となりがるーむめいと・11
突然の地鳴りに振動、両壁の本たちがバラバラと落ちだし、棚が倒れてくる。地震だ。
「か、カゲヤマ!、大丈夫か!」
「矢島、きゃあっ!、危ない!」
矢島の頭上にぐらついた壺を見つけた瞬間、カゲヤマは渾身の力を込めて矢島を突き飛ばした。
後ろに飛ばされた矢島は幸い難を逃れたが、
倒れかかった顔の横に壺が叩きつけられ割れた破片が直撃し、負傷したカゲヤマは身体を動かせずにいた。
「カゲヤマ、カゲヤマ!しっかりしろ!」
矢島は必死に彼女を抱き上げて、血まみれの顔をシャツの裾で拭い、軽く揺さぶると、うっすらと目を開けた。
「あ、矢島、無事だったのね、よかった……。」
そう言ってうっすらと目を開けて、静かに微笑んだ。
「カゲヤマ!」
矢島はカゲヤマを抱きしめて力の限り叫んだ。
薄れていく意識の中、彼女を励ます矢島の声が聞こえる、温かい胸の中、
「矢島、大変だから私のこと、置いて行って……。逃げて。」
涙を流しながら繰り返した。
「だめだ、絶対オマエと生きる!」
余震が続き、立て続けにモノは落ち、危険な状態だったが、何とか彼女を助けなければならない、彼は冷静に心を保つ努力をし、とにかく彼女を背負い、倒れた本棚やモノを掻き分けて、入り口から突破を目指した。
命を助けてくれた、彼女と生きるために。