データプラットフォームの選び方とは?必要な準備と見るべき8つのポイント
「データプラットフォームの選び方が分からない」
「データプラットフォーム導入の際はどこを見ればいい?」
データプラットフォームの導入を検討する際、このように思う方が多いでしょう。たしかにデータプラットフォームと一言でいっても多くの種類があり、つい目移りしてしまうものです。
ただ、適切なデータプラットフォームを選ぶかどうかで、ビジネスの成果は大きく左右されます。今後必要不可欠になるデータプラットフォームの選び方を、ここで確認しておきましょう。
本記事では、データプラットフォームを選ぶための準備と、実際に選定する際に見るべきポイントを紹介します。
本記事の内容は、適切なデータプラットフォームを選択する手助けになるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
最適なデータプラットフォームを選ぶための準備
データプラットフォームの導入には少なくないコストがかかるため、はじめから自社に合ったものを導入したいですよね。
そのためには、まず適切な準備が必要です。最適なデータプラットフォームを選ぶための準備として挙げられるのは、以下の3つです。
目的を明確にする
プロジェクトメンバー・部署を決定する
どんなデータプラットフォームが必要か吟味する
どれもすぐにできることばかりです。よりよいデータプラットフォーム選びのためにも、ぜひ実践してみてください。
目的を明確にする
データプラットフォームの導入において、最も重要なステップは「目的を明確にする」ことです。これにより、適切なプラットフォームの選定や効果的な運用が可能となります。
目的を明確にすることは、データプラットフォームの導入だけでなく、プロジェクトを進めるときには必ず必要です。
数々のプロジェクトにかかわってきた経営コンサルタント・山口 周氏は自身の著書で、「プロジェクトは始まる前に決まる」「目的を明確化することが重要」としています。
参考:「【新装版】外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント(大和書房)山口 周(著)」
また、プロジェクトマネジメントの第一人者であるアントニオ・ニエト=ロドリゲス氏は自身の著書で、プロジェクトの基礎・土台として「目的」「コスト」「利益」の3つを挙げています。
プロジェクトを立案する際には、目的の明確化が大前提となるのです。目的の例としては、「データに基づく意思決定ができるように体制を整える」や「サイバー攻撃から身を守るためのデータ管理体制を整える」などが挙げられます。
目的は、誰が見ても分かるように設定しましょう。後に他の社員へ目的を共有するため、経営陣だけが分かるような目的になっていても意味がありません。
データプラットフォームの導入も立派な一大プロジェクトのため、目的の明確化を軽視せず、取り組んでみてください。
プロジェクトメンバー・部署を決定する
データプラットフォームの導入においては、プロジェクトの成功を確実にするため、適切なプロジェクトメンバーや関連部署の選定が不可欠です。
これは、データプラットフォームの導入に際して全社員で話し合うのは現実的ではなく、中心となって動く組織が必要であるからです。
中心となる組織を決めてデータプラットフォーム導入のプロジェクトを立ち上げたり、企業のセキュリティ部門にサポートを依頼したりして進めていきましょう。
データプラットフォームは全社で使っていくものです。プロジェクトメンバーや部署だけで意思決定をしていくと、導入後に他の社員から不満が出る可能性も考えられます。
そのため、できれば導入前に各メンバー・部署で分担して、他の部署の社員の意見を聞く機会を設けられるといいでしょう。
適切なメンバー選出と意見の収集ができれば、導入後の効果を最大化させる要因となります。
どんなデータプラットフォームが必要か吟味する
データプラットフォームを導入する際には、自社のビジネスニーズや将来的な目標に合わせて、最適なプラットフォームを選定することが極めて重要です。
例えば、「サイバー攻撃から身を守るためのデータ管理体制を整える」という目標に対して、人気があるからという理由でデータ収集に特化したデータプラットフォームを導入したとします。
