鍾乳洞
前回、奥多摩駅周辺を散策していたぴちゃんとまえくん。ようやくバスに乗車し、終点の日原鍾乳洞(にっぱらしょうにゅうどう)で降り立ったのであった。
ま『やっと着いたね。うわぁ、ついに完全圏外やで』
ぴ『おい、ここがそうとちゃうで、まだ歩かなあかんやん』
ま『あーホンマやね。あれか、バスが旋回出来るのがここしかないのか』
ぴ『ずっと細い山道だったもんな』
ま『運転手さんとは別にもう1人の乗務員さんが、死角から対向車が来ないか逐一確認してたな。あんなん初めてみたで』
ぴ『2人乗るとか街中ではまずないもんね、珍しい』
ま『あーぴちゃんここらしいわ』
ぴ『歓迎されました!』
ま『さっき駅の案内所で100円引券もらってん』
ぴ『しょーもない男やでホンマに。100円くらい自然保護や観光保全のために惜しみなく払えや』
ま『口調が荒い割には良いこと言ってる! ごめんなさい!』
ぴ『ところで、しょうにゅうどうって何?』
ま『これ読めばいいんちゃう?』
ぴ『こんなん読むわけないやん』
ま『そーゆー人が多いんやろうな。見てやこれ、めっちゃ煽ってきよるで』
ぴ『え? どれ?』
ま『いや出だし一言目からよ、声に出して読んでみ』
ぴ『んーと、「いうまでもなく鍾乳洞は」って! 知らんわ! なんや「いうまでもなく」って! うざぁ! 知らん知らん! 何やこれ! 誰が書いとん!』
ま『そう怒んなや。まぁただ、興味ある人しかこんな山奥には来んやろって考えありきの文体よね。とても観光客に読ませる出だしではないよなぁ(苦笑)』
ぴ『もういいもういい! こんなん読まんと中入ろうや』
ま『そうしますか〜』
ぴ『寒くね?』
ま『夏でも涼しく回れますって書いてあったけど、ホンマに涼しいな。あっ平均温度10℃やって』
ぴ『ふーん。ぴぎゃ! 冷たいよぉ!』
ま『水も結構落ちてくるね。まぁそこは我慢してください』
ぴ『「地獄」に「三途の川」に「死」と「さいの河原」。絶対ここの観光課、厨二病やで』
ま『こんな暗い中におったらそうなるわな』
ぴ『待って! なんか綺麗!!』
ま『ライトアップが普通の光から色付きのカラーライトに変わったね』
ぴ『なんやライトやったんか、ぴちゃんあの駅のポスター見て宝石がたくさんある洞窟なんかと思ってた』
ま『エメラルドとかトパーズとか?』
ぴ『健ちゃんパウダ〜』
ま『それトミーズな。てか、そんな見応えある鉱山やったら平日とはいえもっと観光客おるわ』
ぴ『あー今ピンクに変わった! まえくん! ピンクの時に写真撮って!』
ま『同化しますけどw まぁいいわ。はい、撮ったよ〜って写ってへんやん!』
ぴ『ごめん化粧直してた』
ま『うん、してないよね。すっぴんのすっぽんぽんだよね』
ぴ『失礼な。まぁいいや撮って』
ま『はい、推しの色』
ぴ『まちゃんカラー!』
ま『あっ、この構図やと、ここがポスターの場所っぽいな』
ぴ『今撮ったぴちゃんのおる写真が、次のポスターに選ばれんかな?』
ま『鍾乳洞よりも目を引くからダメでしょ』
ぴ『かわいいから?』
ま『特にポスターに載せる意味のない、いらん情報やからや』
ぴ『はぁーこの可愛さが使われないなんて、みんなぴちゃんのこともっと評価してくれてもいいんやで』
ま『妥当な評価ではあるやろ』
ぴ『戻ってきた!』
ま『いや! あの写真スポット終わってから、まぁまぁしんどかったぞ! 汗だくなんやけど!』
ぴ『ずっとまえくん階段上り下りしてたね』
ま『ここ、お年召してる方や小さい子どもにはかなり危険やと思うで。いくら手すりあるとはいえ、階段のステップ狭いわ、落ちてくる水滴で滑るわ、単純に急だわで』
ぴ『ぴちゃんよく分からんかったわ』
ま『キミは俺のポケットに入ったったからな』
ぴ『いや〜鍾乳洞はアレやな! ライトが綺麗やったな!』
ま『そこ!?』
ぴ『それ以外はただの洞窟やなって思ってた』
ま『まぁ、それなりに楽しんでくれたならよかったけど』
ぴ『いやw 楽しいことはなかったやろwww』
ま『俺はこの時間楽しかったですよ(泣)』
ぴ『まえくんは、ぴちゃんがいれば、オッケーで〜す!!』
#3分間の暇つぶし #ぴちゃんとおはなし #ぴちゃんとおでかけ
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