『日本共産党の百年』読書ノート その17


限定的な閣外協力

7中総の開催月に誤植があったとコメントした以外は、引用だけです。

『百年』は、限定的な閣外協力について次のように記述する。

(2021年10月の)総選挙に向けて、党は、9月8日に他の野党と市民連合の共通政策に署名するとともに、9月30日、立憲民主党との党首会談(志位和夫委員長・枝野幸男代表)をおこない、「新政権」において「合意した政策を実現する範囲での限定的な閣外協力」をおこなうことを合意しました。野党共闘がついに政権問題での合意にいたった、重要な党首会談でした。共通政策と政権合意を土台に、党は、はじめて政権交代に正面から挑戦する歴史的なたたかいにのぞみました。

『日本共産党の百年』p55s4

合意をうけての志位委員長記者会見は次のとおり。

(合意内容は次のとおり)
両党は以下の点を協力することで合意した。
 1、次の総選挙において自公政権を倒し、新しい政治を実現する。
 2、立憲民主党と日本共産党は、『新政権』において、市民連合と合意した政策を着実に推進するために協力する。その際、日本共産党は、合意した政策を実現する範囲での限定的な閣外からの協力とする。
 3、次の総選挙において、両党で候補者を一本化した選挙区については、双方の立場や事情の違いを互いに理解・尊重しながら、小選挙区での勝利を目指す。

(記者からの質問に対し)
枝野代表から…首相指名選挙において、枝野氏への投票の要請がありました…枝野代表に投票するとお答えをいたしました。
私たちは、野党連合政権について、「閣内協力も、閣外協力もありうる」と言ってきました。今回合意された内容は、私たちとしては、わが党が提唱してきた野党連合政権の一つの形態だと考えています。

2021.10.1 党首会談での合意を受けて志位委員長の記者会見
https://www.shii.gr.jp/pol/2021/2021_10/D2021_1001_1.html

なお、この合意に基づく政権が共産党綱領上の「さしあたって」政府であることは間違いないはずが、暫定的な政権(政策目標を達成したら解散する)として位置付けているのかは、そういう説明がないので、分からない。反戦争法統一戦線政府提唱の時は「暫定政権」との説明があったが、この2021年10月合意政権構想についてはまだない。

以下は、Wikipedia「民共共闘」からの引用

政権選択となった第49回衆議院議員総選挙(2021年10月31日投開票)では、選挙後の連合政権構想についても、立憲民主党と共産党の間で協議が行われた。結果、連合政権構想内での共産党の立ち位置は、「限定的な閣外協力」というものになった。すなわち、通常の「閣外協力」のように、全ての政府提出法案の事前審査に共産党が参加するのではなく、市民連合と合意した政策に関わる法案に限って事前協議に臨む、という方針であり、実質には法案の採決でその都度協力を取り付ける、「パーシャル連合」に近いものであり、従来の野党共闘から踏み込むことはできなかった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%85%B1%E9%97%98

『百年』は、この総選挙の結果を次のように総括する。

これは支配勢力から見れば、史上初めて共産党が政権に参加するかもしれないという心底恐ろしい展開でした。かれらは、一部メディアも動員し、…共闘攻撃、党攻撃がふりまかれました。…
党は、21年12月の中央委員会総会で、総選挙のたたかいから教訓をひきだし、支配勢力の必死の共産党攻撃にたいして、それを上回る必死さで反撃する点での弱点があったことを反省し…また、野党共闘の対応の弱点を分析し…諸課題を提起しました。

『日本共産党の百年』p55ss4-5

以下は、4中総からの引用。

野党が力をあわせて、共通政策、政権協力の合意という共闘の大義、共闘によって生まれうる新しい政治の魅力を、さまざまな攻撃を打ち破って広い国民に伝えきる点で、十分とはいえませんでした。
とくに、自公と補完勢力による激しい共闘攻撃に対して、野党が力をあわせて、共同の反撃の論陣を張るまでには至らなかったことは、大きな弱点でした。

2021.11.27 第4回中央委員会総会幹部会報告
https://www.jcp.or.jp/web_jcp/2021/11/4chuso-houkoku.html

『百年』の「12月」は誤植であろう。
7中総は、2021年11月27・28日開催。

以上


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https://note.com/aikawa313

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