進化占星術 翻訳記事「天秤座の冥王星」
進化占星術スクールの「天秤座の冥王星 by ディヴァ・グリーン」の翻訳で、できているものをこちらに載せておきます。冥王星天秤座世代さんに関するお話しです。
しばらくしたら公認翻訳者の佐々木りささんのチェックをいただいた上で清書バージョンをEA-Japan進化占星術インフォサイトに掲載してもらえると思いますが、佐々木さんがご多忙のようで ちょっと時間がかかりそうです。
ここに掲載するのはチェック前のものですので、私の翻訳ミスがある可能性も頭に入れながら読んでいただけたら助かります。
(翻訳ミスに気付いた方は、教えていただけたらうれしいです!)
「進化占星術の文献の引用は、進化占星術スクールやEA-Japanなど引用元を明記して行ってください」と仰せつかっていますので、参考にしていただけるときにはよろしくお願いします。
私のブログで、私のちょっとした解説を添えながら 少しずつ読み進める形で公開したりもしていますので、よかったらご活用ください。
→【翻訳もくじ】天秤座冥王星世代 byディヴァ・グリーン | ホ◻︎スコープ研究所 相原あすか「星占いとドラゴンの道案内」 (ameblo.jp)
原文:
Pluto in Libra by Deva Green | School of Evolutionary Astrology - Jeffrey Wolf Green
https://schoolofevolutionaryastrology.com/articles/pluto-in-libra/
天秤座の冥王星 by ディヴァ・グリーン
この記事の意図と目的は、天秤座冥王星世代の一般的な進化のレッスンを分析することにあります。また、核となる本質的なレッスンの読み解きを、出生図にある他の不可欠な軽減要素を反映した形に調整することによって、世代全体の一般的なレッスンをより詳細に深く分析できる方法を示すことです。(注釈1)天秤座冥王星世代の最重要な核となるレッスンを、魂の進化的な観点から説明していきます。この分析は、進化占星術の原理に基づいています。出生図の解釈に含まれている、他の軽減要素は次の通りです。(注釈1)
- 魂の自然な進化の条件、または状態
- その人の生まれた文化(文化的条件付けの要因)
- 性別
- 経済的状態
これらの要素は進化占星術の本質的な原理ですから、この記事で取り上げる必要があります。これらの要素のそれぞれが、天秤座冥王星のアーキタイプが個人によってどのように表現されるかを条件付けています。しかし、この記事の意図は、進化占星術を紹介したり、宣伝したりすることではありません。この記事の目的は、天秤座冥王星世代の魂の進化のレッスンと(「進化してこんなふうになろうとしている」という)意図について、明確に、深く、正確に伝えることです。天秤座冥王星に象徴される個人の進化とカルマの必要とするものの解釈に、魂の進化状態がどのように影響を及ぼすかを説明します。天秤座冥王星の核となるアーキタイプと意味が総合的に理解できれば、これまで取り上げてきた他の要素も容易に適用できるようになるでしょう。
出生図の中で他の要素とは一線を画すようなシンボル、特に冥王星について解釈する前に、まずは進化占星術の核となる根本的な哲学と方法論について議論しなければなりません。進化占星術は、観察と相互作用に基づく自然科学です。つまり、占星術は観察された状況の中でしか機能しないのです。言い換えれば、占星術は生命を生み出すことはできず、生命に観察された状況を反映することしかできないということです。これにより、まるで「フリーサイズの洋服」のようなこと——一つの理論であらゆることを一般化してひとまとめに語ることはできなくなります。多くの人がスピリチュアル用語で「神」と定義しているものを、この記事では「源」「創造主」という言葉で表現します。これらの言葉は、この地球上のあらゆる生命体を創造した普遍的な創造主を分かりやすく定義しています。
