一・二学期をふりかえって
淡すぎる四月のひかり こつ、こつとえんぴつの音がまだぎこちない
「ねえ」という声がしだいに増えてゆき五月の風はあたたかくなる
六月の雨はやまない 廊下ではシューズのラインがきらきらはずむ
指切りを交わすその手をふと止めてああこんなにも七月の空
すこしずつ丸みのちがう「あ」の文字が並んでふいに愛しい色紙
あおぞらがいちばんきれい 号砲が鳴って九月を駆けぬけてゆけ
十月の風おだやかに「ピース!」って笑うあなたの伸びたゆびさき
スタッカートみたいにはじける人たちが十一月へ音をとどけて
十二月 あついあついと笑いながら囲むストーブのかすかなひかり
ひとつずつ大きくなるね もうだれもいない教室に咲くシクラメン