#4 両親への告知
無精子症と診断され治療を検討していくなかで避けては通れないのがお互いの両親への告知です。当事者が最初にあたる壁といっても過言ではないぐらい皆様本当に悩まれる方が多いです。
親というのは身近で一番頼りにしたい存在です。何よりせっかくできた孫をかわいがってほしいですよね。そんな一番近くにいる存在だから理解して受け止めてほしいと思います。
・親にはどう伝えればいいの?
・もしも反対されたらどうする?
これはご両親の年代や土地柄、仕事柄、考え方によりかなりの差がありますが、共通しておすすめしたいのは、両親にも「無精子症を受け止める時間」を渡してあげることです。
自分たちが無精子症と診断されてから受け入れるまでに時間がかかったように、両親にとっても同じように晴天の霹靂! まさか息子(娘の旦那)が!? 楽しみにしていた孫にはあえないかも・・・という思いがあると思います。 さらに急に第三者からの提供精子で・・・と立て続けに話をされても頭も気持ちも追い付かず、どこかで聞いた悪いイメージ(メディアではまだまだ不幸な子どもにスポットライトがあたっているのでネガティブな情報がはいりやすい)から反対されかねません。
だから、親への告知も長期戦。
事前の準備と余裕をもった時間(期間)をかけて少しづつ話していくのがベストです。親への告知の前に、最低限以下の準備をしておくことをおすすめします。
・なぜこの治療を選択したか(養子や夫婦二人の人生をえらばなかった理由)
・世間のネガティブなイメージがすべてではないこと
・治療方法やドナーさんについての説明
・関連書籍や資料(見せるだけでも、これだけ学んで考えて結論をだしていると伝えやすい)
・実際に提供精子で子どもを授かった人たちの話
ここで一番大切なのは、自分たちが無精子症を受け入れ、提供精子で授かった子どもにしっかり愛情を注いで育て、必ず幸せな家族をつくるんだというゆるぎない覚悟と決意です。 話すときは、はじめから親を説得しようとするのではなく、まずは自分たちの決意を伝えたい。親に聞いてもらいたい。という姿勢で話してみてください。
もし、万が一反対されたら、自分たちの親がどうして反対なのか、何が不安なのかよく話をきいて、親の不安要素をひとつひとつ取り除くように話しあってみてください。
参考までに私は、
1、無精子症の事実と、MD-TESEをすることを伝える。この時MD-TESEで精子がとれなかった場合の次の可能性(養子、AID、夫婦2人)について説明しておく。
2、2か月後、精子はとれなかったと伝え、次の選択について考えていると伝える。
3、更に2か月後AIDに進もうと思うと伝えた。
実は、はじめて無精子症を伝えた時点で、すでにMD-TESEは終わり、AIDに進む事を決めていました。焦る気持ちもありましたが、自分の両親にAIDに進みたいと伝えるまでに4カ月はかけました。その間に両親にもAIDや無精子症に関する資料を渡し読んでもらいました、親もいろいろ考えてくれていたようで、私たちの場合には、最後は冷静に受けとめてもらえることができました。
それでも反対されたときは…
親の意見も大事ですがこれはあなたの人生であり、あなたとパートナー、夫婦の問題です。
これからの人生どう生きたいか、パートナーとどんな家庭を築いていきたいか、二人が考える幸せな家庭とは? 身近な人に応援して祝福してもらいたいと願うのは当然のことですが、今あなたの一番大切な家族は誰ですか? 親でしょうか? 兄弟でしょうか?
隣にいるパートナーですよね。 あとで後悔しないよう、パートナーを信じてご夫婦で決めた道を前進してみてください。
【参考サイト】
・ 無精子症と向き合い、夫婦二人三脚で立ち向かうそれぞれの葛藤と選択の先にあるもの
私たち夫婦の無精子発覚からこれまでを記事にしていただいています。この記事をそのままご両親に参考文章として読んでいただいた方もいます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
読者のみなさんが、世界で一番幸せになる事を、こころよりお祈りいたします。
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「こころでつながる 家族をつなげる」
一般社団法人 AID当事者支援会
寺山 竜生(てらやま りゅうせい)
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Twitter: https://twitter.com/aid_toujisha