小学生でもわかるGX入門(植林編)
やぁ、みんな! これまで『GX入門』を読んでくれた良い子のみんなは、日本が亡国の危機に晒されているって分かったよね?
ボクはGXとDXの両方をやっているから、時々、どっちのことを説明しているのか、自分でも分からなくなっちゃうんだ。それくらいGXとDXは、分野が重なっているんだ。GXをするためにはDXが必要だし、DXに必要な半導体や金属の精錬には大量のGXなエネルギーが必要みたいな感じで、ぐるぐる回っているんだよ。
日本政府や官僚は、GXをエコっぽい感じだと勘違いしているけど、GXを実現するためには、DXの技術を使って、大量のスパコンを用いた計算や、IoTによるモニタリング、最適化、トレーサビリティの担保なんかが必要なんだ。
『アヒルっ娘萌え』の葛西クンも『DX戦記』シリーズを小学生にもわかるように優しく説明しているけど、内容がDXに絞り込んであって分かりやすいよ。
DXは地球の問題をすべて解決してくれるから、『農業DX構想 2.0』だと、農家は働かなくても、農業ロボットが野菜を栽培したり、家畜を飼育したり、農薬や肥料も撒いてくれるんだよ。もちろん、収穫した野菜やお肉は、スマホが自動的に売ってくれるし、カーボンクレジットも作ってくれるから、もう農家はいなくても良いんだよ!
農業では大量の化石燃料や、電気、化学肥料や農薬も使うけど、そういうことは気にしなくても、DXがちゃんと管理してくれるから安心だね! 鳥獣被害はドローンやIoTで予防できるし、捕まえた鹿や猪、野鳥をジビエ料理として楽しめるんだよ!
こんな凄い農業は世界中の人が見に来るから、農泊地域振興でインバウンド収入もボロ儲けなんだよ! ただ、いま日本で問題になっているのは、外国人が来たら、お米が足りないし、帰りの飛行機の燃料もないことなんだ! こんな状況で、DXしちゃったら、農業ロボットの燃料や電気が足りなくて農家は全滅だよね! でも、DXしなくても農家の高齢化で全滅する予定だから、実はDXしてもしなくてもいいのが農業DXの凄いところなんだ!
日本の官僚や政治家は昔から優秀だから、B29爆撃機が攻めてきたら、燃料や弾薬がなくても、竹槍で撃墜しちゃえば、エコに優しい戦争ができるって凄い発想ができる人たちなんだよ!
ボクはSAFどころか普通の石油から作った航空燃料も不足するような国は恐いからとっくに逃げ出して、モザンビークでアグロフォレストリー(農業+植林)をやっているよ。どんなアグロフォレストリーかは、小学生でもわかるGX入門(アグロフォレストリー編)で詳しく説明するよ。他にも(バイオチャー:バイオ炭編)とか、書かなきゃいけないことがたくさんあるんだ。
植林ってなに?
植林は木を植えることなんだ。どうして木を植えることが大事かっていうと、木はCO₂を吸収してくれるんだ。つまり、木をたくさん植えることで、地球の空気がきれいになるんだよ。ところで、みんなは『植林』と『緑化』の違いが分かるかな?
植林と緑化の違いってなに?
植林と緑化は似ているように見えるけど、ちょっと違うんだ。植林は、特定の目的で木を植えることを指していて、主に森林を作ることを目指しているんだ。例えば、伐採された森林を元に戻すために新しい木を植えることが植林だよ。植林は材木を育てるような商業的な林業だけでなく、炭素吸収のためのプロジェクトも含まれているんだよ。
一方、緑化はもっと広い意味で使われるんだ。緑化は、都市や公園、道路の周りなど、いろいろな場所に植物を植えることを指しているんだ。緑化は、景観を良くしたり、暑さを和らげたりするためにも行われるんだよ。
カーボンクレジットってなに?
