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左利きの混乱
物心ついた時から、
お箸もフォークも、左手に掴んでいた。
ペンを持つのも左。
ボールを投げるのも左。
先に視力が下がっていったのも左。
全部全部左の、左利きだった。
ひらがなを覚えた小学1年生の頃。
自分の作った図工の作品の横に、
「ねでいならわさ」
と書いたことがある。
もちろん誰も読めない。
「みかんちゃん、なあにこれ?」と友達に聞かれ、
間違いに気が付いた私は慌ててえんぴつを掴み、右から左に向かう矢印を付け足した。
「ねでいならわさ」
← ← ← ←
「さわらないでね」 だ。
気を緩めると、文字を右から左に書いてしまう。
「は」や「ま」のくるんとした最後の部分を、反対向きに書いてしまう。
左利きの私にとって、ひらがなの造りは混乱するものばかりだった。
中学校に上がると、
ソフトテニス部の練習では必ず「左利きです!」と大きな声で伝えて、皆とは反対の方向にボールを投げてもらっていた。
みんなが右に向かって走りながら球を打っていくのに対し、
私は左に向かって走る。
私が打った球だけ、テニスコートの左端に転がっていく。
「左利き」であり続けることは、
自分だけ鏡の中から世界に溶け込もうとするような、僅かな違和感と混乱がついて回る。
一方で「左利きっていいなぁ~かっこいい。頭良さそう」と称賛されることもあるので、
不便さも含めて「私ってかっこいい…」なんて誇りに思っていたりもした。笑
そして随分大人になった今でも、
私には克服できていない「混乱」がある。
「右」と「左」が咄嗟に区別できないことだ。
車の運転で「右に曲がって!」
と言われたらまず左に意識が行き、
(えっと、箸を持つ方は左だから、右は反対の、、こっちだ!)
と考えてから右を意識する。
Switchで友達とゲームをしていても、
左右を逆に伝えてしまっていることが結構あるので、
私はSwitchの上部分に「右」「左」とシールを貼って、それを見ながらゲームをしている。(おばあちゃんみたい、と旦那に笑われた)
最近知ったのだけどこの症状は「左右盲」(※造語)と呼ばれることがあり、
私だけではなく左利きの人の何割かは、この症状に悩まされているらしいのだ。
そんな「混乱」を感じながらも、
左利きの人達は反転した世界を当たり前のように生きている。
全左利きの人と、「うちらほんとすごいよね!」と褒め合いたい。笑
右利きのみなさん、
左利きの子とデートするときは「流しそうめん」にだけは連れていかないようにしてくださいね٩꒰。•◡•。꒱۶笑
おわり