となりがるーむめいと・20

「ごべんね、だっで、やじば、そんな……」

「カゲヤマ、オレが悪かった、大丈夫だ、だから落ち着いてしゃべれるようになってから話せ……。」

ティッシュをわたしながら、矢島が苦笑する。

一生懸命涙を拭いているカゲヤマを微笑ましく感じながら、黒澤との結び付きを説明するのに解りやすいかとついこの話をしてしまったが、まさか自分の思い出話にそこまで心を移入してくれる人がいるとは思わず、正直驚きを隠せなかった。

「ごめんなさい、私もお父さん、小さい頃に逢えなくなったから、おんなじような思いしたのかなって……。
でも、私のお父さん、多分どこかで生きてるから、もっともっと淋しくて、辛いよね……。」

目的地につき、車を止めた瞬間彼女が口にした言葉に矢島ははっとして、

「……カゲヤマ、オマエも、つらかったんだな。」

そう言って、目を細めた。

たどり着いたカフェは、海が一面見渡せるロケーションで、昼前の太陽がスペイン風の外観の白い壁を一層美しく引き立てていた。

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