4月の法改正で思うこと 3 〜社員側のこと
シリーズでお伝えしています。
引き続き介護育児休業法改正について、思うことを書きます。
これまで、どういう法改正があった(今後ある)のか、どういう背景で誕生した改正なのか、あたりをざっくり語ってきました。
今回は、この制度を享受する、わたしたち社員側のことを書いてみたいと思います。
いきなりちょっと話題はそれて、
先日東京都では、育児休業のことを
「育休」あらため「育業」とする
と、新しい愛称が決定されました。
最初聞いたときは「苦行に向かうイメージ?」と感じましたが、
「業」という字は「努力して成し遂げる」、”まなび”という意味もあるとのことで、百合子さんの掲げるマインドチェンジの意図はしっかりと入れ込まれた愛称だなあと感じました。
Twitter界隈では相変わらず批判ばかりなのですが、
殆どの方はフィリップを掲げる百合子氏の写真しか見ずに投稿していると思われたので、無視。
いや、無視できない、今日のテーマは「制度を活用する側のわたしたち」についてでした。
結局ね、こうやって、制度の背景に含まれる意図や
なんのための休業なのかを理解しようとしない現場社員の一人ひとりが、
負のスパイラル文化を作ってしまうんですよ。
そのことを認識してほしい。
ちょっと前に「取るだけ育休」「財テク育休」なんて言葉も登場しました。
マスコミが、育休の社会保険料免除制度だけにスポットを当てて「おトク!」「取らなきゃ損する!」みたいに煽ったのも手伝って
制度の意図はひとつも浸透せず、制度の穴を突いたような「お得な」取得の仕方ばかりが拡がってしまうことに、わたしは強い懸念を抱いているのです。
今回の制度改正も、休暇のとり方が柔軟になるってことは、実は人事や健保の事務担当職員にとったら煩雑極まりない制度で、まじで勘弁してくれって思っている人もたくさんいらっしゃるのではないかな。
それでもね。
子どもを増やすことができない環境では、商売を加速させることはできないんですよ。
それをわかっている企業は、このマインドチェンジを進めてくれるはずなんです。
そう、気持ちの持ち方、文化のあり方が変革されるかどうかの分岐点に今、わたしたちは立っている。
あとはわたしたち社員の意識です。
なにも、育休を取る人だけじゃない。
上司、先輩、同僚、部下全員の問題でもあるんです。
〇〇さんが育休を取る。
しわ寄せがくるな、いやだな。
ではないんです。
あなた自身だって、いつ何時長期休暇をとることになるかもしれないじゃないですか。
会社って、企業って、それをカバーしあえるのが最大のメリットですよね。とわたしは思っています。
育休ってだいたい取る時期と期間が決まっているから、欠員に対して事前準備できる数少ない状況だと思います。
(しかも企業へ助成金も出るんだよ!もちろん条件はあるけど)
業務の棚卸し、見える化、引き継ぎ。
例えばこれをやるだけで、業務効率が飛躍的にあがるし、不測の事態に備えることにも繋がります。
お仕事によっては見える化が難しい業種もあるかもしれないけど、
これこそまさに「言語化」の訓練。
伝える、伝わる ”言葉” に紡ぐのって、時間をかけるに値する業務だと思います。
これを、育休をとる社員だけではなくて、全員が意識することができたら、仕事ってもっと加速するし楽しくなると思うんだよね。
言語化してみたら、無駄な業務って意外なほど多いと思うんです。
「何でこれやるんだろう?」に気づいて、いったん原点に立ち返って改善をする。
意図を持ってその業務にあたっていったら、もっと能動的に業務が楽しく進められるようになる。
自分が会社の歯車のひとつにすぎないことに失望することもあるかもしれないけど、
生産性を上げて脳みそを使うめっちゃ良い働きをする歯車になれたら、それはそれで唯一無二の存在なんじゃないのかな。
蛇足ですが、
「育業」の発表イベントで、サイボウズの青野社長がこんなことも仰っていました;
これは言い得て妙だなあと。
家庭の外で日常生活を送っていたとしても、それは会社員としての日常であって
立場が変わるとこうも世の中の見え方が変わるのか、世の中からの見られ方が変わるのか、という経験は、
育休に入ってみないと経験できないことだと思う。
個人的には、自治体や政治についても考える機会が増えたよね。
ただ、願わくば、育休取得者に対して
「なにか持ち帰れ〜」
的な雰囲気だけはやめてほしいですね。
視野が拡がったり生産性が上がったりするのはあくまで副産物であることを、忘れないでほしい。
育休中の本業はあくまでも育児。
結果として能力が上がることも往々にしてあるけどね、それありきで語られると、そこにはプレッシャーしかないんだもの。
文化はわたしたち一人ひとりの意識が、発言が、行動が作っている。
そのひとつずつはとても小さな灯火だけど、
やがて大きな潮流となる。
いつだって時代は流転していて。
たとえあなたが子育て世代ではないにしても、この時代の文化を作っているいち構成員であることは紛うことなき事実です。
自分自身がその種火のひとつであることが自覚できたら、
現在のこの変化に乗れることって、とってもワクワクしませんか。
次回は、制度を運用する企業目線でいろいろ深堀ってみたいと思います。
つづく。