刀剣短歌まとめ「祈ると手折る」
死ぬために生まれたのだろう ゆびさきの赤は刃こぼれの色に似ている
偽物は「人の為」って書くのならするどさだけが本物だった
歴史とはかなしみである 血のせいで斬れなくなっていく日本刀
からだじゅう朱をまとわせて浮き世では見初められたい柄の先まで (折句「か/しゅ/うきよ/み/つ」)
いずれかは身の欠けること見かねては錆びつかないよう抱く梅の花 (折句「いず/みのか/みかね/さ/だ」)
ほりおこす刀の記憶 笑いつつ国を憂えばひろがった雪 (折句「ほり/か/わ/くに/ひろ」)
遠くとおく打ちならされて堅牢にらんとかがやく武器があること (折句「と/う/けん/らん/ぶ」)