<山口朋子さん>第三回 設計士
主婦起業の専門家、山口朋子さんのキャリア、「設計士」について伺った。
大学卒業後、新卒でリクルートに入りました。もともと住宅に興味があって、小さい頃から住宅の間取りなんかをみて、あれこれ想像を膨らませるみたいな遊びをやっていたんですけど。本当に好きで。
リクルートハウジングという部門があったので、そこを狙って就職を決めました。でも、配属は就職情報誌の営業で、イメージとはかけ離れていましたね。本当に激務で、心身ともにすり減らしていたんですが、ある時、ふと立ち返って「自分は
住宅に関わる仕事がしたいなぁ」と思い、設計士の資格取得のため、リクルートを退社しました。
お金も必要だったので、日中は派遣のお仕事、夜は学校という生活を2、3年続けました。資格取得後、ハウスメーカーに転職し念願の設計士としてのキャリアをスタートしたんです。
設計士の仕事っていうのは、「お客様の頭の中にしかないイメージを図面に落とし込んでいく」という仕事なんですね。お客様から、ヒアリングをして、間取り・広さ・動線・光の採りかたとか本当にたくさんの希望を、ひとつひとつ汲み上げて行って、図面に落としこむ。それをみて、工事の方が建物を組み上げていって、理想のお家が立つんです。
その「組み立ていく」という工程も好きでしたし、組み上がった建物が、何十年と街並みに残ることも誇らしかった。
「きちんとした図面があれば、家は必ず建つんですよね。」
一呼吸が入ったあと、少し強めに私に向けて言い切った。
私の起業のスタートは、ホームページ代行制作業でした。実はこれ、設計士時代に叩き込まれた考え方をそのまま水平展開したんですよね。ホームページという、理想の家を、お客さんにヒアリングしながら、組み立ていく。ね、まったく一緒ですよね。だから好きだったし、成果もでて喜ばれたんだと思っています。
ホームページ代行制作業の後。アフィリエイトを始めましたが、これも全く一緒。ある商品を買う決断をするのに、必要な情報は一体なんだろう。どういう心理行動から、このホームページに辿り着いたんだろう。このホームページを作れば、このくらいのアクセスが来て、そのうちこのくらいが実際に購入する。だから、このくらいの収入増につながる。と、ここまで計算をしてから実際の作業にとりかかる。
この”設計”という考え方がなくて、すぐインフルエンサーの真似から入っちゃう人っているんですが、、、うーん。。。自分が提供する、製品もないのに、「あの人が、高級ホテルのラウンジでアフタヌーンティやっているから、私も真似しよう!キラキラインフルエンサーの仲間入りだ!」って。それは、ねぇ。。表面だけみて、やっても意味ないのになぁと思います。
私が主宰している彩塾の塾生に対しては、この”設計”という考え方伝えようと思っているし、実際にそれを理解して実践している塾生さんは、成果に繋がっているように見えますね。
SNSのやり方とか、ブランディングとか、そういうスキルも彩塾の中で伝えてはいますが、それがわかったからと言って、すぐに収入につながるわけではなくて、「あなたはどんな価値を提供していきたいですか?」
「それをどうやってマネタイズしていきたいですか?」
そういう根っこの部分が一番大事なんです。
なるほど、「ビジネス」と「設計」は相性が良い。どのビジネス本を読んでも、「その行動の目的はなにか?ゴールを設定してから、逆算して今すべきことを落とし込むべし。」みたいなことは書いてある。自分の気の向くまま、目的設定もなく、この衝動を形にしたいといってものづくりを始めるのは、どちらかというと芸術家の部類に入る。ビジネスの成功者は、生きている間に称賛されるが、芸術家は死んでから評価されることも多い。
今回のエッセイを作るにあたり、驚いたことがある。ほとんど編集を入れていない。山口朋子さんの話したまま原稿が進んでいく。前回、あんなにとっちらかってしまったというのにだ。前回と今回はもちろん同日で行い、10分後ぐらいの世界だが、文章にすると全然別人のように思える。
これは、本人の話の方向性がまとまってきたとか、すでにやったことがあって慣れているとかそういう理由も、もちろんあるだろうが、私は違う感覚を持っていた。「山口朋子の根幹部分に設計という考えた方が染み込んでいる。」ということが聞いているうちに理解した。これが大きいと思う。
設計というキーワードは、山口朋子と会話をする時に便利な辞書のような役割を果たしている。「こんなことがしたいんですね?じゃあ基礎はどうしましょう、柱は?間取りは?窓は何個つけましょう?」そういう目線で物事を見ている。現実にどう図面に落とし込むか、それを第一に考えている。そのことが理解できれば、そんなに驚くような慌てるようなやりとりは発生しない。
この感覚を持って、新刊「オンライン起業の教科書」を読み直してみよう。設計という言葉こそあまり頻繁に使っていないが、やっていることは設計だと気づくことが多い。逆にそれが腑に落ちると、自分の頭で、MOMOさんならどう答えるかな?と考え、自分で解決することも可能だ。
次回は、専業主婦と山口朋子というテーマでお送りする。予定だ。。残念ながら私のインタビューに、設計という文字はない。恥ずかしい限りだ。
編集後記
こんにちは、アイダです。山口朋子さん(MOMOさん)のインタビューエッセイ。3回目です。少し時間が空いてしまいました、すみません。でも、我ながらインタビューっぽい文章になりました笑。この回はビジネスと連動しているので、わかりやすいと思います。
でも、もちろん山口さんにも人間くさいところもあるわけで、その部分がやっぱり面白いんですよね。でも、まとめるのはなかなか骨が折れます。次回はその部分に触れるかもしれません。
文章の内容は、MOMOさん本人の修正依頼がある以外は、基本的にそのまま残す予定です。どこまで、いけるものか、楽しみです。私の文章で、一人でも、MOMOさんのことに興味を持っていただけるとうれしいです。
では、また次回。
双極系男子
アイダ
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