進化占星術における冥王星は、魂と結び付いています。簡単に定義すると、魂とは「決して壊れることのない」という意味で不変の意識であり、形を変えることのみが可能です。変化という言葉には、進化という意味も含まれています。私たちが魂について議論するとき、エネルギーの性質のこと、意識そのもののエネルギーの性質のことを話しているのです。魂は二つの相反する欲求を同時に内在しています。一つは創造の源に戻ること、もう一つは源から離れようとすることです。魂の進化は、魂の中にある全ての分離的欲求を徐々に排除していくことに基づいています。長い時間を掛けて進化し、現代にも伝わる偉大なマスターやアヴァター(思想や概念の化身のような存在)を生み出すのです。魂はほとんどの人にとって無意識のことであるため、魂の進化のプロセスは大多数の人に意識的に理解されてはいません。それは、ほとんどの人の意識の重心が魂ではなくエゴにあるからです。私たちが進化するにつれて、意識の重心はエゴから魂へと移っていきます。私たちは、進化するにつれて、魂の変容という進化プロセスを意識的に知覚するようになります。私たちの魂の中に共存する二つの欲望の相互作用と、分離的欲求を浄化することのポジティブな効果を認識していきます。分離的欲求を排除し、創造主の元に戻りたいという(統合的な)欲求に基づいて常に行動することで、継続的な成長、進化の状態が生まれるのです。
私たちは皆、満足と不満足という力学(エネルギー)を通して、この相反する二つの欲求の相互作用を経験することができます。不満足という感覚は、(分離的欲求に基づくものでありながら)実は、源に戻りたいという(統合的な)欲求のやまびこのような響きなのです。分離的欲求を何かしら実現した後、一時的に満足感を得ますが、しばらくするとその感覚に代わって、さらに深い満たされない感覚が押し寄せてくるのではないでしょうか?これは、「源」に戻り、「源」と融合したいという欲求の反映です。魂は分離的欲求を使い果たそうとしているのです。 「源と同化・融合することは、真で永久不変な意味と究極の満足をもたらす」という認識は、統合に至るでしょう。この普遍的な満足と不満足の感覚は、占星術的には冥王星と相関し、出生時の冥王星のハウスとサインの位置に関係する領域でこの感覚を経験することになります。
月(エゴ)は認識するための機能
魂は、他とは違う個人的なセルフイメージを生み出すために、それぞれの人生でエゴを作り出します。エゴは魂と同じように、浄化のエネルギーでもあります。これは映写機のレンズに似ています。レンズがなければ、私たちは光が拡散してぼやけた映像しか見ることができません。エゴは主観的意識の中の統合機能であり、意識にとって確かに必要な構成要素です。エゴがなければ、私たちは自分の名前を言うこともままならないでしょう。エゴに特有の仕組みは、魂の進化の意図をサポートするために、魂によって作られたものということです。エゴは、魂の進化的な意図を実現するための媒体として機能しています。エゴについて述べるときのポイントは、分離的欲求の浄化によって魂が進化するにつれて、意識の中の重心がエゴから魂そのものへとシフトしていくということです。私たちは、自分自身を独立した個人として認識するのではなく、他のあらゆる形態の生命とつながっている源の反映として認識するのです。エゴが意識の中でどのように作用し、意識内の重心が及ぼす影響について説明するなら、「海に浮かぶ波」に例えると分かりやすいでしょう。このシンプルな比喩では、海は魂を、波はエゴを表しています。意識の重心が波にある場合、その人は自分自身を(源から)分離した存在、個々に分かれたうちの一つとして認識することになります。明らかに、波は海という源から発生しています。意識の重心が海にあるならば、その人は自分自身を、他のあらゆる生命体とつながっている源の個別化され具現化した存在、または反映として認識し、経験することになります。意識の重心が魂にあるとき、普遍的な創造主との意識的なつながりが、このような理解や認識を生み出すのです。エゴから魂への意識のシフトが起こるにつれて、自分自身と人生全般に対する認識と定義(冥王星)が劇的に変化していくでしょう。
冥王星と冥王星対極点
