【1限目】 ホームルーム : 黒谷先生
*ぴちゃんと先生 1限目*
キーンコーンカーンコーン♪
黒『は〜い、全員座れ〜。え〜、ホームルームをはじめ〜る』
ま『黒谷(くろや)先生、隣の席のぴちゃんが起きません』
黒『頭叩いて起こせ〜』
ま『はい。よし、ぴちゃん起きろ』
ぴ『真剣白刃取り! からの燕返し!!』
ま『痛ったーい! デコにシャーペン刺さってるんですけどー!』
黒『まえ〜。うるさ〜い』
ま『僕ですか!? 僕が悪いんですか!?』
ぴ『ほら、まえくん静かに』
ま『いや! ぴちゃんのせいだからね!』
黒『は〜い。プリント後ろまで回ったか〜? え〜、説明めんどいな、この通りだ〜』
ま『いや、説明しないんですか!?』
黒『家帰って読んどけ〜』
ぴ『くろやん、しつもーん!』
黒『受け付けませ〜ん。まえに聞いとけ〜』
ま『いやなんでだよ!』
ぴ『まえくん、この明日からの家庭訪問ってケーキ出した方が良い?』
ま『いや、昔はそーゆーおもてなしをしてたし、アニメとかでもそんなイメージあるけど、昨今そーゆーことするのはお互い気を使うし、そもそもそーゆーの受け取ること自体ダメらしいし、気持ちだけありがたく頂戴することが多いようだね。って、答えれたよ!』
ぴ『なるほど、基本はショートケーキを用意するのか』
ま『言ってねぇよ! 俺の答え無視かい!』
黒『ぴちゃ〜ん、先生はモンブラン派だからな〜。コーヒーは無糖で〜』
ま『頼んじゃってるよ! 良くないタイプだこの男!』
黒『山本ん家がシーザーサラダとコーンスープ、田中ん家がサンドイッチで、山田ん家がペペロンチーノ、佐藤ん家がカツカレーで、ぴちゃんん家がモンブランとブラックコーヒーな〜。他の日のやつもあとでメニュー渡しとくからな〜』
ま『メシ食いに来んのか! この男、2週間余りを人様ん家でメシ食って過ごす気だよ! 家庭訪問をヨネスケ的なノリでする気だよ!』
ぴ『くろやん、お腹空いてるのね、かわいそう』
ま『いやそんなわけないやろ! 教師やで! 両津的散財してなきゃ公務員とか安定やろ!』
黒『まえ〜、俺が生活安定してるように見えるか〜』
ま『あっ、全然見えねぇ』
ぴ『だって、くろやん前に、給食のおばちゃんにうちのクラスの給食の量増やすよう頭下げてたで』
ま『メンツも何もないのか!』
ぴ『くろやーん、来月の遠足のお知らせってまだぁー?』
ま『あー、それ僕も聞きたかったんですよ。他のクラスはもう詳細知ってましたよ?』
黒『遠足な〜。ウチだけ行き先が違うから、他のクラスの情報は当てにすんなよ〜』
ま『え? このクラスだけですか?』
ぴ『ぴちゃんたちどこ行くのー?』
黒『え〜っと、ユニバー』
ぴ『ユニバ!?』
黒『ユニバーサルエンターテインメントの企業訪問だな〜』
ぴ『ん? ユニバの会社?』
ま『いや、USJの運営会社は「合同会社ユー・エス・ジェイ」だったはず。優待がないことを不思議に思って以前調べたら、USJって株式会社じゃないんだぁってなった記憶があるから』
ぴ『じゃあ、ユニバーサルエンターテインメントって何の会社?』
黒『まどマギとかバジリスクとか〜』
ぴ『お〜、アニメ会社か?』
黒『ドンとかゴッドとか沖ドキ!とか〜』
ま『パチじゃねぇか! あー出たよ調べたら! パチンコパチスロの会社だよ! 中学生をどこに連れてく気だ!』
黒『早いうちに社会勉強しといた方がいいだろ〜』
ま『今やる勉強じゃねーよ! どんな思い出を作らそうとしてるんだ!』
ぴ『ぴちゃんユニバが良い〜』
黒『ユニバだろ〜が』
ま『いや、確かにユニバではあるけどやな』
ぴ『くろやーん! 本物のユニバが良い!!』
黒『しゃ〜ね〜な〜。んじゃ〜、ユニバにすっか〜。ユニバーサルスタジオジャパンに〜』
ぴ『ほんと!?』
黒『俺の分〜誰か入場料出してくれよ〜』
ぴ『まえくんが出すよ!』
ま『出すわけねーよ!』
ぴ『年パス買うって!』
ま『遠足だよね? 年パスじゃなくてもいいよね!』
ぴ『でも3回行けば得やで』
ま『なんで先生の年パスを買うんだよ! だったら自分の分を買うよ! ってか団体割でまとめて買えよ!』
ぴ『まえくんも、年パス買えばいつでもぴちゃんと行けるで』
ま『今そーゆーこと話してるんじゃないんよ!』
黒『じゃ〜、遠足の件は〜また追って連絡するからな〜。まえは金貯めとけよ〜』
ま『なんでだよ! 絶対自分の分しか払わんからな!』
黒『あっ、そうそう。お前らに大事な連絡があってな〜。最近、校区内に不審者が出たそうだ〜』
ぴ『ぴ〜。それは怖い』
ま『先生、不審者の特徴とか分かってるんですか?』
黒『黄色の体で〜、街行く人に「ハチミツ持ってる?」って容赦なく聞くらし〜』
ま『くまのプーさんかよ!』
黒『地域安全課の話だと〜、そ〜ゆ〜ヤバい人は働いてない可能性が高くて〜、日中いつ出くわすか分からないとのことだ〜。慎重に行動するようにと言ってたぞ〜』
ぴ『マジだったら、Wでプーさんじゃん』
黒『あと、もう1人不審者情報があってだな〜』
ま『もう1人は、どんな特徴ですか?』
黒『なんか〜、ホットケーキを素手で持ちながら〜、街行く人に「ハチミツ持ってる?」って容赦なく聞くらしい〜』
ま『それはヤバい!』
ぴ『ヤバいね! 絶対美食家だ!』
ま『違う! ヤバいは、そーゆー意味じゃない!』
黒『先生キャラメル派かなぁ〜』
ぴ『ぴちゃんバニラアイス乗せて欲しいです!』
ま『あー俺はチョコレート、って! ホットケーキの好みとか知らねーよ! どうする? 俺ら全員ホットケーキ素手で持って街出るか?「バニラアイス持ってる?」って聞き回るか?』
黒『まえ〜、何ヤバいこと言ってんだ〜。不審者の仲間入りか〜?』
ぴ『くろやーん、まえくんギリ不審者でもしょうがないと思うよー。基本感性が狂ってるからー』
黒『あ〜、まぁあれだな〜。ツッコミマシーン化してるよな〜』
ま『いや、やったらアンタらの罪は重いで! 俺やって感性が普通の担任を望んでたよ』
黒『そんなこと言うなよ〜。俺も〜、次の出番までめちゃくちゃ空くんだから〜』
ぴ『えー、くろやんまた授業サボるのー?』
黒『他の先生の言うことちゃんと聞けよ〜。俺はユニバ行ってくるからな〜』
ぴ『ユニバ良いなぁ! ぴちゃんも行きたい!』
ま『いや、あの目は、絶対今から株式会社の方のユニバに遊びに行く気だわ』
黒『ちょっと遠足代見繕ってくるわ〜』
ま『どんな教師だよ!』
#3分間の暇つぶし #ぴちゃんとおはなし #ぴちゃんと先生