アート鑑賞日記(香取慎吾展)
久しぶりに、パンチのある展覧会でした。
『WHO AM I』 SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR
先に、SMAPの話をさせてください。
私は、SMAPのメンバーと同世代です。特に誰のファンというわけではないけれど、日常的にSMAPをテレビで観ることが当たり前の毎日を過ごしてきました。
そんななか、稲垣、草彅、香取の3人が独立したときには、ショックというよりも、心が躍りました。
私たちは、ロストジェネレーションと言われた世代で、それまでの社会の規律を守ることもできるけれど、そのことに窮屈さを感じ、何か新しいことをしたい(世の中を変えたい)と思って生きてきた世代だと思います。
同世代の人は少なからずそういう人がいるだろうし、私自身はそうでした。
そんななか、これまでの芸能界のしきたりを突破し、自分達の才能を開花させようと飛び出した3人の行動には、とても勇気づけられました。
3人を見ていてそれは、ただ単に自分たちのことを考えてわがままにというのではなく、世の中の多くの人に対しての勇気づけであることを自覚している(もちろん国民的アイドルだからそれだけの影響力があるのは当然ですが、有名人であってもそこまで考えられない人も多くいると思います)ということが大きいと感じていました。
自分達が世の中を変えていくという気概というか、勇気というか、チャレンジ精神、そしてそれができるという密かな自信、そんなことを感じていたので、今回の慎吾ちゃん(やっぱりそう呼んじゃいます)の展覧会はぜひ観に行きたいと思っていました。
慎吾ちゃんがアートをしていることは知っていましたが、実際の作品を観たことはありませんでした。また、友人では意外と知らない人もいました。
そして今回のアートツアーを観て…唸りました。
線は繊細でした、筆の流れが綺麗でした。エネルギッシュではあるけれど、押し付ける感じはありませんでした。ただただ、力強さと牽引力がありました。
私が、良いアートだと感じるものは、上手い下手ではなく、その作品を観て、自分のなかに何かが沸き起こるかどうか。感情が刺激され、活力がわいてくるか、自分自身も何かしたいというような刺激がそこにあるか。もしくは、深く心に響いて、自分のまんなか、心の奥の魂を揺さぶるものがあるかどうか。
そういった出会いがあったときに、アートっていいな〜、すごいな〜と感じます。そこには、作者の持つエネルギーとの交流があるからだと思います。主の作品には、そういったものがあまり余って感じられました。
展覧会には、とても多くの人が来ていました。多くはファンの女性のようでしたが、こんなに多くの人を、自身の魅力でけん引し続ける人のエネルギーには、恐れ入るばかりという感じがしました。
その日の夜、寝ている時に、慎吾ちゃんがラッパを吹いて、日本中をめぐるイメージがわいて、はっと目が覚めました。
作品の色味がサーカスみたいだったので、サーカスのイメージのようでもありました。楽しさと悲哀を含み、けれど強さのある行進。
アートは、エネルギーそのもの。そのエネルギーは、世の中を生き生きとした方向に導くものであると信じたいと私は思いました。
私自身も、アートを通して、世の中の良いエネルギーの一端になりたいと。エネルギーの源を共にし、良き方向に向いて生きていきたいと感じたのでありました。
『WHO AM I』SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR は、グランフロント大阪では2023年6月15日まで。その後、福岡、石川、福島と巡回されるようです。興味のある方はぜひ足を運んでみてください。