「人間抑圧型の社会」という用語
『百年』。第20回大会(1994.7)での旧ソ連社会論。
第20回党大会にかかる箇所に、「社会主義とは無縁の人間抑圧型の社会に変質した」とある。
『八十年』では「社会主義とは無縁な体制」だった箇所を、『百年』では「社会主義とは無縁の人間抑圧型の社会」」に改めている。
問題は「人間抑圧型」という用語である。
第20回大会の議案には、次のとおり、「人民が…抑圧される存在」「自国人民への抑圧」などの表現はあるが、「人間抑圧型」は使われていない。
「社会主義とは無縁な社会」は使われている。
第20回大会(1994.7)は、「自由と民主主義の宣言」の改定を新中央委員会に委任している(綱領一部改定案の討論についての結語)。
改定後の「宣言」は次のとおり、「人民抑圧的な体制」と書かれている。
「人間抑圧型の社会」は、第23回党大会(2004年)の綱領改定の際にはじめて公式文書の中に書き込まれた用語だ。
「人民抑圧型」にせず「人間抑圧型」としたのはそれなりの理由があると思われるがはっきりしない(その理由が書かれた文書を探したが見つけられなかった)。
「人間抑圧型の社会」を、単に、一般的に用いられる通俗的な意味で用いると決めた(その是非は別にして)のであれば、『百年』のように書いてもまったく差し支えないだろう。
ただ、「人間抑圧型の社会」をひとつの社会科学用語として取り扱うのであれば、第20回大会時点で「人間抑圧型の社会」という用語があたかも用いられていたかのように書くのはいかがなものかと思う。
なお、『百年』では、第3章の最後(p34s4)にも「人間抑圧型」が第20回大会で用いられたかのような記述がある。
「国有化」を「民主的規制」に変更
『百年』。第20回党大会の箇所。
『八十年』にあった、党綱領から「国有化」の条項をなくしたことについての記述が『百年』では見当たらない。
中国共産党との関係正常化
『百年』の「中国党との関係正常化」の部分(p43s7-p44s1)。
『八十年』の次の記述が『百年』では削られた。
一方、『百年』では次の記述が 加えられた。
つづく
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