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「東京オリンピック2020 SIDE:A」藤井風は何を見ていたのか。そして私の涙のわけは。

涙が流れて仕方なかった。

何が私を揺り動かしているのかわからないまま、泣きながら大きな画面いっぱいに映し出される人間を見ていた。

この映画はオリンピックではなく、その中の勝敗でもなく、人間を写し取ったものだ。

人間の手ではコントロールできない、大自然のエネルギーにボード一枚で挑むサーファー。

競技の中で唯一、競技の舞台に人間の手を加えることのできない競技。(私が知らないだけかもしれませんが)私には恐ろしいとしか思えない、あの計り知れない大きすぎる地球そのもののうねりに立ち向かう様。

国家の威信という、今では使い古された感のある言葉を、それでもやはり背負わざるを得ない日本柔道。

国籍を変えてまでも出場し、そしてメダルを自分に課した選手のラストを迎えての嗚咽。

国から反逆者扱いされながらもこの先の若者の為にとプライドを貫く姿。

小さなボートで弟とともに国を脱出し、最後の最後にゴールに入る者となった選手。ゴールで倒れ込む彼には、よくやったと肩を抱き、タオルで包んでくれるサポーターすらいなかった。

政治や差別、家族の中の自分の役割、国家のメンツ、そして人類がかつて出会ったことのない新型コロナという脅威。

そんなものに翻弄され悩みや恐怖と闘いながら、ひたすらの鍛錬で磨いた技と精神力であの日、選手たちはあの場所に立っていた。

いろんな事が取り沙汰されていても、風くんはこの映像の中の選手になった者、ならなかった者、支える者、一人ひとりを目に焼き付け、そこに向けてこの歌を作ったのだなと素直に思えた。

美しい歌をありがとう。
私は、観に行ってよかった。
未だになんの涙だったのか、分からないけれど。

ps:陸上女子200 mに出場したガブリエル・トーマス選手を初めて見たとき、ワンダーウーマンだ!って一目惚れしたことをお伝えします♥



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