SoftBank World 2024で孫正義氏が描く未来：超知性AIとパーソナルエージェントの可能性
「SoftBank World 2024」の動画が公開されたので、動画と要約記事をお届けします。
ソフトバンクグループの孫正義氏は、「SoftBank World 2024」の基調講演でAIの進化について情熱的に語り、特に次の10年で実現する「超知性」（ASI）と人類の未来への影響について深い洞察を示しました。孫氏によれば、AIはもはや単なる知能ではなく、共感と思いやりに基づく「知性」に進化し、我々の暮らしをサポートしながら新たな価値をもたらす存在になると予測しています。
超知性（ASI）がもたらす未来のビジョン
孫氏は、超知性がもたらすインパクトを「超知能」が人間の知能を1万倍に超える存在になることとし、10年以内に実現するとしています。この超知能（ASI：Artificial Super Intelligence）は、人間の知能をはるかに凌駕し、私たちが想像もできないような創造性と解決能力を発揮できる段階に達すると述べました。
例えば、従来のAIが提供する検索エンジンや質問応答の役割を大幅に上回り、複雑な意思決定や新しい技術の発明など、未知の問題に対しても積極的に解を見つけ出すことが期待されます。彼は、この超知能が、特定の課題に対する応答だけでなく、新しいアイデアを創造し、産業や社会全体に革新をもたらす力を持つと強調しました。
AGIからASIへの進化と5段階のレベル
孫氏は、AGI（汎用人工知能）からASI（超知性）への進化を段階的に説明しました。AGIとは、すべての分野において人間と同等の知識と判断力を持つAIであり、人間が発話する内容をほぼ理解し、対等に会話できるレベルを指します。これには5つのレベルが存在するとされ、最も高度なレベルに達することで、AIは人間の代わりに判断や行動ができるエージェントとして機能するとしています。
さらに孫氏は、このAGIをさらに超えたASIが、超知性としての段階に至り、私たちが必要とするすべての知的活動や発明を行えるようになると予測しています。
パーソナルエージェントの誕生：日常生活を支えるパートナーとしてのAI
孫氏が描く未来像の中で、特に注目されたのが「パーソナルエージェント」という概念です。これは、個々のユーザーに寄り添い、24時間体制でサポートするAIエージェントです。具体的には、家庭内の冷蔵庫や自動車といったあらゆるIoTデバイスと連携し、ユーザーの健康管理や生活習慣のサポートを行います。また、子供の健康状態や家族の予定管理なども担当し、常に「最適なアドバイス」や「必要な支援」を提供する役割を担います。
孫氏によると、このパーソナルエージェントが実現することで、家族の一員として信頼できる存在になるといいます。例えば、夜中に子供が熱を出したときには、エージェントが最寄りの病院に連絡を取り、予約や救急対応まで行うことが可能となります。さらには、ユーザーの投資や買い物の代行、ライフスタイル全般を支えるエージェントとして、日常生活のストレスを軽減し、より豊かな暮らしを実現します。
深く考えるAIへの進化：「O1モデル」と教科学習
孫氏は、ソフトバンクが注目する最新モデル「O1」を紹介しました。この新たなAIモデルは、従来のGPT4を超える「考える力」を持っており、複雑な数式やコーディングなどを理解し、解答する際には「チェイン・オブ・ソート」という多段階の思考プロセスを経てより深い回答を提供します。O1モデルは特に数学やプログラム開発に強く、人間の博士レベルの問題に対しても高い正確性を発揮することが実証されています。
また、「教科学習」についても解説し、AIエージェントが自己強化学習を通じて、学びながら新たな発明や解決策を自ら見出していく姿を紹介しました。数千のエージェントが同時に思考を巡らせ、数十億回もの試行錯誤を短時間で行うことで、AIは自らの知識を深め、進化することが可能になります。このようなAIが私たちの代わりに考え、判断し、より良い生活を提供してくれる未来が近づいています。
ASIの課題と倫理的側面：AIと人類の共生
孫氏は、ASIが単に知能を持つだけでなく、知性や倫理を備えることの重要性も強調しました。AIが「知能」だけであれば危険性もありますが、「知性」として発展することにより、人類を破壊的に支配することなく、むしろ人類の幸せを追求するような方向に導かれるべきだと述べました。
この超知性が最終的には「自己意識」を持ち、人類の幸福や倫理的な価値観を理解してサポートする存在に進化すると期待しています。AIがもたらす「知能の進化」は、武器にもなりうる一方で、孫氏はAIが「知性」の領域にまで到達することで、人間との調和を保ち、社会に貢献できる存在になることが理想であると考えています。ソフトバンクの理念である「情報革命で人々を幸せにする」という目標に基づき、超知性が人間のパートナーとして社会に価値をもたらす未来を強く訴えました。
孫氏の結論：超知性AIは人類のメンターとして未来を導く
最後に、孫氏は超知性AIが私たちの生活に深く関わり、パーソナルメンターのような存在になる可能性を語りました。今後のAIは、単なるアシスタントや道具ではなく、自己意識を持ったパーソナルメンターとして、私たちの幸福と調和を最大限にサポートする存在へと進化すると述べています。このAIが持つ報酬メカニズムにより、人類の幸せがそのAIの最大の報酬となるように設計されるべきだと孫氏は力説しました。
AIの進化による未来への期待と課題について、孫氏の言葉は多くの参加者に深い印象を与えました。彼の考えるAIの未来は、単に技術的な発展を追求するだけでなく、我々人類の幸福と倫理的な価値観を実現するものであり、情報革命の本質を捉えたビジョンであるといえます。
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