すると、守らなければならないデータが増えていくばかりで、セキュリティに関するカスタマイズを追加で行うための余計なコストがかかってしまいます。
この目標であれば、セキュリティがしっかりしているデータプラットフォームを選定するのが正解といえるでしょう。
このように、データプラットフォームを導入する際には、単に新しい技術を取り入れるだけではなく、自社の実際のニーズに基づいて適切な選定を行うことが必要です。
事前に目的を明確化して適切なメンバーや部署の選出を行い、それに基づいて最適なプラットフォームを選ぶことで、導入後の効果を最大化できるのです。
データプラットフォームを選ぶときに見るべき8つのポイント
データプラットフォーム導入の準備が済んだら、次はいよいよ選定です。しかし、一言でデータプラットフォームといっても多くの種類があり、どれが自社に合っているか分からない場合も多いでしょう。
そこで、ここではデータプラットフォームを選ぶときに見るべき以下8つのポイントを紹介します。
機能
実績・サポート体制
コストパフォーマンス
セキュリティ
操作性
運用体制
柔軟性・拡張性
既存システム・ツールとの連携
一つずつ吟味すれば、より目的に合ったデータプラットフォームを導入できるはずです。自社の目的と照らし合わせながら見ていきましょう。
機能
データプラットフォームを選定する際、最も重要なのはそのプラットフォームの持つ機能が自社の目的やニーズに合致しているかどうかです。
たとえどんなに高性能なデータプラットフォームでも、目的と機能が合っていなければ、宝の持ち腐れになってしまう可能性は大いにあります。
例えば、データから予測を立ててマーケティングに生かすことが目的なら、AIや機械学習の機能がおすすめです。集められたデータをもとに分析し、購買意欲の高い顧客やサービスを辞める可能性の高い顧客などを予測してくれます。
AIに関しては、「AIとは何か?:人工知能の基礎知識」を参考にしてください。
機械学習に関しては、「機械学習とは?その種類や仕組み、AI・深層学習(ディープラーニング)・ニュートラルネットワークとの違い、主な事例について徹底解説」を参考にしてください。
どちらも基本から分かるような内容になっているので、ぜひ併せてご覧ください。
データプラットフォームの機能選定は、単に多機能であることを追求するのではなく、自社のビジネス目的や将来的なデータ活用の方向性に合致した機能が備わっているかを重視すべきです。
実績・サポート体制
ベンダーの実績やサポート体制も、データプラットフォーム選定にあたり非常に重要な要素です。実績・サポート体制が整っているベンダーを選ぶことで、安定した運用と長期的なパートナーシップが期待できます。
ちなみに「ベンダー」とは、主にIT製品・サービスを提供する企業や団体を指します。似た言葉に「メーカー」がありますが、メーカーは主に製品を製造する企業や団体のことです。
特に、組織内にIT関連のプロフェッショナルがいない場合、実績やサポート体制がしっかりしているベンダーを選んでください。予期せぬトラブルに見舞われた際に、迅速にサポートしてくれます。
データプラットフォームのトラブルにより、業務が停止するリスクも考えられます。大きな被害を防ぐためにも、ベンダーの実績・サポート体制は考慮すべき重要なポイントといえるでしょう。
コストパフォーマンス
初期費用やランニングコストも重要ですが、それだけでなく、コストに見合った機能やサービスかを判断するコストパフォーマンスは極めて重要な要素です。
例えば、以下2つのケースがあったとします。
ケースA:100万円でデータプラットフォームを導入して120万円のリターンがあった
ケースB:300万円でデータプラットフォームを導入して800万円のリターンがあった
この場合、ケースAの方がかかった金額は少ないですが、データプラットフォーム導入によるリターンはケースBの方が多いことが分かります。
もちろん現実はこんなに単純ではありませんが、短期的な視点ではなく、中長期的な視点で見るのが大事だということです。
正確なコストパフォーマンスの評価を行うことで、長期的な運用においても安心して利用を続けられます。
セキュリティ
データプラットフォームはデータを扱うという特性上、セキュリティは非常に重要な要素であり、最新のセキュリティ対策が施されているプラットフォームを選択することが不可欠です。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)によると、日本企業がサイバー攻撃で被害を受けた件数は、4年間で6倍に増えているといいます。
