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「ノンケとゲイのすれ違い 第1話」友情が歪む瞬間
学生時代の友人だった彼とは、今でも忘れられない出来事がいくつかある。
私は至ってノーマルな性志向を持つ男だ。しかし、彼はゲイだった。学生時代、ある種の悪ふざけで彼にすりすりと体を寄せたことがあった。その瞬間の彼の表情を、私は冗談半分で流してしまったが、どうやら彼にとってはそれ以上の意味があったらしい。
卒業後、しばらく連絡を取っていなかった彼から、突然連絡が来るようになった。最初は年賀状のような形式的なものだったが、次第に直接会いたいという誘いに変わっていった。彼は東海地方に住んでいたが、私が九州にいると知ると、わざわざ訪ねてくるほどだった。
会うたびに、彼は食事代や宿泊費、その他諸々を全て負担してくれた。最初は罪悪感を抱いたものの、次第に「まあ、無料で色々もらえるならいいか」と思うようになっていた自分がいた。しかし、内心では葛藤があった。ノンケである私にとって、彼の行動や思いはどこか気味が悪いものだった。
彼は外見こそ普通の男性だったが、内面的にはまるで女性のような繊細さや執着心を持っていた。さらに、彼の考え方や行動には理解できない部分が多かった。例えば、小さな嘘をついたり、話を誇張したりすることが頻繁だった。それが彼の性格なのか、それとも自分のアイデンティティを隠して生きてきた影響なのかはわからなかったが、私には受け入れがたいものだった。
そんな関係が続く中で、彼の気持ちがよりはっきりと分かる瞬間が訪れた。彼はついに私に身体的な関係を求めてきたのだ。その瞬間、私は限界を感じた。彼の行動や執着心に対して、これ以上付き合うのは無理だと判断した。
結局、私は彼との連絡を絶つことにした。彼にとっては辛い選択だったかもしれないが、私自身の生理的な限界を超えるものだった。
今振り返れば、彼の立場や感情をもう少し理解しようとする努力ができたのではないかと思うこともある。しかし、その時の私には、自分自身を守ることで精一杯だったのだ。
これが、私が学生時代の友人との奇妙な関係から学んだことだ。
続く
免責事項
本作品はフィクションであり、実在する人物や団体とは一切関係がございません。また、本作品にはLGBTQ+を含む多様な性のあり方を描いていますが、それらを差別する意図は全くありません。あらかじめご了承ください。