「エンジニアはビジネスを学べ!」に違和感を感じるあなたへ
まず結論!
IT エンジニアやデータサイエンティストと呼ばれる人には2種類います。
「ビジネスマンの中の技術担当」「技術者の中のビジネス領域担当」です。
ビジネスマンの中の技術担当なら、ビジネスも学んだほうがいいです。
技術者の中のビジネス領域担当なら、技術を学んだほうが良いです。
自分がどちらかを見極め、スタンスを取り、勉強・研鑽していきましょう!
じっくり詳細 - 2種類のエンジニア
この話は、IT エンジニア向けを想定して書きますが、データサイエンティストも当てはまります。なお、機械系のエンジニアは、私はあまり詳しくないのですが、普通に技術学ぶのが大事だと思う(?)ので、一旦置いておきます。
以降、めんどくさいので、「エンジニア」と書きますが、IT エンジニアやデータサイエンティスト等を指していると思ってください。
エンジニアには2種類います。それが、「ビジネスマンの中の技術担当」と「技術者の中のビジネス領域担当」です。
ビジネスマンの中の技術担当とは、事業等のビジネス課題を解決するため、手段として技術を用いて貢献する人たちです。
たとえば事業会社のエンジニアは、その事業を伸ばすことを目的として、様々な技術を駆使し、課題を解決していると思います。
客先に派遣されているエンジニアさんや、社内 SE の方々も同じで、顧客や自社の重要なイシューの解決のために、既存技術をうまく組み合わせ、問題を解いていると思います。
技術者の中のビジネス領域担当とは、新しい技術を開発し、過去の不可能を未来の可能にすることを通して、実学に貢献する人たちです。
例えば、企業の中の研究者は、自社のビジネス領域に関連する・応用可能なテーマについて研究し、人類の知のフロンティアを前進させるとともに、長期的な企業の成長に貢献していると思います。
ビジネスマンの中の技術担当はビジネスを学ぶべし
ビジネスマンの中の技術担当の目的は、事業上の課題解決や、イシューの解決です。であれば、それを深く知ることなしに、本質的な価値貢献はできません。
もちろん、技術担当として、技術に対する幅広い知識とスキルが必要なことに疑いの余地はありません。ただし、ある程度の技術力に至った後、それ以上技術力を向上させても、価値貢献はなかなか増えないでしょう。
これが、「エンジニアはビジネスを学べ」の正体です。もうちょっと言葉を補って言えば、「ビジネスマンの中の技術担当であって、ある程度技術力がついてきた人だったら、それ以上技術を学んでもいいけれど、ビジネスを学んだ方が価値貢献が増えていくよ」です。
技術者の中のビジネス領域担当は技術を学ぶべし
この文章の中での「技術者」という言葉の定義は、新しい技術を開発し、過去の不可能を未来の可能にする人たちです。
つまり、本質的には、研究と同じことです。研究者は、学問の知のフロンティアを広げるのが仕事で、「ビジネス領域担当」な人たちは、ビジネス領域に貢献できるテーマでやっているということです。
なので、当然に、自分のテーマについては世界で一番詳しい必要があります。
なので、当然に、自分のテーマやその周辺技術について勉強することが、自身の価値貢献を大きくする最良の方法です。
ちなみに、データサイエンティスト協会によるスキルレベル定義(2023年版)での、サイエンスとエンジニアリングにおける「業界を代表するレベル」を書いておきます。
サイエンス力:業界代表レベル
業界を代表するデータプロフェッショナルとして、データサイエンスにおける既存手法の限界を打ち破り、新たに課題解決可能な領域を切り拓いている
既存手法では対応困難な課題に対する新規の分析アプローチの開発・実践・横展開
高難度の分析プロジェクトのアプローチ設計、推進、完遂能力
時代を牽引する新たなモデル(独自の生成モデルや基盤モデル、ロボティクス等他分野と融合したモデルなど)の企画・開発推進
など
エンジニアリング力:業界代表レベル
業界を代表するアーキテクトとして、データサイエンス領域で取り組もうとしている分析アプローチやAI活用戦略を、挑戦的な課題であっても安定的に実現できる
複数のデータソースを統合した例外的規模のシステム、もしくはプロダクトの構築、全体最適化
技術的限界を熟知し、これまでにない代案の提示・実行
生成モデルを進化させるために必要となるシステムインフラ課題やデータ処理課題の技術的解決(独自モデルの開発に伴うエンジニアリング課題解決や、処理性能やコスト・環境負荷の劇的改善など)
など
こっちを目指すのであれば、当然、技術を学びましょう。
スタンスを取って前に進もう!
「ビジネスマンの中の技術担当」と「技術者の中のビジネス領域担当」には良し悪しはありません。(会社・事業との相性はありますが)
なので、自分の目指す姿がどちらなのかを明確にし、それに必要な勉強・研鑽を積むのが良いでしょう。
ちなみに、エンジニアの多くは「ビジネスマンの中の技術担当」です。なので、「エンジニアはビジネスを学べ」は、悪くない言葉だと思います。
ですが、100人エンジニアがいて、100人が「ビジネスマンの中の技術担当」では困ります。(この記事の定義での)技術者がちゃんと少数でもいて、技術そのものを作っていく必要があります。
このあたりは、私の理解では、登大遊さんが常々発信されていることと同じだと思っています。「技術者の中のビジネス領域担当」が少なすぎるから、もっとみんな「技術者の中のビジネス領域担当」もやろうよ・目指そうよ! という話だと思います。
最後に結論再掲
IT エンジニアやデータサイエンティストと呼ばれる人には2種類います。
「ビジネスマンの中の技術担当」と「技術者の中のビジネス領域担当」です。ビジネスマンの中の技術担当とは、ビジネスの課題解決のために技術を手段として用いる人であり、
技術者の中のビジネス領域担当とは、新技術の開発等を通して不可能を可能にすることをビジネス領域でやっている人です。
ビジネスマンの中の技術担当なら、ビジネスも学んだほうがいいです。
技術者の中のビジネス領域担当なら、技術を学んだほうが良いです。
自分がどちらかを見極め、スタンスを取り、勉強・研鑽していきましょう!
いつもの宣伝
データサイエンスVTuber をやってます!
チャンネル登録よろしくおねがいします! (^o^)/
ちなみに私は、「技術者の中のビジネス領域担当」を目指してまして、DS のサイエンス領域の業界を代表するレベルを目指しています (^o^)v
一応結構頑張ってるから、よかったら見てね
(今年のバーチャル学会の発表も数理統計を投げ込むよ!)