出生図の冥王星は、魂の中にある分離的欲求を全て使い果たし、創造の源と一体化するまでの変容の進化過程を象徴しています。冥王星は、現在の人生にやってきた魂が過去に培ってきたアイデンティティーや欲求、意図の過去のパターンと関係します。これが、冥王星が私たち皆にとっての(方向性を伴った)自然の傾向である所以です。冥王星のハウスとサインの位置に関連する領域は、強力な個人的な同一性・アイデンティティーの認識と結び付いているため、私たちの誰もが持っているであろう無意識の感情的安心感の最も深い感覚と関係することになります。(冥王星の位置にまつわる)これらのパターンが魂の感情的な安心・安全を構成しているので、過去のパターンや方向性をよりどころにしたり依存したりということが起こります。感情的な安心感は、過去の機能である自己一貫性の必要性に根ざしています。それは、既知の馴れ親しんだあり方です。しかし、冥王星に一般的にあてがわれている性質——変化への抵抗、防衛、頑固さ、操作、そして強迫観念のような、ネガティブな特性を生み出すのは、まさにこの力学です。これらの古いパターンを変えることに対する抵抗は、進化の観点からブロックと制限を作り出します。
変化に対する私たち自身の協力と抵抗が、人生の状況や経験の性質を決定します。冥王星対極点は、そのハウスとサインによって、今世の進化の意図を示しています。対極点は、魂がどのように進化し、成長し、より高度な意識へと到達するのかを表しています。それは変化の道であり、出生時の冥王星の位置に象徴される古い否定的なパターンを変容させる方法です。その際、出生時の冥王星の位置のハウスとサインは、より高いレベルの表現へと生まれ変わる、あるいは再生することになります。
また、天秤座冥王星があるハウスも重要です。冥王星は、個人の出生図において、特定のハウスに位置することになります。冥王星が位置するサインは、同じサインに冥王星を持って生まれてきた世代全体の波動と関係しています。天秤座に冥王星を持つ全ての人は、天秤座のアーキタイプに反映される一般的なレッスンを学んでいます。天秤座冥王星のレッスンは、平等、バランス、そして社会的な背景の中での個性、またはアイデンティティーの感覚を客観的に理解することを学ぶ必要があります。これらのレッスンの中で、いつ与え、いつ与えないかという学びは非常に重要です。進化の意図と必要性は、他者やパートナーの話に客観的に耳を傾け、自分個人の現実ではなく、(他者やパートナーから話を聞いた)その現実から必要とされるものを他者に与えることです。天秤座は極(二極のうちの片方の行き着くところ)に達していること、そしてバランスを取る必要があることを象徴しているのです。
この世代が形成する人間関係や個人の行動には、極端でアンバランスな部分がはっきりと見て取れます。この世代が「ジェネレーションX」、つまり極端と呼ばれるのは偶然なのでしょうか。(注釈2)もちろん、これらの原則と相関関係に、個人的な背景を当てはめることになります。出生時の冥王星のサイン(この場合は天秤座)は、冥王星が位置するハウスの表現に影響を与えます。冥王星が位置するハウスは、魂のアイデンティティーの記憶や観念との結び付き、欲求、意図の具体的で個性的な過去のパターンを反映しています。したがって、核心的で肝心かなめの天秤座冥王星の進化の意図を、冥王星が位置するハウスに合った表現ができるように調整する必要があります。
進化の四つの段階(未進化段階、コンセンサス段階、個性化段階、スピリチュアル段階)
先に述べたように、自然法則に基づいた魂の四つの進化段階は、どの出生図の読み解きにも含めるべき重要な要素です。進化段階は、出生図の正確な解釈に到達するための、個々の特定の状況・背景・文脈をもたらします。天秤座に冥王星を持つ全ての人に、核となる本質的な意味と、進化してこのようになろうという意図があります。魂の進化段階は、アーキタイプが具現化されるレベルを決定します。
自然法則に基づいた四つ進化の状態を簡単に説明すると、「未進化段階」「コンセンサス段階」「個性化段階」「スピリチュアル段階」があります。この四つの主な進化状態の中にさらに、三つのサブステージ(小区分)がありますが、この記事の話の本筋や意図から外れてしまうため、詳しい説明は省きます。(注釈3)
未進化段階の状態とは、魂が他の生命体(植物や動物といった生命体)から人間の意識に進化し、現れてきたばかりの状態です。地球上の全ての魂のうち、2~3%がこの状態にあります。これらの魂を表した一般的な用語は、「精神遅滞」「クレチン病」(先天性甲状腺機能低下症)などというように、普通または平均的な知性に満たない魂に対して広く使われています。この段階の主な魂の進化欲求と意図は、「普通」になること、または社会の大多数であるコンセンサス段階のようになることです。
