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わたしの夫は分解者
2022年4月12日記
先日、メディアアートからIT農業、細胞培養まで、多岐にわたって活躍されている方から聞いた興味深いお話がある。
菌類およびキノコは、連なる山々の土の中に肉眼では見えない “ 1つの菌の根 “ を持っていて、それを元に地上へキノコを生やしているという。
そう、根は1つなのに地上での表現は多種多様であるということ。
とても面白いし、これは人間にも言えることなのではないかと想像が膨らむ。
別角度で考えてみる。
この現象は、足元の小さな生命が気付かぬところで大きな範囲を駆けめぐっており、実はその場をバランスし、支える力を持っていると言うことだ。
また思った、これは人間社会にも置き換えて考えられることなのではと。
地上で大きな範囲を占めているもの、見た目に華やかで目立つもの、群生しているもの。
色んな表現がある。役割もそれぞれだ。
以前、理系の友人が言っていた
「 私は森の中で、分解者が好きです 」
分解者ぶんかいしゃ 生態系内でのエネルギーの流れと物質循環において、死んだ生物体や排出物を分解し、その際に生じるエネルギーを利用して生活し、有機化合物を生産者が利用できる簡単な無機化合物に戻す役割を果たす生物をいう。 有機栄養生物(従属栄養生物ともいう)のうち細菌類と菌類がこれにあたる。
分解者とは - コトバンク
https://kotobank.jp/word/分解者-128311
私は理系でもなく、一生懸命勉強している人間でもないので、誤情報にならぬよう注意を払いながら書くが
バクテリアなど肉眼では見えないものを始め、糞虫やミミズなども分解者であると理解している。
はっきり言って、とても地味だし花形ではない。嫌なイメージすら持つ人も居るだろう。
しかし存在してくれないと確実に困る。大きく森に、私たちの生活に貢献してくれている欠かせない存在である。
私の夫は、はっきり言って目立たぬ人である。
(( 見た目は割とシュッとしてるんだけどなあ ))
大勢の中で自己主張しないし、お世辞にもコミュニケーションが上手とも言えない。
しかし私は彼を実力者であると思っている。
出来ることの種類が多いし、仕事も早い。
集団で作業する時も、まわりを見て手の足りていない所に回ったり、先回りして準備したり、要領よく片付けをしたりしている。
そう、地味な作業を人知れずひっそりとこなしていたりするのだ。
私は見ているし、知っている。
けど、なぜだろう?
そんな彼の仕事ぶりを評価する人が少ないと感じる。
いや、まず気付いてさえいないのだ。
まるで “ 分解者 ” のようだ。
方や、花形作業や “ 目に見えて残る ” 作業に関しての評価や感謝はされやすいように感じる。
花形作業者は “ 生産者 ” のようだ。
もちろん花形作業も必要。わかりやすい作業はわかりやすいだけに必須な作業だ。
しかし悲しいかな、“ 分解者 ” に目を向けられる人は今いる場所には非常に少ないように感じられる。
“ 正しさ ” とは何なのかという話は置いておいて、正しく評価されていないこと、働きに対する感謝が現されないということに疑問を感じる。
もちろん、感謝されるためにやっているわけではない。けれど数字として現れる報酬の分配、、のような場では どうしても疑問を抱かずにはいられなくなる。
私の夫は立派な分解者だ。
短い期間であるが、彼を見つめて来た中で、報われていないことが多いように感じる。
だから、彼への賞賛を何かの形に残しておきたいと思い、ここへ書き留めた。
私も「 分解者が好き 」だ。
“ 同じ根を持つ ” 仲間たちの中から、“ 見える ” 人が増え、どうか分解者が報われる日が来ますように。
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写真は2020年夏に吉野山で見つけた「 ルリセンチコガネ 」