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独白。

今夜は酒が美味しい夜だ。

少しだけ話をしよう。

酷く気分が良いんだ。

僕の人生は決して明るいものではない。

きっと今までもこれからも。

でも僕は日曜日の朝の雨が好きだ。

雨が降っていたとしてもそれは心持ちと、要は楽しみ方の問題だ。

この瞬間、この幸福というものが、それを感じさせてくれる相手の存在が、今はその全てが愛おしい。

愛というやつはきっと

ものすごい速度で、それこそ光よりも圧倒的に早く動いているので

観測することはとても難しい。

たぶん愛そのものの全体像はカメラじゃ撮れないのさ。

ただその場に止まらないというだけで、その空間を全て埋め尽くすほどに莫大な量の愛や善性が在ったとしたら

それはもう肉眼で観測できてしまうようなものだよ。

僕の今までの憎悪や、悪い思い出なんかも全てが消え失せてしまって

今僕の中で全ての善性と倫理と愛情が穏やかに雄大な山の野焼きのように、それが不安になるほどに突き抜けるような青い空と共に嫋やかに燃え盛っている。

燃え盛るそれが優しく吹いて、あなたの髪が嫋やかに揺れる。

それがどうしようもなく愛おしい。

あなたの上手に笑う顔が僕の網膜に焼き付いて、きっとこれから先の人生で辛いことがあった時にそっと瞳を閉じると

僕は全ての苦痛が逃れられることだろう。

存在しない僕の尻尾が勝手に震える。

此処がもし地獄だとしたら、罰には値しないだろう。

そも、誰が罰なんてものを考えたのだろう。

そんな退屈なことを考える暇があったら人を愛しなさい。

きっと優しい地獄とは今この瞬間を指すのだろう。

僕が過去に犯した死刑より重い罪は此処で精算されると、そのように思いたい。

僕の中に在る善性と、倫理と、愛情が

鯨のように空間を丸ごと飲み込んで

何もかもを綺麗さっぱり連れ去ってしまう。

わざわざ坂を登って磔にされなくてもいいのだ(というのも今となってはどうでも良く思える)。

とうの昔に壊死した心という臓器に再び血が通い、全身が36.5℃程度の熱を帯びてゆく。

手足の感覚がじんわりと戻ってくる。

過去に受けた差別も排他も、今はもうどうでもいい。

今現在、僕が持ち合わせている言葉全てを尽くしても何もかも足りない。

それを悔しく思う。

とても。

だが、「愛してる」という言葉以上に「愛してる」という事そのものを表す言葉は存在しない。

だから今こそ、どうかあなたへ言葉にさせておくれ。

「愛してる。」

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