コンセンサス段階の状態は、社会の主流や大多数の人々に適合し、受け入れられることを魂が望んでいる状態です。全ての魂のうちの75%はこの進化段階にあります。この段階にある魂は、自分で考えることはせず、社会の主流や社会的権威の立場にある人々に深く疑問を投げかけることもありません。また、「出世したり」「上に立ったり」するために、システムや社会がどのように機能しどんな構造を持っているかを徹底的に学ぼうとする欲求があります。これはもちろん、その人のキャリアや物質的な所有物、富、財産をベースに展開されます。コンセンサス段階の最後の小区分で、個人は社会システムがどのように機能しているかを学んだので、魂はコンセンサス段階にある他の人々を導き、リードする能力を発達させています。この進化段階にある魂の例はたくさん挙げられます。典型的な例としては、大企業のCEOや政治指導者です。
個性化段階は、"個性化"している魂が該当します。(注釈4)全ての魂のうち、20%がこの進化段階にあります。個性化という言葉は、自分自身のために自分で考え、行動している魂のことを意味しており、もはやコンセンサスと仲良くしようとすることはなく、皆の考えに合わせたり従ったりすることを望んでいません。社会の主流による指示や要求から自由な個人になりたいと望んでいるため、こういった条件付けのパターンから解放されようとする心理が、魂の中で強調されています。この必要性から、コンセンサス段階にある人々に対する反抗的な行動はよく現れます。個性化段階の最終段階では、魂は天才的な能力を発揮し、自分のアイディア、発明、その他ユニークな才能を通じて、コンセンサスの人々や社会全般の進化に貢献することができます。この進化段階にあった魂の良い例が、アルベルト・アインシュタインです。
そしてついに、魂の進化段階の最後、スピリチュアル段階です。全ての魂のうちの2~3%がこの進化の状態にあります。この進化段階での魂の推進力の核となる欲求と力学は、創造の源に戻り、融合し、奉仕したいと望むことです。魂の中の重心がエゴから魂にシフトします。献身、慈愛、信心、そして謙遜のアーキタイプは、こういった人々が源に奉仕しようとし、自己中心的な視点から見るときの私たち全員がどれほど小さいかを理解するときに現れます。この意識は、意識の重心がエゴから魂に移行することで現れます。この進化段階にある魂の内面的な経験、自己中心的な視野にいるときの私たちはあまりにも取るに足りないという感覚を説明するために、「浜辺の砂の一粒」の例えがよく使われます。
スピリチュアル段階の最終段階では、意識の重心はしっかりと魂の中にあり、これによって、イエス、ヨガナンダ、クリシュナ、それから無数の人々の人生に影響を与えた様々なグルなど、現代の偉大なマスターやアヴァター(思想や概念の化身のような存在)が生み出されるのです。
天秤座とは
さて、進化占星術の主な原則と魂の進化の中で作用する核となる力学について説明したので、次は天秤座冥王星世代の進化の目的と意図についてお話ししましょう。まず、天秤座のアーキタイプの核となる、本質的な意味を理解する必要があります。
天秤座は、多様なタイプの他者との関係を始めることと関連しています。それは、他者との比較やコントラストを通じて、自分の個性を理解しようとする欲求があるからです。言い換えると、天秤座は、自分から関係を持った他者との比較対照することで、自分の個性を把握しようとしているのです。個人的な価値観、信念、ニーズなど、あらゆるものの相対性は、このような性質の社会的相互作用を通して学ぶことができます。天秤座は文字通り、社会で他者と対等な立場で関わり合う方法を学んでいます。最も深いレベルでは、天秤座は、与える、分かち合う、そして、受け入れる・包含するという自然法則と関連しています。そのために、客観的認識を発達させる必要があります。関係を築くことと対等な立場で社会に参加することの必要性によって、客観的認識のレッスンは進みます。
