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妊活えぐすぎて心折れそうだしプリン食べたい
いわゆる、不妊治療をしている。
産婦人科に通い始めて8ヵ月。
オリンピックが始まる頃には大きなお腹をかかえていると思っていたのに、
あっという間に閉会式を終えた今も、
妊娠の兆しは一向にない。
妊娠するのってこんなに難しいんだ…
度々子どもを産んでは近隣住民を困らせている駐車場の猫が羨ましくなってくる。
「どうやったらそんなに産めるんすか…」ってマイクを持って聞きに行きたいくらいだ。笑
そんな先の見えない日々の中に、
一層心の折れる出来事があった。
激痛を伴う検査だ。
「この検査は強い痛みが生じることがありますが、麻酔は使いません」
とお医者さんから絶望的な説明を受けた時は、
「子どもを産むためならどんな痛みも受け入れてやんよ、どんとこい」と男前に構えていたのに、
実際はあまりの痛みで迷走神経反射を起こし、
(めまいで目が開かない、お腹痛い、吐きそう、手足痺れてる、汗だく、そして検査の痛み治まらない)
朦朧とした意識の中で「ぶしゅっ」と肩に注射をされ(※痛み止めだったらしい)、
痛みが落ち着くまでの間、病院のベッドで1時間半も休ませてもらった。
その日は一日中、痛みと吐き気が残り続けた。
とんでもなく痛かった。痛すぎるよ、、
(この検査の痛みは個人差があって、
人生で経験する最大級の痛みを10とすると、
軽い場合は1~2、
重い場合は6~7の痛みが起こるらしい。)
あぁ、たかが検査くらいでこんなに弱っていては、出産なんて私耐えられないんじゃ…
一気に目の前が暗くなった気がした。
この先、これ以上の痛みを経験するのかと思うと、怖くてたまらなかった。
「痛いの落ち着いたかねぇ。大丈夫?」
横で脈拍数と血圧を見てくれていた看護師さんが、
お母さんのような柔らかい口調で声をかけてくれた。
「あの、お騒がせしました…」
おそらく痛み止めを注射してくれたのはこの人だ。
検査前にパンツを脱ぎ忘れて、とんでもない格好でトイレに駆け込んだ私を笑ってくれたところまでは記憶が残っている。(むしろ忘れたい)
本当は深々と頭を下げたいけど、ベッドで寝ているのでそれもできない。
「痛かったねぇ」
「でも、出産は、もっともっと痛いですよね…」
「あのね」
その時の私はものすごく情けない顔をしていたんだと思う。
看護師さんの口調はさらに優しくなった。
「出産の痛みは特別なもの。とても痛かったんだと思うけど、忘れてしまうの。私は3人産んでるけど思い出せない。それよりも早く産んであげたいって気持ちがあったし。でも、検査の痛みは忘れないから辛いよねー。」
それから看護師さんは自分の出産を思い出しながら、
赤ちゃんがびっくりするほど大きかったこと。
妊娠中に子ども達とお菓子を食べ過ぎて、先生に怒られたこと。
3人の子どもを進学させる為にどうにかお金を工面したこと。
温かい記憶に目を細めながら、色々と話してくれた。
あぁ、出産の痛みは、幸せな記憶の最初にあるんだ。と思った。
私が今経験した強い痛みが、
先の見えない苦しさが、
いつか、幸せな記憶の最初にある、些細なものになったらいいなぁと心から願った。
あまーいプリンの上に少しだけ、ほろ苦いカラメルがかかっているみたいに。
頑張れ頑張れ。
きっと大丈夫。