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愛縁機縁-vol.12-×うてばひびく-年末編DAY4-

2024年12月12日(木)、東京・新宿SAMURAIで『愛縁機縁×うてばひびく』が開催された。Vol.12となる今回のライブは、2024年の締めくくり。“12”だらけの記念すべきこの夜に集結したのは、個性豊かで音楽愛に溢れる6組のアーティストだ。


最初に登場したのは、「誰かを救う音楽」をモットーに活動する4人組バンド・Iris?。1曲目は「無題」。青いライトに照らされた深海のようなステージの真ん中に現れたのは、白いワンピースに裸足の女性ボーカル。浮遊感のあるサウンドに澄んだ歌声が響き渡り、彼らの音楽の中に沈んでいくような心地よさが会場を包み込む。曲が進むにつれて、繊細な音と情熱的な力強い音が共存し、緩急をつけた曲展開に。何かが憑依したような鬼気迫るボーカルの姿に、観客の視線は一瞬で釘付けになる。そのまま2曲目の「枷」に入ると、彼らは会場の空気をさらに掌握。危険や恐怖すら感じるほどの迫力で何かを訴えかけるように音に落とし込み、強いエネルギーを放つ。曲終わりに「ありがとう」とボーカルが小さな声で呟いた瞬間、少しホッとするほどの強烈なステージであった。


MCでは、曲中とは打って変わってアットホームな雰囲気。この日オリジナルのIris?Tシャツを作って来場したファンがいると話し、その熱烈さに改めて感謝の思いを伝える。「歌うことが幸せだと思って生きてきたけど、一人で歌ってても幸せじゃない。歌う自分を見てくれる人がいるこの場所が好き。誰かに何かを届けることに幸せを感じる。私たちはもっと大きなバンドになっていくよ。だから見ててね」と力強く宣言した。


ラストは、アップテンポなナンバー「紫苑」。語りの台詞パートでは、ボーカルが苦しそうに胸を押さえながら、半ば叫ぶように表現。彼女にリンクして演奏もどんどんボルテージが高まっていき、緊張感が高まる。曲のラストスパートでは、魂を乗せたドラムとベースの重厚なリズムと、激情を放つ爆発力の高いギターのサウンドが広がっていき、その場に崩れ落ちたボーカルが絶叫。深い爪痕と余韻を残してステージを去った。


2組目は、東京発のクリエイティブチーム・Lilly end roll。SEと共に出てきた瞬間、会場はメルヘンなムードでいっぱいに。1曲目は、キュートでポップなナンバー「スワロウテイル」。星や聖夜を想起させるファンタジックなサウンドはクリスマスのこの時期にぴったり。メンバーはステージから優しい笑顔を届け、ハッピーな空間を作り上げる。フロアからはあたたかいハンドクラップも沸き起こった。



続く「エンドロール」は、一変してスタイリッシュなロックナンバー。メンバーの表情もガラリと変わり、洗練された雰囲気に。スピード感のあるドラムと、音数の多いキーボードが疾走感を醸し出し、ボーカルは大人っぽい歌声で切ないメロディを歌い上げた。


まだライブを始めたばかりだという彼らだが、すでにたくさんの出会いがあったと語る。「今日もこんなにたくさんの方に見ていただいて幸せです。2024年は大切な年になりました。最後にリリースした曲を聞いてください」。そう語って始まったのは、新曲「ikaros」。これまで演奏してきた曲とはまた違う、高揚感あふれるアッパーチューンだ。“さらに先へ”というバンドの意思表明にも感じられる。ツインギターの2人が向き合ってアイコンタクトを交わし合い、音で会話するようにフレーズを重ねていくのが印象的だった。ラストは、パーティーのような楽しさいっぱいの「Wonder」。ハッピーなムードでフロアを埋めつくし、フィナーレを迎えた。



3番手は、Vo&BaとGt&Choの女性2人組・雨のマンデーズ。ぽっと明かりが灯るような歌と洗練されたサウンドが魅力のバンドである。一曲目は、「エターナルオレンジ」。夕焼け色の光に照らされながら、どこか安心するような、切なくなるような歌を届ける。コーラスとのハーモニーも聴き心地が良く、沈んだ日でも無理のない優しさをくれるような一曲だ。


この日、2024年のラストライブとなった雨のマンデーズ。「今年はバンドだけじゃなくて、二人で弾き語りのアコースティックライブもよくやって、そこで新しい方とも出会えた。色々な縁を感じた一年でした」と振り返る。その後も、リラックスして聴けるミドルテンポの「レイルとレイン」、ボーカルの表現力の高さが光る「ハッピーエンド」と、完成度の高い楽曲を続けて披露。情緒豊かなメロディと、淡々としているようで温かみのあるコーラスとベース、そして不思議な包容力を感じるボーカル。その全てが観客の心を引き付けていく。



ラストは、バンド名も冠した「さよならマンデー」を丁寧に届ける。サポートドラマーも含めた3人で視線を交わし合い、微笑みながら最後の音を鳴らす。尊い雰囲気に、3人がとても愛おしくなった瞬間だ。最後は深く深くお辞儀をして、感謝を伝えながら終わりを迎えた。