天秤座は、私たちがパートナーや社会生活を営む他の人々の話にどのように耳を傾けるのかという心理に関連しています。他者の話にどのように耳を傾けるかは、私たち自身の内なる対話、つまり自分の声に耳を傾けるパターンを反映しています。これは、自分の話をパートナーがちゃんと聞いてくれていると感じられないという、よくある経験を説明しています。相手が私の話を私の現実に寄り添って聞いてくれない、あるいは私が本当に意図した通りに聞いてくれないという経験は、自分が自分の心の声を聞けていないことを象徴する普遍的な現象です。この力学は、個人(相手)がごく個人的な自分自身の視点、その人のニーズやその人の現実に基づいたリアリティで聴いているときに発生しています。繰り返しになりますが、天秤座は極端(二極のうちの片方の行き着くところ)、アンバランス、そしてそのような極端さに対してバランスのとれた状態を達成する必要性と関連しています。このため、天秤座は人間関係や個人の行動全般における極端さやアンバランスを象徴しています。(ある心理的な極から次の心理的な極へと揺れ動いたり浮き沈みしたりなど変動します)。
天秤座冥王星の人の進化
天秤座冥王星の進化の意図は、「社会的な背景や事情がある中でアイデンティティーの感覚を理解する」ということを踏まえて、平等、バランス、そして客観性を学ぶことにあります。人間関係における不均衡、不平等、極端さは、この世代の人々が経験する最も一般的な進化の問題です。これはなぜでしょうか。人間関係を通じて自己を完成させる必要性を持っているのですが、そこに歪みが生じているのです。その歪みを生み出す根本的な力学は、「必要とされたい」という欲求です。この歪みが、個性の感覚や意味、個人が人生でやってはいけないことを知る手段として他人に依存するという進化の問題を生み出します。
つまり、その関係や相手には自分にアイデンティティーや意味を感じさせてくれるものがあって、そこに自分が依存しているから、共依存の関係や、感情的に支配したりされたりマウントを取ったり取られたりする関係が生じるのです。感情的な安定、安心は、「人間関係の中にいたい」「そして必要とされたい」という思いに根を張っています(天秤座冥王星)。そして、これまで説明してきた依存がベースにあるこれらの関係において、ニーズの投影が起こります。ニーズは期待を生み、その期待はパートナーや他の人に投影されます。
進化の問題の本質は、関係している両者が、関係の中で相手が満たしてくれると無意識のうちに期待するような、ずれた感情的欲求を持っていることにあります。この投影されたニーズが満たされないと、様々な感情の歪みや対立が現れます。これが条件付きの愛、あるいは条件付きの「与える」という現象につながります。これは、無条件の愛や無条件に与えることとは大きく異なります。投影した自分のニーズが満たされないと、愛や与えることを控えるようになります。まさにこういった理由で、他者から与えられていることを認識できない、あるいは何が与えられているかを認識できない可能性があるのです。
人間関係において、様々な異なる価値観や信念、あり方を試そうとすると、しばしば自分を見失い、アイデンティティー・クライシスが起こることもよくあります。魂は無意識のうちに、相手のニーズを投影し、満たそうとします。つまり、他者に対して「相手はこうであるに違いない」と思っている様子、あるいは相手が「こうあるべき」と期待し望んでいる人物像のありようを、無意識に満たしているのです。パートナーは、他の要望や期待に応えることを要求する可能性があります。
ある時点で、個人は「私は誰なのか」「私は何なのか」と疑問を持つようになります。自らが採用したペルソナ(自己の外的な側面)とアイデンティティーをうまく結び付くことができないからです。これらの質問には、自己の内側(対極点の牡羊座)からしか答えることができません。この性質の質問に答えるために、他人や人間関係に依存すると、様々な関係の中で多くの異なる人を演じるという極端な状態を続けることになります。これは「カメレオン」アーキタイプと呼ばれるもので、必要とされるために、人間関係において本当のアイデンティティーを(違うもので)補う・埋め合わせをするのです。
