140Pの同人誌を出したので効率の良い方法をまとめてみた~コマ割り・下絵・ペン入れ編~
noteを始めたばかりでわかっていないことも多いのですが、いまだに最初の記事も「好き」通知をいただいて喜んでいます。
「自分はこうしている」というご自身のやり方や、「ここはどうやって描いてるか聞きたい」という質問があればtwitterやコメントをいただけると嬉しいです!
効率が良いと思う・時短テクについては、準備段階である前回までの2つの記事が重要な部分かな。
▼プロット・ネーム編
▼原稿用紙編
今回からは具体的に漫画を描く作業に入るので私の「漫画を描くときのこだわり」も入ってきます。1つの参考程度に読んでもらえると嬉しいです。
※すべてCLIP STUDIO EXで作業しています。
漫画を描くときのこだわり
私が漫画を描くときのこだわりは「わかりやすいか・見やすいか・伝わるか」です。
絵や内容は他にもっともっとうまい人が沢山いるし、すぐには上達しない。
だからせめて分かりやすい・見やすいと思ってもらいたいし、自分が描きたいことがきちんと伝わってほしい。
読んでくれる方にとって引っ掛かることなく・スムーズに読める作品でありたいと思っています。
私の作品が分かりづらくて何度か読み返す時間を費やされてしまうより、推しカプの本を描いたり読んだりしてもらいたい。
時短と効率を強調していますが、限られた時間の中で自分にできる精一杯のクオリティを維持する方法なのです。
効率が良いコマ割りの方法
皆さんは漫画を読むとき、絵とフキダシのどちらから読みますか?
私はフキダシから読みます。
そのため、フキダシが読みやすければ読みやすい漫画に一歩近づけるだろうと考えて、先にコマを割りフキダシの位置を決めています。
1.コマを割る
まずはコマを割っていきます。
ネームができた段階のキャンバスはこんな感じです。
これにコマ割るぞ!
コマ枠の太さは10px。
左右の間隔はコマ同士の「縦の隙間」、上下の間隔はコマ同士の「横の隙間」です。コマは縦より横の間隔の方が太いほうが読みやすいですが、どれくらい空けたらいいのかは漫画によってまちまちです。
好きな漫画のコマの隙間を計ったら1:2だったので私もそうしています。
レイヤーの整理が苦手なのでなるべくシンプルにしたく、コマ割りフォルダは使っていません。
2.フキダシを置く
セリフに合わせてフキダシを置いていきます。
先にフキダシを置くことのメリットは3つ。
・視線誘導を意識できる(読者の目線を意識)
・コマ内で力を入れて描くところを意識できる(描く側の意識)
・コマで隠れているところは描かない(時短)
青が読者の目線。ピンクが読者の目が行く部分なので、重要なことや見てほしいものは意識して描きます。大体コマの中央部分ですね。
難しくて描けない、物語に重要でないと思うところはフキダシで隠すことも……。
フキダシを描くのが苦手なので、もっぱら素材のお世話になっています。
▼お世話になっているフキダシ素材
効率が良い下描きの方法
下描きは結構雑だったのですが、今はなるべく時間をかけて納得がいくまで描いています。
というのも、先の記事で紹介した「時間を計りながら描く方法」で分かったのですが、きちんと下描きを描いているほうが結果的に速いという……。
1年以上前に描いたものなので今見るとペン入れも雑だなあ……。
効率が良いペン入れの方法
ペン入れの工程が一番好きです。完成形がイメージしやすくてゴールが近いと感じられるから。実際のゴールはまだまだ先なんですけど。
ベクターレイヤーを使う
ペン入れはすべてベクターレイヤーで行っています。
使っている人も多いと思うのですが、消すのが楽なこと・後から太さを変えられることがメリットですね。
人物のレイヤー構成は頬・顔・髪・線画の4つに分けています。
背景や小物などは必要に応じて新規レイヤーを増やします。
こんなに分かりやすく分けているのにいつも別のレイヤーに描いてしまって、どこに何を描いたのか迷子になってしまう……。
迷子になったときのために、どのレイヤーに何が描かれているか分かりやすいようレイヤーの表示を描画範囲にしておくと便利です。
使っているブラシ
2023年11月現在、モノクロ原稿で使っているブラシは、初期から入っている「リアルGペン」です。
太さはA5・600dpiの原稿用紙で10~12px。細い部分は6~8pxくらい。
以前は「ペン入れ汎用ブラシ」を使っていました。
1~5話は全部このブラシでペンを入れています。出来上がった本を見てもっと細い線の方がいいかも?と思い、エピローグは「リアルGペン」に変更しました。
描き味がとても気に入っているので下書きなどに使っています。おすすめのブラシです。
▼ペン入れ汎用ブラシ
余談
同人誌を上下巻に分けて良かったのは、上巻を印刷して線の太さやトーンの出方などを確認し、下巻に活かすことができたこと。
上巻は初めて出張編集部に持ち込みをしました。
同時期に描いていた別の作品(同じカプのアンソロ)と合わせて2作品見てもらったのですが、絵についてはアンソロの方がいいと言われて。
同じ条件で描いているはずなのに何が違うんだろう…と比べたところ、線が細く出ていました。
アンソロはB5サイズだったこと、別の印刷所を使用されていたことで、線が細く印刷されていたのです。
結果として、自分に合った・満足いく線の太さが分かったと感じています。
次回はトーンとクイックアクセスなどを紹介します。早めにアップしたいなあ。