となりがるーむめいと・21

石畳を抜けると、鮮やかなピンクのブーゲンビリアたちがドアの前でアーチを描いている。

「わあ、デートスポットっぽい。素敵。」

カゲヤマのやや斜め45度にズレた発言に、ちょっとデート気分でカゲヤマを連れ出していた矢島は、少し疲れを感じ、壁に手を着いた。

しかし、青空の下喜んではしゃいでいる彼女を見ると、まあ、どうでもいいかという不思議な幸福感が芽生えてくる。

「カゲヤマ、中に入るぞ!」

ドアを開け、笑って声をカゲヤマにかけた瞬間、
「あれ、タカヤじゃん?。あら、カゲヤマちゃん?、え?」

「タカヤ様!」

ちょうどチャージを済ませていた美女二人組を見た瞬間、矢島の顔は青ざめる。


一方、独り矢島宅に残された黒澤も、フロアに座り込んだまま例の等身大リアルパンダを片手に抱きしめて、あの月夜を思い出しながら床に置かれた資料一点を見つめていた。

「やっぱり、若じゃないと、駄目だ……。」

ため息混じりにつぶやいて、資料を片手で握り潰した。

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