第18話「体力の限界が判断を鈍らせる」の巻
私の体調も限界が来ているようだ。翌朝の日曜日。
早々と朝食を食べ終えた両親は自分達の仕事に夢中。
母は洗濯。父は掃除。ムスコはマイペースに食べ続ける。
いつもなら「早く食べて!」と催促するが、この日はあえて放置し様子を見ることにした。
すると食べ終えたムスコは、食器を流しに置いてくれていた。
やらないのでもなく、できないのでもなく、我々が待てなかったんだろうな…
もう赤ちゃんじゃないし、ほんとは色んなことできるのだ。
こぼされるのがイヤ。危ない。めんどくさい。
親なら誰でも身に覚えがあると思う…
やりたいことがやらせてもらえない時や、理解してもらえない時もムスコはパニックになる。
【自閉症】かもしれないけど、自分の意志をハッキリもってる人間なのだ。強すぎるほどに。
幼児生活団のおかげで、ムスコに対する見方が変わった。
親子で通園も3週目に入る。
朝早く起き、洗濯全て干し終え、風呂を洗い、夕飯の下拵えもしてから登園。
14時(水曜は11時半)に園が終われば、小1時間は公園で遊ぶ。
その後、洗濯を取り込み夕飯の支度。
夕飯が終われば、風呂、髪を乾かし、歯磨きして就寝。
心が不安定なムスコは私にべったり…さすがに体力がもたない!
母は少しずつ風邪をこじらせ始める。
園にいる間は、私にべったり、ではなくなった。
月曜の夜、一人で行けるかベッドの中で聞いてみたところ
「お母さんと行くんだよ!!!」と激しく泣かれ、よけい不安にさせてしまった。
翌日火曜は、不安が残って登園拒否された。
ゆっくり、じっくりと思っていたが、やはり焦ってはダメだ。
私の身体も休養が必要である。休んだ。
水曜日、園が終わって公園での出来事。
イジワルな園児がおり、ムスコにイチャモンつけてくる。親は見てない。
ムスコに「早く帰ろうよ」と急かすが、帰ろうとしない。
体調も悪いし、イライラするしで、私はまたブチ切れてしまった。
「好きにしろ!勝手にしろ!そんなに遊びたいなら公園に住め!」と
怒りのオーラを撒き散らしながら、公園を飛び出した。
ムスコは慌てて追いかけてくる。慌て過ぎてこけて流血していた。
一番やったらアカン怒り方と分かっているけど、イジワルな子と1秒も一緒にいたくなかった。
さらに怒りはおさまらず、ムスコに当たり散らす。
「もう知らん!好きにしろ!ひとりで幼稚園行け!」とまで言ってしまった。
怒りがおさまらない母を鎮めるために、ムスコは無理やり『一人で行く』を約束させられてしまった。
この日から、私は声が枯れ出なくなってきた。
木曜日は朝から雨。
無理やりではあるが一人で行けるか挑戦でもある。
教室前に来て、「お母さん一緒に来て!」と泣きながら懇願する。
担任がバス当番でいない。
なかなかムスコを引き渡す事ができず困っていたら、頼りの補助の先生が来てくれて「お預かりします!」と暴れるムスコを抱きかかえてくれた。
「不本意ですが、今日は離れないといけないんです」と、私も涙ながらにお願いした。
お迎えの時、担任の先生からその日の様子を聞いた。
その日は、本を読んだり、輪に入らない時もあったが、なんとか1人で過ごせたようだ。
先生もムスコが1人で来ている事が嬉しかったのか、少し目に涙が浮かんでいた。
ムスコには申し訳なかったが、この日やっと先生と気持ちが揃った気がした。
そして、金曜日。
この日は私も一緒に過ごす。が、体調が絶不調。
熱はないが、声が出ない、激しく咳が出る。
午前中の散歩に同行し、お弁当の時間が終わった頃、先生が見かねて
「お母さん、無理せず家で休んで下さい」と声をかけてくれた。
そうだよなぁ、他の園児に伝染しちゃ悪いよなぁ。
この日は早退して、1週間を終えた。
この週辺りから、私がクラスの子達とも仲良くなりすぎて
先生がやり辛そうな雰囲気も多少感じていた。
そろそろムスコと離れてみるべきか
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