藤井 風「ホテルカリフォルニア」に囚われたものたち。
砂漠の甘い花の香りがする乾いた風の吹く日、
彼はこのホテルへやって来た。
キャンドルを手に、ようこそと迎えたけれど、彼は鳴り響く鐘に不安そうな顔で辺りを見回すばかり。
ここは、天国なのか地獄なのか。
ここでは望みのものは何でも揃う。
外へ出ていく自由(と魂)以外は。
暦などないこの場所は、
陽がのぼり、また沈んで行くだけ。
豪奢な飾り物には目もくれず、彼は今日も中庭に置かれた古びたピアノに向かう。
他の男たちは、昼間はみな暗い部屋で息を殺している。
彼の弾くピアノの音が、
誰もいない、灼熱の乾いた中庭に響く。
我を忘れたように髪を振り乱し、
この場所には在るはずのない、魂が宿る瞳(と狂気を孕んだ笑顔)で鍵盤を叩く。
オアシスというものがあると、遠い遠い昔に聞いた。
彼のピアノと歌声は、未だに見ることの叶わないオアシスを思い起こさせる。
オアシスとは、こんな気持ちになるものなのだろうか。
砂漠の夕陽は、乾いた空気のまま、とてつもなく大きく、血の色をして沈む。
夜になると部屋から這い出し騒ぎ始める男たち。
栓を抜かれたピンクのシャンパンが鏡の天井に映る。
男たちは踊る。
忘れたいのか、思い出したいのか。
そんなとき、決まって彼は、部屋の隅で毛布にくるまり膝を抱えている。
その目から、まだ見ぬものへの憧れと希望が消えることはない。
彼はまだ、
本当の絶望というものを知らない。
いつか本物の絶望に囚われたなら、その時は、ここへ来て。
それまでずっとここはある。
いつでもドアと部屋を空けて待っている。
さあキャプテン、ドアを開いて、彼を通して。
振り向きもせず去って行く彼の背中。
呼ぶ声には、もう、耳も貸さない。
「ホテルカリフォルニアへようこそ」と。
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風くんの演奏する「ホテルカリフォルニア」を聴いたとき、頭の中でバチバチするイメージを書きつけたものです。
歌詞自体のはっきりした解釈が、発表されていないようなので、あくまでも、風くんをホテルカリフォルニアの世界に投入した私なりのイメージ映像です。
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