日本経済を分析するためのノート(6)
現代の先進国の経済の特質としては次のことがあげられます。
①金融市場の厖大化
過剰となったマネーが金融市場に大量に流れ込み、いまや金融市場(株式時価総額、債券残高、銀行融資残高の合計)の規模は、世界全体のGDPの3.6倍に達しています。
このことにより景気循環の様相も変化してきています。
金融緩和による金融市場の活況
⇒資産効果などによりその実体経済への波及
⇒実体経済の好況
⇒金融バブルの崩壊
⇒実体経済の不況への推転
という構造をとるようになっています。
典型的にはアメリカです。
もちろん日本の多くの企業がこの金融市場から利益を受けており、金融収益の確保を企業活動に組み込んでいます。
しかし日本では平成バブルの破裂以降、金融バブルはおこっていません。日本では預貯金という安全なかたちで多くの資産が保有されています。
金融資産における現金・預金の割合は、日本54.3%、アメリカ13.7% ユーロ圏34.5%です(日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」2022年8月)。
日本企業は多くの現金・預金というかたちで資産を保有しており、2021年3月時点では320兆円にまで膨れ上がっています(日本銀行「資金循環勘定」)。
この金融市場での動きが世界の実体経済を大きく左右するようになっていることは確かです。
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