこか?どうすればもっと魅力的に伝えることができるか?を考える力は大切だと思います。人のいいところを探す、とか嫌なことがあっても「これはよかった」と前向きにとらえるなどしていくといいと思います。

●調整役ができる人
編集者って仕事の大部分が「調整」だったりします。取材の日程、ライターさん、カメラマンさん、デザイナーさんへの連絡。それをうまくやりくりすることがとても大切です!
飲み会や旅行など、幹事を積極的にして、調整役を買って出るのもいいかもですね!

●相手の意見を聞きつつ、自分の意見を言える人
自分がやりたい企画をいろんな人に伝えて協力してもらうのが編集者の仕事。
だけど、自分がやりたい事ばかり押切り、周りの意見を聞かなければ誰も協力してくれなくなります。それに、もしかしたら意見の中に企画をもっとよくできるものがあるかもしれません。ですので、相手の意見を聞く事は大切です。友達や家族と話すとき、一呼吸置いてみるのがいいかもしれません。

私もできていないところがたくさんあるので勉強中です。
ライティングの力、デザインの力、ソフトが使いこなせる…
そんなスキルがあったらとても素敵です!

でも、編集者は実際に制作をするのではなく、このように記事の指揮をするポジションなので、将来編集者になりたい!という方は、少しでも思い出してもらえたら嬉しいです。
ちなみに、これはあくまでも私の経験から、ですし、ジャンルが変わったら仕事内容も変わると思いますので、あくまでも参考程度に!

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