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マニラのリアル:スラム地域の生活
スラム街を見たかった理由
マニラに来てからずっと気になっていた、スラムツアー。今住んでいる場所以外のマニラが見たい事という気持ちからでした。
スラム街には外国人や裕福な層が住むマカティ、BGC、ロックウェルやオルティガス等とは比較にならない世界がありました。4〜5人の家族が住むのも広くても10畳程度、店の床で寝る人も。水や電気も個人で契約出来ません。
現実を見たい、ツアー参加費からスラム地区に貢献したいという気持ちも、快適なコンドに住みながら言っていると偽善に聞こえるかもしれません。それでも、6割が貧困と言われる実際のマニラを直接目で見て、住人と話が出来た事、少しではあるけれどお金を落とす事が出来た事も確かかな、と思います。
Smokey Tourのツアーに参加!
フィリピンに来て5カ月が経った頃、ツアーに参加しました。日本のNGO、ソルトパヤタスさん等でも主催していますが、せっかくなのでフィリピンの団体が行っているツアーに参加したいなと思い、色々探した結果、World Experienceという会社のSmokey Tourを見つけました。World Experienceは社会的弱者の支援や経済格差をなくすことをミッションに掲げている会社で、マニラ市内観光ツアー(今回参加したSmoky Tourが運営)、移住サポート、ボランティアやインターンシップの仲介などを行っている会社で、Smokey TourはWorld Experienceの1つのプロジェクトです。なお、スラムツアーは、子供は6歳以上の参加となるので、週末に娘を夫に託し、友人と参加する事にしました。
Smokey Tourはマニラ観光スラムツアーの他、市場を回るマーケットツアー、お墓に形成されているコミュニティを訪問する墓地ツアー、家族でマニラをめぐるFamilyツアー等を実施しています。墓地ツアーは住む場所がなくてお墓に住んでいる人々の生活を垣間見るツアーとのこと、非常に気になったのですが、まずはずっと参加したかったスラムツアーに。価格はプライベートツアーで1人23.5ユーロ、グループツアーは2人で68ユーロでした。
当日は、マニラ市のSanta Cruzに位置する、LRT1 Carriedo駅の下にあるマクドナルドでツアーリーダーと落ち合います。リーダーはスモーキーツアーのTシャツを着ているのですぐにわかります。私たちの担当になったのは、笑顔が素敵なメラニーさん。簡単に場所の説明等をしてもらった後、ジープニーでイントラムロス付近まで移動、そこからトライシクルでBaseco地区へ向かいます。ジープニーは思ったより乗り心地が良かったのですが、トライシクルは一つのバイクに5人乗るのでスピードも遅いし、サイドカーに乗ったので振動がもろに伝わってくるので少しお尻が痛かったです😂。
Baseco地区は、港での仕事を求めて移り住んだ人、2014年のスモ―キーマウンテン閉鎖に伴いに移り住んだ人など、約6万人が暮らしているスラム地区。ただ、観光ツアーで行けるくらいなので、ある程度整備はされています。以下、ツアーで見た中で印象的な事を書いてみます。
なお、スラムツアーは個人のプライバシーや尊厳を守る為、写真は厳禁でした。
インド人高利貸しがいる
スラムの人々は銀行口座は開設できないですし、マイクロファイナンス等のローンも書類をそろえたりするのが難しい為、お金を借りる場合は、インド人の高利貸しから借りるそうです。もちろん利子は尽きますが、銀行にも行けない、マイクロファイナンスの書類も手に入りにくいスラムの人々にとっては、「ある意味、助かっている」そうです。ある程度もうけがあるからインド人も貸すのだと思うのですが、返済率はどのくらいなのだろう。
水や電気は一人のオーナーから30人位つながっている
スラム地区は、スラムという印象から水や電気の契約が出来ないそうです(!)。なので、スラムの外に住む人が契約し、スラム内に1つのメーター設置、そこから違法ですが、水のパイプや電線を改造し、30程度の家庭にひかれています。どの家がどのくらい使ったかわかるために、各家庭にもメーターが設置されいて、使った分だけオーナーに支払うシステムだそうです。電線やパイプの改造等、結構複雑に見えましたが、生きる為の知恵、タフだなあ…と感じました。なお、1つのメーターからつなげる数にも限度があるので、つなげない人は5リットルタンクを10~30ペソで購入するそうです。意外と高く感じました。我が家は5ガロン(約11リットル)で55ペソ(約120円)なのであんまり値段変わらないような…。🤔
ニンニクの皮むきを1日やって70ペソ
スラム各所で地べたの座って、大量のニンニクの皮をむいている女性を見かけます。これは、朝に市場から運ばれてきたニンニクの皮をむく仕事。丸一日の仕事量で70ペソ(約150円)との事。多く稼ぐために、子供も学校の合間や休日に手伝うそうで、まだ5歳くらいの小さな女の子もピーラーで器用に皮をむいていました。ちなみにマニラのスタバでトールのカフェラテは140ペソです。ニンニクの皮むきを2日間行わないといけない金額。
サリサリストア、スラム版
砂糖や塩、オイルが1回分ごとで売られています。大体一つ1~5ペソだそう。これは1パック、1瓶などを買うお金がないためだそうです。やはり、ガツンと稼ぐシステムがなく、なんとか稼いだお金をその日の食費に充ててるんだなあ、と実感。また、10ペソ(約25円)で揚げたてのポテトが食べられたり、30ペソ位でハンバーガーを売っていたり。「マクドに行くお金はないけど、ここの方が美味しいよ!」とにっこり。また、市場から仕入れた野菜や魚、肉も売っており「市場に行かなくてもここで完結する」そうです。なお、お惣菜が売っているお店もあり、1つ10~50ペソ程度で、アドボ、シニガンスープ、ナスの炒めもの等、10種類くらいありました。家の近くにあったらなあ…。お米を炊くにも水も電気もいるので、お惣菜を買う人も多いそうです。
ネットカフェ?がある!
