「天使を、彫る」 藤井風
どれほど大きいのか、果てがあるのかすら分からないほどの塊。
大理石から天使を彫り出す。
そんなことにあなたは挑む。
鼻唄をうたいながら、チシシって笑いながら、時には吹けない口笛をふきながら。
眉根を寄せて。
ちょっと離れてみたり、天使の目元、口元に顔をよせ、ひたむきな眼差しで。
音楽を奏でるための指を丁寧に。
高く遠くへ羽ばたくための翼は、もっともっと丁寧に。
大理石の粉やかけらが、あなたのそのふわふわの巻髪や美しいラインを描く頬に降りかかることもいとわず、気づかず、、。
遠くからその姿を見た者は、彫刻が彫刻を彫っているような錯覚すらするだろう。
少しずつあらわれてゆく、天使の姿。
あなたが手を動かすたびに魂を吹き込まれてゆく。
足先の小さな小さな小指の爪を丁寧に彫り終えたあなたは、その美しく長い指先で天使の爪先の粉を優しく拭う。
瞬きを始めた天使は、自分の背中にある翼に気づき、少し不安そうにその小さな翼をうごかしてみる。
「大丈夫じゃけん」
あなたはそう言って、まだ何も知らない、でも全てを知っているような瞳で見上げてくる、自分にそっくりの天使の巻き髪を優しく撫でる。
あなたは、空高く高く飛べ、と、
彫り出した自分の歌を送り出す。
国境も海も時間すらも超えて行け、と。
その天使を見上げながら、美しい両手をあわせ、囁く。
"GOD BLESS US "
その背中で、透き通るほど美しく大きな翼がゆっくりと広がってゆく。
fin
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GQJAPANの記事を読んで、頭から離れないイメージを言葉にしてみました。
大天使の翼と、なんの違和感も無さすぎる風くん、、。
https://www.gq.com/story/voices-of-the-future#intcid=_gq-amp-bottom-recirc_df5a1159-c3ae-4192-9893-6837792b5e8c_text2vec1
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