出会いはスローモーション
天気のいい午後の日差しだったかと思う。
突然、早朝にあの子からLINEが来た。
内容はこうである。
”アイダさん、寂しいから会いたい”と。
SNS上での交流はあったが実際に会った事はない。
いわゆるネット友達にあたるのかもしれない。
彼女は音声ルームという機能を用いて、よくルームを開いていた。
初めて音声ルームに参加したのはその時。
セミがよく鳴く暑い夏。
声は知ってる、パーソナルデータ・顔も知っている
(どの程度本当かは知らないが)
感情に身を任せ僕は、会ってみることにしたのだ。
季節は変わって秋になっていた。
待ち合わせは午後1時。
池袋東口のイケフクロウ前。
そこには写真と同じ顔・聴いた声のあの子が立っていた。
はじめましてーと会話をしながら会う。
でもそこには初対面感がまるでないのである。
不思議なことだ。
お互い勢いで会ったので、特に行き先は決めてなかったが
そこは男女である。駅近のホテルへと向かった。
内容は割愛するとして、聞いた話はこうだ。
”ダメなことだとわかっていても求められると断れない。”
そう呟いたように言っていた。
いわゆる自己肯定感低め女子だった。
僕以外にも数人とあったが大体ホテルに行っている。
彼氏もいるがスキマが埋まらずこういう事をしてしまう
のかもしれない。とも。
僕には正解が分からず、そうなんだーとしか返せなかった。
今考えればそれでよかったのだろう。
3時間ほどの時間を、一緒に過ごした。
その後も関係を繰り返し、一緒にお祭りに行ったり
ホテルにお泊まりもした。
別れは急に来るのである。
その日も音声ルームをしていた。
堰を切ったように、もうやめようと思う。
と言っていた。
それを境にSNSから消えて、LINEもブロックされたのであろう。
今はもう会うこともなくなったが、
最近TVを見て似てる芸能人の人が現れた。
あのちゃんである。
どことなく雰囲気や声の感じも似ている。
あのちゃんを見るたびに、あの子を
思い出してしまう今日日。