ビックリしたのが、スラム内にバラック小屋風のネットカフェが10件程ありました。ここもスラム版になっていて、1ペソで6分。2ペソで12分。昼間は5ペソ位をもってゲームをしたり、宿題の調べものをする子供たち、夜は大人が利用しているそうです。他にも、他で見た事がない簡易WIFI器を発見。お金を入れると機械にコードが表示され、そのコードを打ち込むと1ペソで6分程度、WIFIに接続できるそうです。今の時代、ネットにつながるかつながらないかはかなり重要だと思います。色々な情報が手入れられる事、外の世界を知る事等、ネットにつなげる事でいろんなメリットがあるし、子供の将来にも大きく関わってくるので、住人が利用しやす金額でこうしたカフェがあるのは、スラムの人達に有難いだろうなあ。
泳いで緑ムール貝を収穫!
スラム対岸の港の岩壁に緑ムール貝が多く生息しているそうで、これを収穫して売る為に、夜間、男性たちが約2キロ先位の港を目指して泳いで取ってくるそうです。ただ、違法なので湾岸パトロールにライトで照らされそうになったら潜って隠れるそう…。どの位潜っているのだろうか…。🤪
夜間、外国船員を対象にした売春が行われている
これは聞いてショックな話でした。スラム地区近くは港があるため、外国船が多く寄港します。その船員を狙って、夜間に女性たちがボートに乗って船の近くまで行き、船員と値段交渉するそうです。お客さんはボートに乗った女性を、船上からライトで照らし、好みの女性を選ぶそうで、1回5000ペソ。ただ、ボート代で1000ペソ、湾岸パトロールへの賄賂で1000ペソ、仲介人に1000ペソ払わないといけないので結局手取りは2000ペソ程度(約4200円)。もちろん、中々のお金ですが、中には16歳くらいの少女もいると聞き、非常に胸が痛みました。売春はスラム地区だけの事ではないけれど、やはりショック😔。地方から大学に行くための上京、家賃を浮かすためにスラムに住み、売春をしながら卒業した女性もいるそうです。ただ、不思議なのが「白人とのハーフが可愛い」という理由から、積極的に妊娠したがる女性も多いとか…。「今のミスユニバースもハーフでしょ?」との事でした。
ツアーを終えて
そんなこんなで、スラムを歩き回り、途中でポテトとアボカドシェークを購入(驚かれました😅。観光客はスラムで売っている物はあまり買わないそうですが、普通に美味しかったです!)したり、2時間半以上が経過。最後は寄付で送られた本が集められているライブラリー、スラム内の女性団体が水仙の茎で作った雑貨を売る場所をめぐりツアーは終了。ガイドのメラニーさんはすごく明るい人で、スラム内の住人をほとんど知っているから、色々なお店や家で、彼らの話を聞いたり、説明してくれたり、素晴らしいガイドさんでした。また、Baseco地区はスラムコミュニティがしっかりしており、違法ではあるけど水や電気を使う事が出来るし、住人のニーズに合わせたお店が並び、小さいながらプリスクールもありました(先生一人に子供80人以上だそうです)。住所不定の人も多いけど、しっかりと根を下ろした、一つの町の様な印象。マニラ市北部のトンド地区にあるスラムはもっと厳しい環境のようです。
後は、ツアーで聞いた事を自分なりにどう消化して、どうやって生かしていくか。まだまだ答えはありませんが、マニラに住むにあたって、経済の底辺で生きる彼らの事は忘れないようにしていきたいと思います。また、スラムで出会った子供も大人も笑顔が最高に素敵でした。「出られるものならここから出たい」と言う人も多かったですが、笑顔を忘れずたくましく生きる彼らにパワーをもらって気がします。