繰り返しになりますが、最も深い感情的な安心感は、人間関係の中にいたい、必要とされたいという欲求に根ざしています。人間関係を通じて自己を完成させたいという欲求が歪められ、必要とされたいという欲求が意識の中で優勢になると、相互の共依存、不平等、極端な行動やアプローチの仕方に基づいて、他者と人間関係を築き始めます。このような人の多くは、人間関係がどんな状況にあるかを考慮した上での、自立した存在としての自分自身との関わり方、そして人間関係の中の生身の相手との関わり方を学べていないのです。
必要とされたいという欲求が、次から次へと人間関係を築かなければといった強迫観念(冥王星)に囚われたような衝動を生み出します。この世代の重要な課題として、自分を他者に明け渡さないことと、他者にも自分を重ねてしまわないこと、これらの学習を強調してきたのは、まさにこのためです。本質的にこの状態では、個人の内側から満たされていないというニーズが投影されているため、相手を事実上の神/女神(自分を満たす力のある存在)にしていることになるのです。もちろん、パートナーも個人も、いつまでもこのままではいられません。ある時点で、この神の台座から落ちることになります。
ある極端な振る舞い方やアプローチには、可能性として主に大きく二つの方法があります。どちらの極端な方法も、支配と支配されることの力学をよりどころにしています。これは、感情をコントロールする立場と、コントロールされる立場を反映しています。まず、人間関係において極端な振る舞いをする可能性の一つ目は、パートナーや人間関係の中で自分自身が他者から支配されることを許すことです。この個人は、自分のニーズを差し置いて、相手のニーズを満たしているのです。最悪のケースでは、「もう一人の自分」を生み出すことになります。これは、その個人が相手のアイデンティティー、価値観、ニーズなどを延長・拡大して、実に相手のことを自分のこととして経験している状況を表しています。相手のニーズを満たすことで、自分のニーズが満たされていると感じるように、二人の関係と相手のことを巧みに操っているのです。このような行動をとる人は、知らず知らずのうちに受容や承認を求め、他者から与えられることを期待しています。このような極端な状態は、自分の個性を見失った途端に起こります。これは、先に述べたように、相手のことを自分のこととするような、相手に自分を明け渡してしまった関係において、魂があまりにも多くの他者の価値観、信念、あり方を「(衣服を試着するように身にまとって)試す」たびに起こります。
もう一つの極端な例は、人間関係の中で自分がパートナーや他者を支配することです。この場合、支配的な人が自分を延長・拡大した先に相手があり、相手が自分の欲求を満たしてくれると期待します。このような人は、自分の価値観、信念、ニーズを相手に押し付け、その価値観や信念があたかも相手自身(支配される側)のものであるかのように感じさせます。この支配的なパートナーは、「大丈夫」「愛されている」「認められている」と感じるために、相手(支配される側)に「自分を必要としている」と感じさせるようなやり方で状況を操作するのです。このような極端な状態にある人は、無意識のうちに、交友関係や愛、受け入れることを必要とする人を引き寄せます。これらの役割は、人間関係の中で固定されることもあれば、変化することもあり、また、異なる人間関係の中で変化することもあります。これらの状況、あるいは極端な状態のいずれの場合においても、天秤座冥王星の進化のレッスンは同じです。この世代の決定的に重要なレッスンは、必要とされたいという欲求が、いかにして他者との関係形成をコントロールするかという力学を自覚することです。これは、個人がこの歪みに気付き、魂からそれを排除しない限り、変わることはありません。確かに、この力学は進化の観点から見ると成長を妨げています。
冥王星対極点 牡羊座
天秤座冥王星の対極点は牡羊座です。簡単に言えば、天秤座の対極のサインである牡羊座は、個人としての性質を伸ばし、他人の同意、承認、許可を求めることなく、自発的な自分自身の人生の方向性を歩み始めるという進化の意図と結び付いています。進化を遂げるためには、互いに自立し、対等な関係を築く必要があります。これらのレッスンの中に、与えるべきときと、与えてはいけないときの意識が象徴されています。