カーボンクレジットって聞いたことあるかな? これは、CO₂を減らしたり吸収したりすることで得られる『ポイント』みたいなものなんだ。たとえば、植林をしてCO₂をたくさん吸収することで、このポイントをもらえるんだよ。
森林クレジットを活用した森林保全応援スキーム
さて、最後に『森林クレジットを活用した森林保全応援スキーム』について話そう。ちょっと難しい言葉だけど、これは植林をして得たカーボンクレジットを使って、もっと森林を守ろうという仕組みなんだ。みんなが植林を手伝ってたくさんの木を育てることで、得られるカーボンクレジットが増えるんだ。それを使って、他の場所の森林も守ることができる…って言いたいところだけど、日本の植林は非効率的なんだよ。
どうして日本の植林は非効率なの?
生物多様性を無視して杉や檜の樹ばかり植えたがる農林水産省や林野庁が問題なんだ。さらに、他にも多くの要因があるよ。国立研究開発法人森林研究・整備機構の森林総合研究所の研究内容も的外れだしね。だから、これはボクが学術論文で、一つ一つダメな理由を科学的に証明しなくちゃならないから時間が掛かるんだよ。
日本は杉を挿木で増やしているけど、挿木だと根が十分に育たないから樹の成長速度も遅いし、日本全国で毎年1000件以上も土砂災害が発生する一因になっているんだよ。
それに日本は寒いから冬場には樹が育ちにくいんだ。だから、熱帯だと年間1ヘクタールあたり120トン以上のCO₂を固定できるのに、寒い日本だと手入れしても雀の涙くらいの量しかCO₂が固定できないんだ。日本では杉や檜、松林の下草を刈ったり、樹を間伐することで、樹の成長が早くなったことにして森林クレジットを発生させているけど、山仕事をする人たちの自動車やガソリン草刈り機が排出するCO₂、人件費なんかを考えたら、CO₂削減費用が莫大になってしまうんだよ。
熱帯地方だと、1ヘクタールあたり毎年120トン以上のCO₂を固定できるんだよ。よく勘違いしている人がいるけど、熱帯と熱帯雨林は別なんだよ!
日本とモザンビークの植林風景を比較してみよう!
日本は山が多いから、植林作業って凄く大変なんだ。杉の苗を背中に背負って山登りして100本も植えたら、もうくたくたで動けなくなっちゃうし、とても危ない仕事だから、日本では植林業は人気がなくて困っているんだよ。
ボクが植林しているモザンビークには、欧米や中国が森林伐採して放置してから過放牧で30年以上雑草しか生えなくなっちゃった真っ平らな草原が何百万ヘクタールもあるんだ。もう少し放置しておくと雑草も生えなくなっちゃうような荒れ地を探すのは大変だったけど、ボクが探すと条件通りの土地がいくらでも出てくるんだよ。
それで環境アセスメントもやったんだよ。降水量と蒸発量のバランスとか、いろいろ調べるのには結構時間がかかったけど、大統領(モザンビーク共和国議会)から開発許可証をもらっているんだ。1000ヘクタールまでなら州知事の許可で良いけど、1万ヘクタール以上は共和国議会の承認が必要なんだよ。
それで、平らな荒廃地だと、このYouTubeみたいな感じで、トラクター1台で一日1万本くらいは簡単に植林できるんだ。トラクター10台なら一日あたり10万本だけど、200日稼働したら年間2000万本植林できるんだよ。この規模になると苗木の生産設備だけで巨大な設備になっちゃうけど、日本みたいに地震や台風が来ない場所を選んでいるから、自然災害を気にしながら苗木を作る必要もないんだ。
気にしなくちゃいけないのはガゼルや、違法放牧牛の群れくらいだね。でも、ガゼルが苗木を食べに来たら、人間がガゼルを捕まえて食べちゃうのがモザンビーク流だよ。
『ガゼルを食べるのは可哀そう』って思うかもしれないけど、日本だってシカやイノシシを捕まえて、フランスの真似をしてジビエ料理っていって食べているんだよ。
その気になれば、ボクの会社だけでも、日本全土の植林数なんか簡単に抜けちゃうんだよ。しかも、30年以上木が生えていなかった土地だから、毎年どれだけ炭素削減できるか計算したらわかるよね。
ボクは試験植林してみたけど、樹種を選べば初年度から二酸化炭素固定量100トン/ヘクタール/年は楽勝だったよ。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のルールでは、理論値よりも実測値の方が優先されるから、試験栽培の結果は強いんだよね。
武智倫太郎