どうして株で借金を背負う人がいるの?
ま『はい、前回の続きです』
ぴ『ポテトが美〜味〜。ポテトしか勝たん!』
ま『もし店員さんが、「値段そのままで、ポテトの量を3.3倍まで増やすことが出来ますよ」って言ったら、ぴちゃん頼む?』
ぴ『お〜! それはなんてお得な! 頼む頼む!』
ま『で、頼んで待ってたら店員さんが来て、「ごめんなさい、ポテト失敗しちゃって1人前も出来ませんでした。ただ、注文はされてますので、お支払いはキチンと1人前お願いしますね」と言いました』
ぴ『おい! なんやて!? どういうこっちゃ!?』
ま『今話した例は実際の現象とは少し違うんだけど、イメージとしてはそんな感じのこと。今回は、ギャンブルの感覚に近くなってしまう投資のおはなしです。ぴちゃんは絶対に【信用取引】をしてはいけませんよ』
ぴ『てか、そんなこと起こるんか?』
ま『前回の復習を兼ねて、今回の設定を決めていこうか。ぴちゃんは、無事SBI証券で証券口座を開設することが出来ました。そしたら、俺から「これで株買ってみな」と100万円もらいました』
ぴ『その瞬間、「ありがとう」と一言残して、ぴちゃんはまえくん家を走って出ました』
ま『おい待て!』
ぴ『冗談やん。で、その100万円を証券口座に入れて、株を買うんやろ』
ま『おん。どこの株買うよ?』
ぴ『じゃあ、ディズニー!』
ま『あ、ごめん100万じゃ無理。100株でも150万以上必要やわあそこ』
ぴ『夢が無ぇ〜。とんだ現実世界だぜ!』
ま『まぁ、とりあえず今ポテトを食べてまったりしてるけど、このガストの運営会社である「すかいらーく」の株でも買うとしますか。大体100株で15万円くらいやな』
ぴ『ディズニーの10分の1。なんか、より現実的に感じる』
ま『ここで、すかいらーくの株を100株買うとしようや。そしたら、「【現物取引】と【信用取引】どちらで買うか?」って選択があるんですわ』
ぴ『え〜っと。今、ぴちゃんの口座には100万円あって、買いたい株は15万円だから。お〜!【現物取引】で買えるぞ!』
ま『そうだね。あとは、証券会社のサイトでポチポチすれば買えるよ』
ぴ『な〜んだ、株買うのも簡単だな』
ま『じゃあ、ここで【信用取引】についての説明をしていくね』
ぴ『【信用取引】は「お金を預けたら、それ以上の株を買うことが出来る」だったっけ?』
ま『そう、それ以上ってのが「信用取引口座に預けた担保(現金や株式)の評価額の約3.3倍まで」やから、ここでぴちゃんが100万円を信用口座に預けてたら、信用取引で買えるのは約330万円分までとなる』
ぴ『は?』
ま『その代わり、制度信用取引の場合だと、最長でも6ヶ月以内に返済する必要がある』
ぴ『待って、なんかいきなり、意味わからんことになっとるけど!』
ま『じゃあ時を戻して、すかいらーくじゃなくて、カラオケ店のビッグエコーを運営している「第一興商」の株を買うとするよ。第一興商は、今日の株式市場が開いた時点で大体100株41万円だね。100万円でこれを買おうとしたらどうかな?』
ぴ『ぴ〜。株は41万円で買えるから、現物取引で買うよ』
ま『もし、ビッグエコーの株を100株じゃなくて、300株買いたいってなったら?』
ぴ『300株買うとなると、41万円の3倍で123万円だから、100万円じゃ買えないよ』
ま『でも、信用取引なら?』
ぴ『信用取引なら、330万円まで買えるんでしょ? だから、信用取引なら買うことは出来るけど。でも、まえくんさっき、6ヶ月以内に返さないといけないって言ってたじゃん!』
ま『そうだよ。だって、お金借りてるわけだからね。そりゃ返さなきゃ』
ぴ『無理だよ。手持ちだけじゃ買えないからお金を借りたのに、返せって言われても』
ま『300株のうち、いくらかを売らないといけないね』
ぴ『そうか、100株41万円だから、200株残して、100株売ればお金返せる。よかった、借金を背負うとこだった』
ま『もし、返済日に株価が下がってて、100株で5万円の価値しかなかったら?』
