となりがるーむめいと・14
いつの間にかリビングに眩しい朝日が溢れる。
薄目を開けて、当たりを見回した矢島の目に広がった光景は、うたた寝してしまったカゲヤマを挟んで、あの後もそのまま続いた口論疲れをして、やや離れた川の字で黒澤も恐らくついソファーでねちゃったよ状態が広がっていた。
気配に気付いたのか、カゲヤマが軽くうめいて、目を覚ました。
「あ、矢島、おはよ……」
ふんわりした笑い顔を浮かべ挨拶したカゲヤマは、矢島に対してはコトの重大さを気にもとめてないようなナチュラルな反応だったが、寝返りを打って横に黒澤が寝ていたことに気付いたとたん「きゃっ!」と叫んで瞬間飛び起きた。
その際、カゲヤマはまだ一晩矢島のシャツの裾をしっかり握ったまんまだったので、矢島も引っ張られ、カゲヤマの頭が矢島のアゴに見事にヒットした。
「きゃあ、矢島ごめんなさい!」
彼女はうずくまった矢島のアゴに手をやって、涙目で、
「シャツの裾がしわしわになっちゃったね」
「……オマエ、その動きでその気遣いは可笑しくないか?」
「あ、ねえ、な、何で黒澤室長が隣に寝てるの?!」
「……オレが隣に寝てた下りは何の違和感も感じてない……!?」
矢島はまだカゲヤマの頭は眠っていることにして、軽い怒りや苛立ちを片付けた。
「ま、昨日、口論になって話長くてさ……、そのままオレらも寝ちゃってさ……、多分空港から直行でここに来たんだよね、ものすごい疲れてると思うからしばらく起こさないでおいてやろ?」
「うん」
「じゃ、黒澤置いて、モーニング行こ🎵🎵、パンケーキのおいしい店がある。」
「え、室長は置いていっていいの?、矢島、あ、何してるの?」
「あ、もらっても使い道に困ったから。ちょっと夕べの腹いせ……」
矢島は、きょとんとしたカゲヤマにニッコリ微笑んでみせながら、巨大な白黒の物体を、黒澤が向いている方向に横たわらせた後、鼻歌混じりにカゲヤマの手を引いて、リビングを後にした。
数時間後、目覚めた室長は、顔の真ん前にいた等身大ぬいぐるみ・巨大パンダのリアルな顔面に驚いて悲鳴を上げたことは言うまでもない。