与えることを控えるというのは、以前に与えたものがあってそれが使われていないにもかかわらず、さらに要求してくるような状況で起こるはずです。このような状況では、与えなかったり、与えるのを控えたりすることで、実は魂は最高の与え方を実践しているのです。もし、自分が他の人からもっと与えてもらえることを期待しながら、既に与えられているものを使えていない場合、相手は与えることを控えるようになります。これと同じ観点から、与えることを控えるということや、授受への認識を身に付けなければなりません。このように授受について学んだとき、他者や人間関係への全ての依存は魂から浄化されるでしょう。まず相手にとっての現実に添って相手が必要とするものを与えることで、自分のニーズを10倍満たすことができると魂が学ぶと、人間関係のバランスをはっきりと理解し実現することができるでしょう。これらの魂は、自分自身の人生の方向性と行動をスタートさせる勇気と能力を持つ他者と一緒にいる選択を身に付けねばなりません。そうすることで、人間関係の中でお互いが自立しながら平等でいられるようになるのです。
これらの進化のレッスンが実行されたとき、天秤座冥王星の人々は非常に大きな力を発揮し、大いに与えるようになります。このような人々は、誰にでも存在する現実を客観的に認識し、どのような外的状況においても内面的にバランスを保つことができるようになるのです。こうして、この世代は本来の個性を実現することを通じて、勇気と気付き、そしてシンプルに自分であるように、他の人々を動機付け鼓舞することができるのです。対極点の牡羊座が位置するハウスは、魂の個性化の進化に必要な、具体的な条件と関連しています。このハウスは、牡羊座にある対極点の教訓と意図を学ぶために、個人がしなければならない経験の種類を象徴しています。
天秤座冥王星(個性化段階)の場合
私たちは今、天秤座冥王星の核となる進化の意図と欲求を、あらゆる進化の状態や条件に調整することができるようになりました。例えば、個性化段階にある魂にとって、天秤座冥王星はどのように現れるのでしょうか?そのような人は、自分自身のユニークなアイデンティティーを反映できるような他者との関係を始めようとするでしょう。真の永続的なつながりや関係を築くために、相手もまた、個性化の過程にあることが必要です。パートナーは、自立的な個人を実現することを励まし、コンセンサスの条件付けのパターンから解放される必要性を認めなければなりません。社会的な立場から、人間関係において「こうあるべき」「こうするものだ」という背景がある中で、個性化の必要性とコンセンサスの条件パターンへの反発の必要性が特に現れるでしょう。
人間関係の本質は、人間関係の中で個性化にたどり着くために、様々なあり方を試す必要性に基づいています。魂が個性化段階で進化発展するにつれて、自分の個性の中で内面的に安心し、このアイデンティティーと独立した声を人間関係の中で表現する能力が発達していきます。この進化した状態における共通の問題は、真の本質的なアイデンティティーを(自分とは異なるもので)埋め合わせることです。彼らのユニークな個性を社会の主流の中で表現するという背景の中で、魂の中に不安があることから、この歪みは現れます。個人がもはやコンセンサス社会の人々と同調できず、関わることができなくなるにつれて、社会の主流から追放されたり排除されたりすることへの恐怖を経験することになります。必要とされたいという欲求に基づく他者への承認欲求は、個人の性質の中にある内面的な安全性を確立するために、うまくやり過ごす必要があります。これは、同じように個性化し、社会の主流である条件付けのパターンから解放されようとしている過程にある人たちとの絆を通して起こるでしょう。
天秤座冥王星(コンセンサス段階)の場合
進化のコンセンサス段階では、魂は社会の多数派が人々に期待する人間関係のあり方の延長を自分のこととしています。もしその文化が、男性が女性を支配すること、もしくはその逆で男性が女性に支配されることを要求する場合、女性と男性はコンセンサス段階のように振る舞うでしょう。人間関係において、他者が文化的に定めた男女の役割に、人々が同じように従うことを期待するようになります。こうした人々は、こういった条件付けのパターンの本質、または条件付けのパターンに従う社会の主流の人々に対して真剣に疑問を抱くことはないでしょう。コンセンサス段階では、魂が人間関係の中で多数派に合わせる必要性を使い果たし、人間関係や社会全般の中で自分の個性やアイデンティティーを主張し始めるにつれて進化が起こります。社会が関係性の中で振る舞いや社会性を学び、互いに与え合うことを人々に要求する。そんな背景の中で、魂は今、社会がどのように構成されているか、運営されているかを学びました。
