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美術館さんぽ③ ~白金台・松岡美術館~

こんにちは、aicafeです。
40代、人生時計で14:00頃に差し掛かったところです。
これからの人生の午後の時間の過ごし方を模索中です。

2月はじめの美術館さんぽは、白金台の松岡美術館です。
(冒頭の写真は松岡美術館のウェブサイトより)
シンガポールの博物館ボランティアガイド時代の、ほぼ同期の仲間たちと行ってきました。

白金台の閑静な住宅街に佇む松岡美術館

美術館は白金台の駅からプラチナ通りを真っすぐ歩いて、有名なチョコレート専門店ショコラティエ・エリカ(スティック状の「マ・ボンヌ バー」は手土産にもお洒落です)よりも手前、セント・ジェームズを通り過ぎた辺りを左に折れた道先にあります。

松岡美術館の概観(写真:松岡美術館ウェブサイトより)

一大コレクションを築いた豪商・松岡清次郎

この美術館は、松岡清次郎という事業家が集めた美術品コレクションを所蔵・展示している美術館です。
元々新橋にありましたが、松岡氏の死後、2000年に白金の旧私邸の跡地にオープンしました。
この、松岡清次郎さんという方は、お米屋さんの三男で、幼くして父を亡くし、母親の女手一つで育てられたそうです。中央商業学校を卒業後に銀座の貿易商に入社して頭角を現し、22歳で独立。持ち前の商才を発揮して、数々の事業を手掛けた「豪商」という呼び名にふさわしい方です。

松岡氏は二十代の若い頃から美術品の蒐集を始め、半世紀で一大コレクションを築きます。
このコレクションが、すごい!!!
良い意味で節操がなく、さまざまな時代とジャンルを横断した芸術品が一つの美術館に所蔵されているのです。
いくつもの企画展が同時開催されているような贅沢さ、充実感があります。

ガンダーラ美術の宝庫の常設展もすごい。

現在開催されているのは、以下の三つの展覧会です。

目玉は「アメイジング・チャイナ」展です。
わたし達も、これを目がけて行ったのですが、2階のこの展覧会にたどり着く前に、1階だけでも2時間近く滞在してしまいました。

西洋近現代彫刻の部屋には、ヘンリー・ムアの作品が集められていて、
玄関ホールには古代ギリシア・ローマ彫刻のゼウスやアフロディテが点在し、
古代オリエント美術の部屋には古代エジプトの神像や彩色木棺が並んでいます。
(松岡美術館のウェブで、その混沌とした雰囲気を味わってみてください)
「古代オリエント 創造の源」展では、なんと紀元前5600年頃の作品《横たわる女人像》が展示されています。ここまで古い作品が個人のコレクションに収まっていることに驚かされます。

そして趣味が突き抜けているのがガンダーラ美術のコレクションです!!
我々一行は東南アジアの文化歴史芸術好きの集まりなので、「古代東洋彫刻」展示室には興奮してしまいました。
入口ではクメールのヴィシュヌ神像が迎えてくれ、お宝である「菩薩半跏思惟像」、シヴァ・ファミリーのレリーフや、釈迦の生涯を表したレリーフとその解説付きの「仏伝図」など!大興奮!!
キャプションの内容がわかりやすく親切で「ガイドの参考にしたかった!」とみんなで悔しがりました。

悪魔を片足で諫める「シヴァとパールバティ」。ナンディもガネーシャもムルガンもいる。
奈良中宮寺、京都広隆寺の弥勒菩薩の源流のひとつとされる「菩薩半跏思惟像」

原カントくんさん紹介で知った「アメイジング・チャイナ 深淵なる中国美術の世界」展

1階だけで疲れ果てたわたし達ですが、はやる気持ちは抑えきれません。ペールグリーンの上品な絨毯敷きの瀟洒な階段を上り、2階へ。「アメイジング・チャイナ」展です。

こちらの展示会については、TBSラジオ「金曜ボイスログ」の番組内の博報堂ケトル・原カントくんさんの展覧会情報紹介コーナーで知りました。
見れるのは世界でも故宮博物院か松岡美術館かというほど貴重な「翡翠の白菜の花瓶」が見られるということで、どうしても行きたかったのです。

膨大な松岡コレクションの中から、北斉~唐時代の金銅仏、明~清時代の漆器、陶磁器、玉器、絵画などを観ることができます。
その眩さたるや、松岡氏の審美眼の凄味すら覚えます。

なかでも目玉なのが、「翡翠白菜形花瓶」

翡翠白菜形花瓶(写真:松岡美術館ウェブサイトより)

白菜の上に螽斯(キリギリス)がとまっている、翡翠でできた花瓶です。
キャプションによると、白菜は「花嫁の純潔」を、昆虫は「子孫繁栄」を意味していて、翡翠の白菜は婚礼の縁起物として清朝中頃より製作されたそうです。同じようなものが故宮博物院にも所蔵されていて、そちらは清朝の皇妃の嫁入り道具だったとも言われているとか。

他にも博物館のお宝の青花の壺や、超絶技巧の堆朱の蓋物など、貴重な作品が多数展示されています。

翡翠の作品も香炉や衝立などが数多く展示されています。翡翠は、その色合いの多様さに驚かされます。昔の中国では翡翠は大変貴重なものだったので、その深い緑色は高貴さを表す色でもあったと言われていますね。

アメイジング・チャイナ展は、会期が2024年2月11日までと迫っていますが、一見の価値ありですので、気になる方はぜひお急ぎください。

充実した鑑賞後は白金ランチ

松岡美術館は小ぢんまりした美術館なのですが、我々は3時間以上滞在してしまいました。

お腹がすき過ぎたわたし達は、近くの八芳園内のThrush cafeでランチセットを堪能しました。

松岡美術館のまわりは、素敵なレストランもたくさんあるので、鑑賞後はお食事も楽しめますね。

こちらのThrush cafeは、八芳園のお庭を眺めながら食事を楽しめるので、春は桜、夏は新緑、秋は紅葉が楽しめます。冬枯れたお庭もまた、渋くてよかったですよ。

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