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【掌編小説】口を拭う

屋上のフェンスを登るのはそう難しいことでは無かった。
問題は知らない奴がそこにいたことだった。

酷く顔が青ざめており、脚もプルプルと震えている。
思わず心配になり声をかけた。

奴はこんな所にいる自分の存在に驚いたのか、凄い勢いでフェンスをよじ登りそのままドアの向こう側へと走り消えてしまった。
やれやれはた迷惑な奴だ。せっかく助けてあげたんだから簡単には消えちゃわないでくれよ、と独り言を吐いて一歩踏み出した。






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