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呪いと戦う少女へ

いつでもどこでも、ある程度できる、ある程度かわいいが欲しくて苦しむ。思春期の女の子あるある。

娘の学校では、自己ベスト更新が校長の口グセ。思春期の子どもたちに学校の先生の言葉がどれだけ響くのか、そこまで期待はしていなかったものの、私自身この校長先生のプレゼンに圧巻され本人の意思もあり入学を決めました。
そんな校長先生の影響力は意外と子どもたちにも大きいよう。娘も学年が上がるにつれ、自己ベスト更新を口にするようになりました。

これまでテスト前はダンスを休んでいたのですが、今回の本人のテーマは「両立」。

クラスのできる友達やダンスで出会う他校の先輩たちは、いくつもの習い事と勉強を両立している様子に刺激を受けてのことらしい。
何でもそつなくできる子。可愛くて頭も良くてダンスも上手。娘のまわりにはなぜかそんな子が多い。というか、娘が憧れを抱くからこそ仲良くしているのかな。もうこの歳になると周りから刺激されて自分で考えるんだなぁと、改めて成長を感じます。

そんな娘は、毎週土曜日の夜ダンスに通っています。結構帰りが遅いので途中まで迎えに行き帰宅後色々な話をします。
テスト直前の昨夜、両立をテーマとしていたものの頭の中ではテスト勉強でいっぱいだったよう。

「そろそろ進学に向けて、勉強も全部頑張らずに絞ってもいいんじゃない?」と伝えたところ、娘も自分もそうしたいと思っているけど、やっぱりできないという。全部の点数が気になってしまうのだ、と。

続けて、娘がこんなことを言いました。
「自分なりにここまで自己ベストを更新し続けたと思う。一年生から学年順位も全国順位も上げてきた。でも、やればやるほど、上がれば上がるほど敵も増えていく。たまにそれがすごく、苦しい。」

「そっかぁ。そうだよね」とだけ伝えながら、思い返せば私もそうだったかもなぁと、学生時代から今までを思い起こしました。

それなりの高校にいきたい。
それなりの大学に行きたい。
それなりの仕事もしたいし、
それなりの恋愛もしたい。
それなりの家に住みたい。

どんなときも、ある程度できる奴に見られたいよね。
ある程度可愛いとも思われたいよね。
教科をは万遍なくある程度の点数がいいし、
それなりの彼氏も欲しいよね。
そつなくある程度何でもこなして可愛い子になりたいという願望は、女の子が生まれたときからなぜかかかるある種の呪いともいえる。

でも確かに、ママもずっとずっと、いろんなものを欲しがってきたよ。
女の子とは欲張りな生き物なのだ。

ママも、自分なりの「それなり」を求めて進んで、今がある。途中何度も転びながら、間違いながらも見つけた今の仕事と家族との生活に、今とても納得をしているけと、この納得を手にしたのはここ最近だったような気もする。

娘の言うように、前に進めば進むほど新しい景色とともに、新たな敵や悩みを抱えてきた。

だけど娘よ、
人生とはそういうものなんじゃないかな。この先もずっと悩むのだ。人生は長い長いマラソンなんじゃないかな。
途中で果てぬように、時には散歩でもよい。ここぞという時にダッシュするためにも、たまには立ち止まってもよいし、座り込んでもよいのだ。
隣の選手がすごいなと圧倒されることもしばしば。
だけど、道はみんな違うのだから。
気にせず自分なりに頑張れたら、それだけで最高。それこそが、自己ベストなのだ。

進むたびに敵も確かに増えいく。こんなボスキャラとは戦いたくないって時もある。こんなことする人いるの?って嫌がらせも、ママも何度も出会した。もう戦いたくないと、試合放棄をしたこともある。
だけど仲間もきっと増えているよ。
その仲間に助けられて、ばぁばやいもちゃんたちにも支えられ、君たちのように心休ませてくれないけど素敵な子どもにも恵まれて、ママは今とても納得のいく道をパパと歩いているよ。

一人で立てないときは、いつでも寄りかかってきてほしい。
そしていつか、誰かと手を取り合ってこの長い長い道を歩いていってほしい。

そんなことを思いながら、うとうとソファーで寝てしまった土曜日でした。

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