あなたが教えてくれた『自分らしさ』
「脳がおばあちゃんだ」
最近よく言われる。私は壊滅的に語彙力がない、会話の途中でふさわしい言葉が出ない時に主人から言われる言葉だった。
「あいかもの脳の引き出しは空っぽなのか?」
どうしたらそんな面白い言葉が浮かんでくるのだろう。他愛もない会話でこんなにもお腹を抱えて笑えるのは彼しかいないんだと思う。二人でいられる時は24時間の中ではほんの少し、その中で私たちの空間にはいつも明るい声色がある。愛の言葉は年に1回あるかないか、ほとんどはくだらない言葉ばかり。そんな私たちも最初から分かり合えていたわけではない。
付き合い始めた時、思いが通じたと飛び上がるほど嬉しかった。私は彼が欲しくてたまらなかったから。でもそれは我慢の始まりだった。「毎日電話をしたい、毎日だって会いたい」そんな重い私を敬遠し始めた。「こんなはずじゃなかった、付き合うことも考えないといけない」付き合い始めたばかりなのに終わりが見えてきた。別れたくない、やっと進展したのに。いつも付き合えば行動や言葉で愛を確かめていた私には彼の悩みが恐怖でしかなかった。
こんなことで終わらせたくない。
とにかく仕事をした、没頭できる何かが欲しかった。休みの日にはボーっとしていると会いたい思いが強くなってしまうので一人で出かける事が多くなった。時間が出来ると連絡をとったり、気を抜くと会いに行ってしまいそうだったから。今思うとストーカーまがいのヤバイ奴だったなと思う((笑))
最初は相当我慢して毎日を過ごしていたけれど、次第に1人の時間を楽しめるようになっている自分がいた。独りで映画を見に行けるようになったし、ドライブに出かけプチ温泉旅行にも行けるようになった。誰のためでもない自分が楽しめるリフレッシュを見つける事が出来たんだ。
それと同じくらい彼への気持ちも大きくなっていく。会えない日々が思いを強くしていた。
いつかの1人ぼっちの部屋、どうしてもぬくもりが欲しかった。
LINEのトークを見つめる。
言葉を交わしたい
でも
触れてしまうとあなたは離れていってしまう。
どうしようもない衝動にかられたときに私はトーク履歴を読み漁る。
そして嬉しかった言葉、表情、私を見つめる優しい目を思い出し1人妄想の世界に入る。
うん、大丈夫。離れていても思いは一緒だ。
信じていくしかない。
そんな時、LINEにメッセージが届く。
「まだ起きてる?」
彼からだった。
私もメッセージを贈ろうと思いながらも躊躇していた。
やっぱり思いは一緒だった
「大好き」
思わず打ち明けた本心
「俺も好きだよ」
彼からの”好き”は人生でこの1回だけだった。
♢
今でも忍耐の日々は続いている。結婚してから彼の横柄ぶりはパワーアップしており、頭を悩ます事例が数多くあっている。破局の危機はこれまで何度もあった。結婚してから数日でケンカをし3ヶ月家に帰ってこなかった時もある。彼の事でどれだけ苦しく涙を流したか分からないほど・・・。
だけど、それよりも多くのかけがえのないものを私に教えてくれた。
人を信じ抜くこと
自分を大切にすること
誰かを一心に愛する事
私は彼と過ごしていく中で心を成長させてもらっている。これまでは自分の癒しの為だけだった異性の存在。今はともに育む存在になっている。
「そういうのやめてほしいんだけど」
嫌な事や気になる事は思った時に面白くして伝えるようにしている、ストレスをためないために。「何でもかんでも、自分で背負い込みすぎるな。背負い込みすぎるなら2人でいる必要がないだろうが」と彼が言ってくれたから。考えていないようでちゃんと2人のことを考えてくれる、硬派な主人。思わせぶりなことは決して言わない、だから伝わる言葉が真実だと信じられる。
どんな自分でも、たとえ嫌な自分でもありのままを見せられる。
そのままを丸ごと受け止める誰かがいるから。
こんなにも心地いいものとは思わなかった。
あなたが教えてくれたんだよ。
最後まで記事を読んでくれてありがとうございました!