天秤座冥王星(スピリチュアル段階)の場合
天秤座冥王星世代で進化のスピリチュアル段階にある人は、同じくらいの進化段階にある他者との関係を築きたいと望むようになるでしょう。人間関係の本質は、必要なものを相手に与えることにあります。創造主への奉仕というテーマが、この状態で形成される人間関係のまさに基盤となります。永続的な真のつながりが確立されるときには、バランス、平等、相互の独立性が、現在の関係において現れているに違いありません。これは、先にお伝えした歪みやアンバランスが魂から完全に取り除かれたという意味ではありません。これらの力学は、この進化の初期段階では、まだ魂の中で作用している可能性があります。こういった魂は、これらの力学を徹底的に理解し、魂からそれらを浄化する能力を発達させてきました。その人は、相手が自分の内面の現実を映す鏡であるという自覚を持つようになります。人間関係は、それぞれのパートナーの継続的なスピリチュアルな進化を促進するものとなるでしょう。そのような魂の根底にある力学と欲求は、源に奉仕したいというものです。明らかに、他者と形成される関係は、その人自身の進化の性質である欲求を反映したものでなければなりません。
まとめ
この記事で説明した天秤座冥王星世代の進化の必要性の意図は、どの出生図にも当てはめて考えることができます。これは、この記事の冒頭で取り上げた他の重要な軽減要素を含めるか、あるいは取り入れることによって行うことができます。繰り返しになりますが、天秤座冥王星世代の進化条件と欲求を分析することの焦点と目的は、この世代の核となるレッスンとニーズを全体的、包括的、かつ深く理解することです。集団的及び個人的な進化は、個々の魂が必要に応じて変化、進化し、成長するという選択をしたときに現れます。地球の進化に必要なことを達成することは、明らかに一人では不可能です。天秤座冥王星を持つ人は、自分の進化の要求に協力することを意識的に選択することができます。そして、お互いにまさに同じ学びのテーマ持っていることを理解し、お互いに受け入れ合い、そうしてお互いに助け合うことができるのです。
※この記事の見出しは、私が勝手につけたものです。原文にはないです。
注釈
●注釈1
「軽減要素」(原文では「mitigating factors」)について。出生図内外には進化には直接的には関わらない要素もある。それが緩衝材のように進化に関わる体験のインパクトや費やす時間を軽減することもあり、それを「軽減要素」と呼んでいる。例えば、ジェフの著書『魂の設計図』(原題は『Structure of the Soul』)や『冥王星:魂の進化成長の旅路』(原題は『Pluto: The Evolutionary Journey of the Soul, Volume 1』)によると、月のノースノードと天体のアスペクトも軽減要素をして挙げられる。
●注釈2
ジェネレーションX、X世代とはアメリカ合衆国などにおいて概ね1960年代中盤から1970年代終盤(もしくは1980年代序盤)に生まれた世代のこと。ベビーブーマーの次、ミレニアル世代(ジェネレーションY)の前の世代に当たる。(Wikipediaより)
●注釈3
それぞれの進化段階の小区分については、ジェフの著書『魂の設計図』(原題は『Structure of the Soul』)第3章に詳細の記載がある。
●注釈4
個性化段階の“個性化”は、心理学者カール・ユングが伝えた人間の心の成長過程にある“個性化”と概ね同義である。
訳:DeepL翻訳 https://www.deepl.com/ja/translator
校正:相原あすか、Tomomi
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