ぴ『え? それだと、300株全部売っても15万円にしかならない。あれ、担保にしてる100万円と合わせても115万円にしかならない。株を買うのに123万円使ったから、あれ? 8万円足りない! 払えない!』
ま『さて、ここでまた時を戻そう。最初に、ぴちゃんが買いたいと言ったディズニーの株価を思い出してね。運営会社の「オリエンタルランド」は100株で150万円だったとすると、買おうとするならどうする?』
ぴ『現物取引じゃまず無理じゃんね。だって100万円しかないから。でも、信用取引なら買うことは出来る。けど〜』
ま『けど?』
ぴ『信用取引で100万円を担保に出して、150万円の株を買って、その後に株価が大きく下がったら』
ま『少なくとも、50万以上値下がりした場合は、借金を背負うことにはなりそうだね』
ぴ『ぴ〜!』
ま『でも、買うときは株価が上がる可能性にかけてるからね。100万円担保なら200株300万円分まで買えるから、フルベッドしましょうや』
ぴ『確かに、300万円分まで買えるけど。ディズニーが倒産なんかして、もしも、最悪株価が0円になったら?』
ま『そりゃ、担保の100万払っても、あとの払えない200万円は借金になるな』
ぴ『ぴ〜!! やっぱりダメ! やっぱりダメ! 株は危ない!!』
ま『もし、ぴちゃんが現物取引だけをする人だったら、第一興商のパターンでも、オリエンタルランドのパターンでも、借金を背負おうことはなかったね』
ぴ『そうか、現物取引だと、自分の持っているお金の中でやりとりしてる。だから、もし倒産して買った株価が0円になってしまっても、大きなマイナスにはなるけど、借金まで背負うことにはならないんだ』
ま『そう、株式投資で借金を背負う人とそうでない人の決定的な違いは、「【信用取引】をしていたかどうか」なんだ』
ぴ『まえくん! まえくんは信用取引してないよね!?』
ま『してないよ。俺は普通に、現物取引しかしてないね』
ぴ『絶対だよ! 絶対しちゃダメだからね!』
ま『やらんから、安心しなさい。この「”買い”から入るパターンの信用取引」は、優待目当ての投資をする俺から取ったらメリットがないんよ。だって、返さなきゃいけないんだから。めんどくさいじゃん。優待株はホールドが基本だからね』
ぴ『絶対だよ! 別に優待とか関係なしに、やっちゃダメだからね!』
ま『今回、超簡単に、超ありえないパターンで借金を背負うことになった設定にしたんだけど。実は「【信用取引】の恐ろしいパターン」って、もう1つ有名なのがあって』
ぴ『なんですと!? まだ危険なんか?』
ま『「”売り”から入るパターンの【信用取引】」があって、こっちの方が優待目当ての俺にとっては、気をつけないといけないんだよね』
ぴ『「”売り”から入る?」はい〜? なんで持ってない株を売ることが出来るん?』
ま『それも、この【信用取引】の”信用”って部分なんよ。こっちはもっと怖いで〜。何が怖いって、こっちの”信用売建注文”は「株主優待品をお得にゲットする方法」のギミックで必ず使うことになるからな。この感覚が麻痺すると、あとあと痛い目あうで』
ぴ『ぴ〜! そんなお得にゲットする必要ないから! 危ない橋渡らないで〜』
ま『今日もそろそろ長くなってきたから、ここらでお開きにしますか』
ぴ『なんか、まえくんが怖い話するから、途中からポテトの味しなくなったよ』
ま『次回は、俺が1番信用取引の中でも手を出しそうになる【クロス取引】について、簡単に説明していくよ。まぁ、説明はするけど、実際にやるつもりはないからね。でも、ちゃんと知らないと、中途半端に手を出して火傷しちゃうから。今のうちから、これにもリスクがあるんだなと知識を入れときましょうや』
ぴ『下手したら、四谷怪談なんかより怖いんちゃう?』
ま『蒸し暑い夏にピッタリの、投資話をお届けしています』
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