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【合唱】第九以外にも名曲が!〜合唱人が個人的におすすめするクリスマスに聴きたいオーケストラ伴奏の声楽曲
合唱人あいかなです。
日本でクリスマスシーズンに聴く定番の曲といえば「第九」ですが、今回は「第九」以外に合唱人として個人的におすすめするオーケストラ伴奏の声楽曲2曲を紹介したいと思います。どちらも、オラトリオと呼ばれる宗教的な題材を基にした独唱や合唱、管弦楽によって構成される大規模な楽曲ですが、下記をご覧いただければ宗教に関係なくおすすめできる理由が分かると思います。
おすすめ1. ヘンデル:メサイア
「ハ〜レルヤ、ハ〜レルヤ」という曲は「第九」並に誰もが耳にしたことがあると思います。その「ハレルヤ」で有名なヘンデル作曲「メサイア」。クリスマスだけでなく年間を通して愛されていますが、特にクリスマスシーズンにふさわしい曲です。
普遍的なメッセージ
「メサイア」は、イエス・キリストの生誕、受難、復活を描いた壮大なオラトリオで、宗教を超えて多くの人々に感動を与えてきました。特に、クリスマスの時期には第1部「救世主の到来」に焦点を当て、希望と光に満ちた世界観を感じられます。「For unto us a Child is born」など、イエス・キリストの誕生を祝う部分は特におすすめです。
「ハレルヤ」の喜び
合唱曲の象徴ともいえる「ハレルヤ」は、この作品の中核的な存在です。力強いハーモニーとダイナミックな演奏が、聴衆に言葉を超えた感動を届けます。クリスマスにこの曲を聴くことは、まるで世界中の人々と喜びを共有するかのような経験です。
対話するような合唱
「メサイア」では、合唱と独唱、オーケストラが絶妙なバランスで「対話」します。合唱の場面では天使たちが声を合わせるような神々しさが表現され、これが生演奏では特に際立ちます。
全曲を聴いてみたい方はこちらの動画がおすすめ。感染対策でマスクをつけた演奏ではありますが、日本語字幕がついていて分かりやすいです。
「題名のない音楽会」でもおなじみ、バッハ・コレギウム・ジャパンの鈴木優人さんの楽曲解説、実際の演奏にコメントされている様子はまるでスポーツの実況解説のよう! なかなか興味深いですよ。
おすすめ2. J.S.バッハ:クリスマス・オラトリオ (Weihnachtsoratorium)
バッハは知ってるけど、オルガンか弦楽器のイメージで声楽曲なんて聴いたことないという方も多いのではないでしょうか?
この曲は、壮麗なコラール、繊細なアリアの数々、聖書のクリスマス物語を音楽で描き出していて、明るい雰囲気でバッハに親しみのない方でも聴きやすいものだと思います。
喜びと感動の物語性
「クリスマス・オラトリオ」は、6つのカンタータから構成され、イエス・キリストの誕生にまつわる物語を描いています。特に第1曲「Jauchzet, frohlocket!」(歓呼し、喜べ!)は、祝祭的なトランペットとティンパニが奏でる冒頭から聴衆をクリスマスの喜びの世界へ引き込みます。
歌詞と音楽の一体感
バッハは音楽と歌詞の深い結びつきを大切にしており、旋律やハーモニーが歌詞の内容を鮮やかに表現します。たとえば、「Ich steh an deiner Krippen hier」(私はあなたの飼い葉桶のそばに立つ)では、牧歌的で親密な雰囲気が音楽に込められており、キリストの誕生を個人的な信仰として捉える視点が提供されます。実際に聴く場面では、ぜひ歌詞を見ながら聴くことをおすすめします!音楽がより心に響いて聴こえると思います。
クリスマスのスピリット
「クリスマス・オラトリオ」を聴くことで、聖書の物語だけでなく、クリスマスがもつ「感謝」「希望」「信仰」の価値を改めて考えさせられます。キリスト教徒でなくても、これらを普遍的なものとして感じられるのが、バッハの曲の凄さだと思います。また、この曲が持つ厳かな雰囲気と明るい響きは、聖夜にぴったりです。
やっぱりなんだか難しい?と感じた方は初心者にも分かりやすい解説をしてくださる車田さんの解説をご覧ください。
YouTubeで見られる中でおすすめの演奏は、こちらです。
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実際に演奏会で聴いてみたい方へ!
関東でおすすめなのは、やっぱりバッハ・コレギウム・ジャパンです。
今年のメサイア公演はほとんど完売のようですが、来年11月にはクリスマス・オラトリオ公演があるそうです。
関西の方はこちら。
「メサイア」に対して、「クリスマス・オラトリオ」の公演回数は圧倒的に少ないので、下記の公演は生で聴ける貴重なチャンスですよ!
クリスマスコンサートのお知らせです🎄
— 京都バッハ合唱団オフィシャル♪ Kyoto Bach Choir official (@kyotobachchoir) October 3, 2024
♪クリスマスオラトリオ1-3部とマニフィカトを演奏します。
■・日 時:2024年12月21日(土) 開演:18:00
・高槻城公園芸術文化劇場 北館 中ホール
・一般 3,500円(当日4,000円)/学生 1,500円
★チケットお申し込みはこちらからhttps://t.co/YpsJlUQGTh
まとめ
クリスマスに「メサイア」や「クリスマス・オラトリオ」を聴くことは、単に音楽を楽しむだけでなく、祈りや感謝、希望といった普遍的なテーマに触れることでもあります。そして生演奏で聴くことは、心に直接語りかける音楽の力を全身で味わう体験です。「第九」しか知らなかった!という方も、今年のクリスマスはぜひ、これらの名曲を生で聴き、特別なひとときを過ごしてみてください。