4番手は、東京発ミラクル動物園バンド・えさのじかん。ホラー映画でも始まりそうな異様な雰囲気のSEで禍々しいムードの中、メンバーが登場。この日は、ボーカル、ギター、ベースの女性メンバー3人に、サポートドラマーという4人体制。後ろを向いてスタンバイしたメンバーは、1曲目の「爆盛りギャル」が始まったと同時に振り返り、最強にポップなステージが始まる。「今日も盛り上がっていきましょう!」とキュートな笑顔で煽るボーカルは、エレクトロニックなサウンドにぴったりの甘い歌声が特徴だ。


続く「ドカ食い気絶部」では、「みなさんもっともっと声出していけますか!」とパワフルに煽ってスタート。ハードなベースソロや激しいギターフレーズも飛び出し、会場のボルテージはどんどん上がっていく。どこか不器用な雰囲気もあるが、キラキラした笑顔と中毒性の高い楽曲に心を掴まれる。


MCでは、もう一人のボーカルが体調不良でお休みしていることを伝え、みんなで「お大事にね~!」とエールをおくり、ライブ後半へ。「もくもくらんどはあっちだよー!」というフレーズからスタートしたのは、「もくもくランド」。ホイッスルの音と浮遊感のあるボーカル、ダウナーなラップ、そしてキュートな振り付けで不思議な世界へと観客を誘う。ラストは、ヘヴィなバンドサウンドとピコピコした電子音が融合した、とびきりのアッパーチューン「キミと卒業」。卒業証書を取り出し、卒業の言葉を叫ぶエモーショナルなパフォーマンスと共に、幕を下ろした。


5番手は、湘南発の3ピースガールズバンド・さかな日記。彼女たちは、晴れた朝や洗い立てのタオルのような爽やかさと柔らかさを持つバンドである。バンドを象徴するような一曲「ぼくはさかな」からライブは幕を開ける。ゆったりと海の中を泳ぐようなスロウテンポなナンバーで、シンバルの音が波紋のように広がっていく。「ぼくはさかな、ぼくはさかな」というフレーズを繰り返す、高く美しい歌声は神聖な雰囲気を醸し出している。


静かな雰囲気をそのままに、「真夜中のサーカス」へ。音数が少ないからこそ生まれる緊張感が会場を包み込む。コーラスも含めて作り上げる繊細なハーモニーは、唯一無二の響きを持っている。曲が終わる度に大きな拍手や歓声が沸き起こり、観客もさかな日記の音楽を心から楽しんでいるようだ。メンバーも常に笑みを携えており、真剣さの中にもステージを楽しむ余裕が感じられる。


その後も、少し切なくダークな印象の「透過」をエモーショナルに届け、ラストは「record of sorrows」。爆発力の高いドラムのプレイ、シンプルなのに情緒豊かなベース、高揚感を煽るギターと多彩な表情を持つボーカル。3人の放つ音楽に観客の心は自然と揺さぶられ、ステージから目が離せなくなる。唯一無二のステージを叩きつけ、余韻たっぷりに幕を下ろした。


最後を飾るのは、下北沢発の4ピースギターロックバンド・三毛とアネモネ。カジュアルな雰囲気の男女メンバーがステージに現れ、軽やかなイントロから幕を開ける。1曲目は、心弾むリズミカルなナンバー「Imagination」。フロアからはハンドクラップが沸き起こり、最初から盛り上がりを見せる。ステージ上では黄緑色の明るいライトがメンバーを照らし、笑顔のボーカルをはじめ、頭を振り回しながら暴れるギター、職人のような雰囲気のクールなベース、快活なリズムを刻むドラムと個性豊かな面々が、楽しそうにプレイしている姿も印象的だ。間髪入れず、ロックなナンバー「Orange」へ。ここからバンドのグルーヴはどんどん高まっていき、高速ドラムの激しいリズムに合わせて観客も拳を掲げる。


「雨が降ってるときも、明日この雨が止んだらきっといいことあるんだろうなって、明日への希望を感じていただけたら」という紹介から始まったのは、「雨降る夜に」。夜の雨模様を想起させる青色の美しい光の中、きらめく夜空のような美しいギターのフレーズが響く。明るく開けたサビは、まさに希望の光が差し込むような感覚であった。

夜の海の中を漂っているような不思議な演奏から、切ないラブソング「エンドロール」へ。ドラマティックなメロディと、抜群の存在感を放つギターソロに観客は酔いしれた。そしてラストは「鳴り止まない歓声を」。弾き語りから静かに始まり、最後は4人が心を一つにしてすさまじいエネルギーを放つ。全員が全ての力を振り絞るように魂の演奏を届け、余韻たっぷりに幕を下ろした。




■Iris?


■Lilly end roll


■雨のマンデーズ


■えさのじかん


■さかな日記


■三毛とアネモネ

■camera…あずき

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