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【毎週ショートショートnote】「節分胎教」

妊娠七か月の黒沢 涼子は、胎教に熱心だった。古典から童話まで、ありとあらゆる本を腹の子に読み聞かせている。

節分の夜、涼子は暖かな居間で、古くから伝わる豆まきの伝統や風習について書かれた絵本を、優しく穏やかな声で読み聞かせていた。

「鬼は外、福は内」

すると、お腹の赤ちゃんが大きく動いた。

「あら、反応があったわ」

涼子は嬉しくなり、もう一度声に出して読む。

「鬼は外、福は内」

今度は更に大きな胎動が。

「まあ、この子も節分が好きなのかしら」

涼子が微笑むと、赤ちゃんは更に激しく動き始めた。そして突然、お腹の中から声が。

「いやあぁっ、やめてくれぇっ」

涼子は驚いて立ち上がる。

「ど、どうしたの?」

「ボクは鬼の子なんだよ。そんな呪文を唱えられたら、出られなくなっちゃうだろ」

涼子は気を失いかけたが、ふと我に返る。声はお腹から聞こえたと思い込んでいたが……

「あなた、また変な声色で遊んでるでしょ」

コタツの中で腹話術の練習をしていた夫。

[408文字]


うーん、難しい。どうしてもワンパターンになってしまう


お題は上記です

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藍出 紡
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