また、サイバー攻撃は情報漏えいだけではなく、業務停止も引き起こします。実際に自動車工場がランサムウェア感染によって操業を停止したり、小売りチェーン店がマルウェア感染によりポイントサービスを停止したりしています。
企業の資産や顧客データを守るため、データプラットフォームのセキュリティは非常に重要な要素です。データプラットフォーム導入の目的がどんなものであっても、セキュリティに関しては必ずチェックしておきましょう。
操作性
直感的で使いやすい操作性は、効率的な業務遂行とスムーズな導入を実現するための鍵となります。
新しいソフトウェアやプラットフォームを使用する際、操作性の良さは継続的な使用意向や満足度に大きく影響します。
データプラットフォームは全社で使っていくものになると思いますので、誰でも使いやすいという点は重要です。
操作性がいいデータプラットフォームであれば、研修時間の短縮や社員のストレス軽減につながり、結果的に業務効率の向上をもたらします。
操作性を確かめるために、一度デモやトライアルを利用するのもいいでしょう。
運用体制(オンプレミス/クラウド/ハイブリッド)
データプラットフォームの運用体制は、クラウド、オンプレミス、ハイブリッドの3つの主要な形態が存在し、それぞれの目的やインフラに応じて選択することが重要です。
3つを比較すると、メリット・デメリットは以下のとおりです。
クラウド、オンプレミス、ハイブリッドのそれぞれの特性を理解し、最も適した運用体制を選択することで、効率的かつ安全なデータ管理を実現できます。
それぞれの運用体制については、「データプラットフォームの種類はいくつある?それぞれの特徴や選び方を解説」で解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
柔軟性・拡張性
データプラットフォームの柔軟性と拡張性は、ビジネスの成長や変化に迅速に対応するための鍵となります。
柔軟性の高いデータプラットフォームでは、容易に新しいソースからのデータ統合や機能の追加が可能です。
拡張性の高いプラットフォームでは、データ量の増加やユーザー数の増加に対して、パフォーマンスを維持しつつスケールできます。
市場の変動や新しいビジネスニーズに迅速に対応することで、競争優位性を維持・強化できるようになります。
現在は予定がなくても、将来的に柔軟性・拡張性が必要になってくる場面は多いので、必ずチェックしておきましょう。
既存システム・ツールとの連携
既存のシステムやツールがある場合、連携できるかを見ておくといいでしょう。
既存システムやツールとのスムーズな連携ができるデータプラットフォームを選択することで、データの一貫性を保ち、二重入力や情報の断片化を防げます。
また、連携することで作業時間の短縮やエラーの減少に繋がり、結果的にROI(投資収益率)の向上につながるでしょう。
実際に総務省の調査によると、新たにソフトウェアを選定する際、「性能・利便性」より「既存システムとの互換性・継続性」を重視すると答えた割合が多かったようです。
ビジネスの成果を最大限上げるため、既存システム・ツールとの連携は見ておくべきでしょう。
データプラットフォームを選ぶときは複数のツールを比較検討しましょう
データプラットフォームの選定は、ビジネスの効率化と成果向上の鍵となります。そのためにはまず、明確な目的を設定し、適切なプロジェクトメンバーや部署を決定、その後どのようなデータプラットフォームが必要かを吟味しましょう。
データプラットフォーム選定の際に見るべきポイントとしては、以下の8つが挙げられます。
機能
実績・サポート体制
コストパフォーマンス
セキュリティ
操作性
運用体制
柔軟性・拡張性
既存システム・ツールとの連携
自社に適切なデータプラットフォームを導入するため、本記事を参考に準備し、選定を進めていきましょう。
また、データプラットフォーム選定の際は一つだけでなく、複数のツールを比較検討すると、より自社にマッチしたものを見つけやすいです。
弊社も「DataShare」というソリューションサービスを提供しているので、選択肢の一つとして、ぜひご検討ください。