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感想「君たちはどう生きるか」
「そろそろ、あの映画公開するね。家族そろって観に行けるかな?」と夫が言った。
宮崎駿の作品「君たちはどう生きるか」の事だ。
今82歳の宮崎駿。
今回の作品が最後なら、家族そろってリアルタイムで映画館に行けるのは、今だろう。
ムスコは小学2年生となった。
普段はギャグアニメが好きなのだが、映画ドラえもんに感動し涙を流す感受性も育っている。
ただ、今回の映画は前情報が一切ない。
親としては映画を存分に楽しみたいが、ムスコが上映中退屈しだしたら…なんか楽しめない。
そこで、まず私が観て判断しようじゃないか!という流れになった。
映画が始まり、最初はどんなメッセージが含まれているのか読み取ろうとばかりしていた。
しかし、主人公の少年の顔つきや眼差しに魅了され、すっかりストーリーの奇妙さにハマっていった。
所々、過去のジブリ作品を彷彿させる情景や風景があった。
それらを思い馳せながら観ていると、今回の少年も今までの作品の主人公たちと共通する部分が気になりはじめた。
様々な困難が起こる中、泣き言も言わず立ち向かう姿がここにもあった。
彼らはいつも勇敢だ。勇気そして思いやりを彼らから学んだようなもんだ。
ふと碇シンジ君だったら、こんな状況まず受け入れないよなぁと思ってしまった。
こんな事を考え出し始めたら、この映画はムスコに観て欲しいと思うようになっていた。
最初はシリアスな重い映画かと思っていたけれど、ちゃんとコミカルでファンタジーな部分もあり、ハラハラわくわくしながら物語に没頭できた。
私はおばさんになってもアニメが好きだ。
絵が動く。その動きに、演技がつく。
現実世界で表現できない演技を、絵で表現する。絵なら表現できるのだ。
でも、とてつもなく手間がかかるのがアニメだ。
とっぷりとした液体、落ちそうで落ちないギリッギリのシーン、全力で走って滑りながら角を曲がるシーンなどなど。
ジブリ作品では、たくさん魅せられてきた。
時代は進み、セルアニメではなくなったけれど、手間をかけて作られた作品である事は間違いない。
最後のエンドロール。
米津玄師の優しい歌声に、ツーっと涙が流れた。
いつまでも語り継がれる作品を作ってきた人の、最後かもしれない作品。
「ちゃんと立ち向かえよ!」と言われた気がした。
これからの未来を託されたのは、私達だ。
だからこの作品なのかな、と思う。