マニラのリアル:シングルマザー
フィリピンはシングルマザーが多い?
シングルの方は日本でも普通にいるし、特別な事ではないと思うけど、それにしてもフィリピンはシングル率が高いような気がする。家で働いてくれているヘルパーさんもシングル。コンドにいるヤヤさんもシングルの方が数名。オンライン英会話の先生も結構シングルの方がいました。
やはり傾向的にどちらかというと貧しい方が多いのかな、と感じます。周りにいるお金持ちのフィリピン人でシングルって聞いたことがないし、大学を卒業して働いている女性にもシングルは少ないような気がする(きちんと裏はとれていませんが)。やはりお金がない人、最終学歴が義務教育までの方が圧倒的に多い印象です。
そして、日本と違うのは、未婚のシングルマザーが多いという事。日本では離婚してシングルになるケースがほとんどかと思うけれど、フィリピンの方は未婚でシングル、もしくは事実離婚(籍は入ったままだけど実質別居してシングル状態?)の方がほとんどのようです。
フィリピンでは離婚は基本的に法律で禁止
これを知った時すごく驚いたのだけど、フィリピンで神の前で一生を誓い結婚すると、一生離婚出来ないそうです。
聞いたところによると、婚姻無効裁判という訴訟を起こし、条件をクリアすれば離婚出来る場合もあるそうですが、弁護士を雇い、100万円以上の訴訟費用がかかるため、一般的なフィリピンの方が払える金額ではない。一般的にフィリピンの給与は、大卒でも2~5万程度と言われているのでこの金額を払うのは到底無理でしょう。
だから籍は入れずに事実婚のようなカップルが多かったり、子供が生まれて父親である人が「結婚していない」という事を盾に逃げる事が多いのかな。結果シングルマザーが生まれてしまう。
中絶は禁止、避妊も良しとはされていない
カトリックの国なので中絶は法律で禁止されているそうです。また経験なクリスチャンは避妊も良い事とは思われないとか。
貧困のため売春をせざるを得ない方もいます。いわゆるお持ち帰りのゴーゴーバーとかキャバクラKTVとか。そこで望まない妊娠をしてしまった方、レイプ被害にあい妊娠してしまった方。悲しいけれど、良く聞く話です。彼女たちは中絶は出来ないので産むという選択しかありません。
「避妊をすればいいじゃん」と思いますよね。でも、いわゆる貧困層出身だと、きちんと教育を受けていない場合もあるし、そういった場合、避妊の知識さえ持っていない場合もあるかもしれません。また、敬虔なカトリックの方は避妊も宗教上良くないと考える人もいるとか…。
10代の若者も場合、日本でもあると思うけど、付き合っている彼氏彼女と、勢いで関係を持ってしまうパターン。結婚していないけど妊娠しちゃった場合、産むしかないのでシングルマザーになるしかない。そして10代の男性、もちろん責任なんて取れないから結婚なんてしない。これはフィリピンだから、という訳ではないと思いますが…。
この2点が大きいのかな、と思います。シングルでも家族に支えられて生きている人もいるし、皆が皆貧しいわけではない。けれど、フィリピンでは給与も低いため、家族が支え合って生計を立てている家庭が多いです。収入減が少ないと、必然的に貧しくなってしまうケースが多いと思います。
フィリピンの給与は思っている以上に低い
そして、若者が多く買い手市場のフィリピンは、大学卒でも仕事につけない人がいるくらい。シングルマザーの方は中卒や高卒が多いため就職も難しい。結果的にヤヤさん(フィリピンのシッターさん)やメイドさん、たまにレストランのウェイトレスといった職業に就くしかないようです。そうすると給与は恐らく月に2万円~3万円程度。子供を養い、場合によっては家族を養うには少なすぎる金額ですよね。
うちのヘルパーさんも食べ物に困っているとか、そういうレベルでは全然ないです。でも病院に行く時や親が病気の時、子供の学校関連で出費がある時は前借をお願いされます。貧困ではないけど、決してお金があるわけではない。学校は公立の場合、基本的に無料だから皆が義務教育までは受けられるけど、大学まで行くのにはやはりお金がかかりますよね。
貧しい家庭に生まれると、中々抜け出せない連鎖が生まれるフィリピン。お金がないと大学に行くのが難しいというのは日本でも同じだけど、その割合がやはり圧倒的に大きいんだろうな。
10代の少女が物乞いをしながら授乳していた衝撃
今日、これを書いた理由は、町中で明らかに10代と思われる女の子が小さな赤ん坊を抱いて授乳しながら物乞いをしていたから。彼女の顔つき的に恐らく17~18歳。ストリートチルドレンなのか。家はあるけど貧しくて物乞いをしているのか。炎天下の中、車ががんがん通り排気ガスが蔓延する大通りで、赤ちゃんを抱いてただ手を出す彼女。見ていると切なくなる。
きちんとした教育や性教育を受けれいれば。貧困で子供を産むとどうなるか理解していれば。
もちろん彼女と彼女の赤ん坊が不幸だと決めつけるのは間違っているだろう。あの赤ちゃんは母親や親戚に祝福されて生まれた可能性だって多いにある。本当に。
でも、すくなくとも健康的な問題、衛生的な問題やこれからあの赤ちゃんが受ける教育の事を考えると、考えざるを得ない。
教育を受ける事、就職する事、お金を稼ぐこと。こういった格差が、悲しくなるほど大きいのがフィリピン。
「仕方ない」で片づけたくないけど、出来る事も少ない。胸も痛む。このノートを書く事、発信する事でも何かのきっかけ作りになれば。
で、今年はタガログ語を少しずつ頑張りたいと思う。なぜかと言うと、ストリートの子供たちと少しでも話したいから。ストリートチルドレンにお金をあげるのは良しとされていないし、背後に元締めやマフィアがいる可能性があるという噂も聞くから深入りは出来ないけれど、花を売っている子供や何か少しでもお金を稼ぐ努力をしている子からは、物を買う事がある。そんな時に、「ありがとう、がんばってね」そんな言葉をかけたいと思っています。
自己満足かもしれない。でもやはりこの根深い格差から目をそらす事は絶対に出来ない。